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0円タクシーが都内で登場!利用者のお支払い運賃がただなのはなぜ?

「0円タクシー」についてご存知でしょうか。サービスの開始当初はかなり注目が集まり、新聞などでも取り上げられましたので、ご存知の方もいるかもしれません。また、東京都内で働いていれば、実際に見たことのある人もいるでしょう。「0円タクシー」は、経済に対して良い影響を与えうると期待されています。ここでは、「0円タクシー」の概要や仕組みについて解説します。

乗車のお支払い運賃がタダになる「0円タクシー」とは

「0円タクシー」というのは、いくつかの条件をクリアすれば、タクシーの利用時に乗車料金が0円になるというサービスです。ただし「0円タクシー」のサービスは常時行われているものではなく、2019年1月現在、利用はできません。2018年12月に行われた期間限定のサービスでしたので、以下ではこの時の内容をもとに、「0円タクシー」の概要について解説します。

「0円タクシー」を仕掛けたのは、球団オーナーとしても知られている、インターネットサービスの企画・運営会社のDeNAです。同社が提供するタクシーの配車アプリサービス「MOV(モブ)」と、「日清のどん兵衛」がコラボすることで誕生したサービスが、「0円タクシー」です。ここで、配車アプリサービスについて簡単に解説しましょう。

配車アプリは、配車を希望する場所をスマホアプリの地図上でタップすると、タクシーを呼ぶことのできるサービスです。日本ではMOVだけではなく、他にもいくつか同様のサービスがあります。アプリによる配車では、タクシーを捕まえるために電話をかけたり、駅前で並んだり、路上に出て必死に手を振ったりする必要がありません。また、数あるタクシー会社の中からその時一番近くにいるタクシーを呼べるため、早く効率的に、タクシーに乗ることができます。さらに、配車されるタクシーの到着予定時間や現在地も把握することが可能です。

MOVの場合には、アプリにクレジットカードを登録しておくことによってカード決済が可能で、降車時に運転手と運賃のやり取りをする必要もありません。2019年1月現在、配車アプリMOVを利用することのできるエリアは、東京都内と神奈川県内の一部地域となっています。

さて、MOVが日清と共に行った「0円タクシー」ですが、2018年12月5日から2018年12月31日までの期間限定で、さらに利用時間帯も、朝の7時から夜の10時までと決まっていました。また、実際に0円でタクシーを利用するためにいくつかの条件が定められていて、1つ目の条件が、「東京都23区内での移動であること」です。

「0円タクシー」の運行エリアは東京都23区内のみです。そのため目的地が23区外となると、タクシーの乗車料金は0円ではなく、本来かかる料金を全て支払う必要があります。「23区外の部分の料金のみ負担」ということもできません。

2つ目の条件として、当然ながら、配車アプリMOVを利用する必要があります。例え街中で「0円タクシー」を見つけたとしても、アプリから配車手配をしていないと乗車はできないのです。

3つ目に、「目的地に行くまでに経由地を挟むことはできない」という条件があります。通常のタクシーであれば、途中でコンビニなどに寄って、その間タクシーには待ってもらうということもできますが、「0円タクシー」ではそのようなことはできません。

また、「0円タクシー」の配車が可能なエリアは、東京都の千代田区周辺・渋谷区・中央区・港区・新宿区とされており、全部で50台が「0円タクシー」として運行していました。

お支払い運賃がタダになるのはなぜ?

それにしても、乗車料金が高いというイメージのあるタクシーが、なぜ「0円=タダ」で運行できるのでしょうか。その理由は、広告主が乗車料金を支払う仕組みになっているからです。つまり、広告をうちたい企業は、タクシーを広告塔としてまるまる利用する代わりに、利用者の運賃を負担するのです。広告塔として利用するという点では、ラッピングバスなどと同じ仕組みですが、さらに利用者の運賃がタダになるというのが「0円タクシー」の凄いところですね。

そして、この試みの最初のスポンサーとなったのが、日清だったのです。サービス期間中のタクシーの外装は、真っ赤なボディに日清の人気商品どん兵衛が大きく描かれており、非常にインパクトのある見た目となっていました。すごいのは外装だけではありません。車内もどん兵衛一色の内装で、さらに、どん兵衛のCM映像まで流されているという徹底ぶりです。このタクシーを利用した人の声として、「利用後にどん兵衛を食べたくなった」という声もあるほどで、広告としてまさに狙い通りの効果を上げたと言えるでしょう。

「0円タクシー」の今後の展開に注目しよう!

「0円タクシー」は、3つの側面から、社会や経済に良い影響を与えうると考えられます。1つ目が、利用者の交通手段を改善するという側面です。タクシーの利用にはどうしても、「贅沢」、「お金がかかる」というイメージがあります。実際に、電車など公共交通機関による移動よりも料金は高価です。しかしどうしても、タクシーを利用したい場面も多いでしょう。そのような時に「0円タクシー」をいつでも利用できれば、利用者の選択肢が広がり、利便性も大きく改善されます。また、0円かどうかに関わらず、配車アプリの利用率は現在のところまだまだ低いです。

実際に使ってみると、タクシーを利用したい時に確実に捕まえることができ、無駄な時間も使わないため便利なのですが、流しを捕まえたり電話で呼ぶという方法が未だ主流です。ところが「0円タクシー」をきっかけとすることで、配車アプリを利用する人も増える可能性があるのです。

2つ目として、タクシー業界全体の課題を改善してくれるという側面があります。現在、タクシー業界の大きな課題となっているのが、「運行効率の悪さ」です。1台のタクシーが10時間営業していたとしても、そのうち利用者が乗車するのはわずかに2,3時間のみというデータがあるほどです。

配車アプリを利用すれば、タクシーも従来より効率的に営業できます。そのため、「0円タクシー」で配車アプリが広まることは、タクシー業界にとっても良い状況と言えます。

最後の3つ目が、企業の宣伝手法を増やし、経済の仕組みを大きく変化させ得るという側面です。現在はインターネットが普及したことに加え、マスマーケティングからパーソナルマーケティングの時代へと変化してきました。従来のようにTVでCMを流したり、ポスターや雑誌・新聞広告を利用するだけでは、消費者へのアピールが充分ではなくなっています。そのような状況では、企業はインターネット動画やSNSなど、ありとあらゆる媒体を利用して消費者個々の好みに訴えかけなければならないでしょう。

その際に「0円タクシー」は、非常に効率の良い宣伝手法の1つとなり得ます。どん兵衛のケースでは運行しているタクシーの台数が50台だけでしたが、タクシーを広告として利用するという発想が多くの企業に浸透すれば、「0円タクシー」の台数も今後増えていくかもしれません。そうなればまず、企業は、高い広告効果を上げることができます。そして、「0円」という点に魅かれた利用者が配車アプリを導入し、配車アプリが広がることで、タクシー業界の課題が改善され得るでしょう。このように、経済全体に良い循環が生まれることが期待できるのです。

まとめ


「0円タクシー」は、配車アプリを利用することで、タクシーにタダで乗車することのできるサービスです。業務効率を上げたいタクシー業界と、楽に安く移動したい乗客双方のニーズを満たす点が「0円タクシー」の大きな特徴です。しかしそれだけではなく、宣伝効果を高めて製品の売り上げを伸ばしたい企業にとってもメリットが高く、経済全体に良い影響を与えるサービスと言えるでしょう。