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賢い経営者が密かに実践している不動産を活用した節税対策とは?

(写真=Imagine Photographer/Shutterstock.com)

賢い経営者なら、常に節税対策を考えて可能な範囲で会社の支出を必要経費として計上し、利益を圧縮しようと考えるものです。

ところで、事業のために不動産を購入して活用すると節税になることをご存じでしょうか。理由は、長期にわたって一定額を「減価償却」として計上できるためです。今回は、その仕組みについて説明します。

減価償却を活用して利益を圧縮できる

まず、「減価償却」という考え方について整理しておきましょう。

建物や設備など業務のために用いられる資産は、一般に時間の経過や稼働によってその価値が減っていき、最終的にはゼロになります。この価値がゼロになるまでの期間を耐用年数といいます。土地のように、時間の経過や使用で価値が減らないものはここには含まれません。

このような資産を取得するために要した費用は、取得したときに全額が経費になるのではなく、その耐用年数の全期間にわたって分割して必要経費とし、会計処理すべきものとして扱われます。

耐用年数は物品ごとに法律で決められており、年ごとの減価償却費の算出には「定額法」と「定率法」の2種類が使われます。

残りの耐用年数が10年の物件を1,000万円で購入したとします。定額法は、資産の購入代金を法定耐用年数の期間で同額ずつ償却する方式で、単純に全額を耐用年数で割るだけです。よって、毎年1,000万円÷10年=1年に100万円ずつ償却していくことになります。

定率法は毎年、未償却の金額から一定の割合で償却していく方式で、最初は費用計上できる額が大きいのですが、年ごとにその額が減っていきます。これらの額が毎年、経費として計上できるため、利益を圧縮して法人税を節約できることになります。

定額法の場合、単純に税金の額が下がるため長期的に考えるとお得になります。一方、定率法は最初の方の額が大きくなるため、初年度に大きな節税効果の恩恵をもたらすことができます。どちらを採用するかは、出口戦略をどう考えるかで変わってきます。

さらに償却期間を過ぎた不動産も延長可能

法定耐用年数を過ぎた建物は、もう減価償却費を計上できないと思っている方も多いと思います。ところが、中古物件を購入して事業のために使用した場合、その耐用年数は法定耐用年数ではなくて、購入時点から新たな耐用年数を計算して適用することができます。その計算方法は、残存耐用年数がゼロ以下かプラスかで2種類あります。

まず、残存耐用年数がゼロ以下、つまり法定耐用年数が経過している場合は、法定耐用年数の20%に相当する年数を新たに見積もり、耐用年数とすることができるのです。たとえば、法定耐用年数が30年で、築40年の物件のケースでは、すでに法定耐用年数をオーバーしていますので、30年×20%=購入時点から6年が減価償却できる期間となります。

一方、残存耐用年数がプラス、つまり築年数が浅い場合は、残存耐用年数に経過年数の20%を加えた年数を減価償却期間とします。たとえば経過年数が10年のケースでは(30年-10年)+10年×20%=22年となります。

ただし、その中古資産の購入金額が再取得価額の50%を超える場合は、この方法では算出できないので注意しましょう。

そのため、木造物件の場合は耐用年数を過ぎた物件を購入しても法定耐用年数が22年のため、その20%にあたる4年は減価償却費を計上できます。同様に、鉄骨造だと同34年の20%で6年、RC造だと同47年の20%で9年は減価償却が可能なのです。

一般に不動産の購入費は新築、中古にもかかわらず高額になります。そのため、減価償却費として計上できる金額も多くなります。利益を圧縮できる大きな要素となりますので、ぜひ不動産投資を節税に活用しましょう。