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新天皇即位に伴う政府の対応〜初面会となる外国の首脳は誰か?~


2019年5月1日の新天皇即位に向けて、平成の次の元号はどうなるのか、国民にはどのような影響があるのかなどが取り沙汰されています。日本人にとって、新天皇の即位は新しい時代の幕開けです。新天皇と政府との関係性や経済への影響も見守られる中、次の時代でのビジネスチャンスを窺っている経営者の方もいるでしょう。ここでは、新天皇即位に伴う政府の対応や国民への影響などについてまとめてみました。

2019年〜新天皇即位で日本国民への影響は?


新天皇の即位にあたっての変化でわかりやすいのは、元号が新しくなることです。平成の時代には昭和のように戦争こそなかったものの、時代を揺るがす大きな転換点をいくつも迎えています。新しい時代が始まるたびに、国民は良い時代を迎えたいと期待しているはずです。しかし一方では、新しい幕開けへの漠然とした不安もあるでしょう。新元号は、そんな不安を払拭してくれる意味を持った元号になってほしいところです。

新元号の発表は4月1日に閣議決定され、同日中に公表するとの政府の方針が発表されています。5月1日の即位当日では、国民に混乱が生じる恐れがあるためです。明仁天皇の場合は1989年1月7日の昭和天皇崩御に伴う即位で、元号も翌日8日に改められています。明仁天皇の退位に伴う新天皇の即位とは状況が異なり、前もって準備できることに対処して混乱を避けようという政府の心構えが窺えます。

新元号への改元で、行政でも企業でもシステムや印刷物を変更しなければなりません。印刷物の変更対応も並大抵のことではありませんが、日本中のシステムが2019年4月~5月にかけて大きく動かされることになるとトラブルが発生する恐れもあります。だからこそ1ヶ月の猶予が設けられるのだとしても、行政や企業としては準備期間が十分にあるとは限りません。変更対応に追われて通常とは異なる業務が追加されたり、激務に追われる人も出てくるでしょう。

新天皇即位の当日にあたる5月1日は、祝日にすることも検討されています。そうなれば可能性が出てくるのは、4月27日(土)~5月6日(月)まで10連休となるゴールデンウィークです。長期休暇による経済効果が期待される一方で、連休前後の激務や業務停滞を懸念する国民もいます。もう一つ経済効果として期待されているのが、平成の時代を懐かしむアイテムの販売による経済効果です。平成最期の年になっても未だ昭和の時代を懐かしむ世代は健在で、生の昭和を体験していない世代にも昭和時代への憧れブームがあります。一つの時代が移り変わる2019年は、時代そのものを象徴するコンテンツに視線が集まるでしょう。

「新天皇」即位後に最初に面談するトランプ米大統領の方向


新天皇が即位後に初めて面談する外国首脳が、トランブ米大統領になる方向だと報道されています。ここには、政府の複雑な思惑があると考えられています。2019年6月下旬には、G20サミットが大阪で開催される予定です。新天皇との面談は、G20サミットでの来日より前に国賓待遇で招待する調整が進められています。アメリカ大統領が、短期間に2度におよぶ来日をするのは異例です。外遊を好まないトランプ大統領にとっても、特別のメリットがなければ積極的になれない連続来日でしょう。

トランプ大統領にメリットになることといえば、(TAG)日米物品貿易協定の交渉での大筋合意です。TAG交渉の妥結がなければ、G20サミットへの参加を見送る可能性すらあります。新天皇が即位して一番に面談できる点については、外国首脳にとって名誉なことです。しかし、近日中に再び来日するG20サミットでメリットが得られるとは限りません。強気の交渉が得意なトランプ大統領が、大阪への来日と引き換えにTAG交渉の妥結に圧力をかけても不思議ではないでしょう。

トランプ大統領には、これまでにも強硬な交渉テクニックで各国を追い込んできた実績があります。追い込まれた側は、渋々トランプ大統領の要求に従わざるを得ません。不利な立場での交渉に妥結するしかなくとも、承認する以外に方法がないところまで相手を追いつめるのがトランプ大統領流の交渉テクニックだといわれています。日本政府にとって、米大統領がG20サミットを欠席するなどという事態は絶対に避けたいことです。安倍総理にしてみれば、20ヶ国の首脳が集う会議での議長役を務める国際的な晴れ舞台となる大阪のG20サミット。トランプ大統領が欠席となれば、日米の関係が懸念されかねません。日本に揺さぶりをかけるきっかけにもなり得る2回の来日は、トランプ大統領にとっても大きなチャンスです。

日本政府にどのような思惑があるのか?


日本政府にとっては、日米関係は諸外国との関係の基礎として踏み固めておきたいところです。トランプ大統領を新天皇即位後初の国賓として迎えるのは、既定路線でしょう。そのうえでトランプ大統領が喜ぶお土産を持たせてあげれば、二重に歓待できます。トランプ大統領が喜ぶお土産は、アメリカに有利な貿易交渉です。ただし、TAGの署名は90日前までにアメリカ議会に合意内容を通知しなければなりません。大阪サミットでの署名は、日程的に現実的ではないことになります。とはいえ、妥結を発表できればトランプ大統領の成果として評価されるでしょう。そこで日本政府が考えている可能性があるのが、新天皇即位後初の外国首脳面談とTAG妥結のセットです。

米大統領が短期間の間に連続で来日するだけでも、トランプ大統領と安倍総理の強固な関係をアピールできます。安倍総理は外交上手というイメージをアップすることもできるでしょう。もちろん、米大統領がG20大阪サミットを欠席するなどというあり得ない事態も防げます。中国の首席やロシア大統領との首脳会談に集中することもでき、難しい関係にある国との打開策を見つける可能性も広がります。このような思惑を日本が持っているだろうことは、アメリカ政府も承知の上でしょう。そのうえで、日本がどう出るかを見ているのです。

新天皇との面談とTAG交渉をセットにするにしても切り離すにしても、即位したての天皇陛下のスケジュールを貿易交渉の成り行きで決めるわけにはいきません。新天皇の外国首脳との面談も、米大統領以外に予定されています。無理のないスケジュール調整が必要で、何か問題があれば政府内からも国民からも批判されかねません。国外からも、新天皇の即位は大きく注目されています。そのような状況のもとで、何としてでも上手く事が運ぶように進めたいのが日本政府の思惑でしょう。

日本にとって記念すべき新元号の時代が始まる年に、外国の首脳陣を招いた会談に主役の一人が欠席すれば歴史上の汚点となってしまいます。今後の日米関係にも影を落とす可能性が出てくるでしょう。安倍総理への期待値や信頼度は低下し、政府への国民の反感が強まるかもしれません。晴れやかなスタートを切ってほしい新時代の幕開けが問題含みになるなど、政府として避けたいはずです。日本政府の思惑は、どっちつかずの状況である可能性も考えられます。新天皇の時代を華々しく始めたい一面もありながら、問題を起こさないために妥協しなければならないことも視野に入れているかもしれません。新天皇の即位のタイミングに重なったG20首脳会議は、日本政府の関係者にとって否が応でも切り離して考えられないイベントでしょう。

まとめ


急展開だった平成天皇の即位に対して、新天皇の即位には準備期間があっただけに様々な話題が持ち上がっています。新元号で良い時代が始まることは、国民も政府も願っていることです。経営者にとっては、経済がより発展する時代にしたいと願っていることでしょう。より発展的な時代を実現するためには、荒波を乗り越えて航海するような覚悟が必要なのかもしれません。