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オーナー企業向け!退職金を最大にする施策とは?

(写真=Room’s Studio/Shutterstock.com)

「退職金を最大にしたい」というオーナー企業社長は多いかもしれません。退職金を最大にすることで、自分自身が引退したときの報酬を上げることができます。しかし、退職金を上げると、基本的には税金も連動して多くなってしまいます。そのため、退職金を上げるために報酬を上げた時には、所得を下げるための施策をするべきです。

今回は、退職金についての話と、退職金を上げることによるデメリットである「所得税」を下げる施策を紹介します。

退職金額の算出方法 最終役員報酬×役員としての在任年数×功績倍率

そもそも退職金とはどのように計算するのでしょうか。退職金の計算式は、以下のようになります。
● 最終役員報酬 × 役員としての在任年数 × 功績倍率

最終役員報酬とは、退職前にもらっていた月額役員報酬のことです。功績倍率とは、役員在任期間中に会社へ貢献度を倍率化したものになります。特に、倍率の決まりはなく、その人個人の功績によって倍率は変わってきます。

退職金を増やすには役員報酬を上げることが必要

前項を踏まえ、例えば以下のような条件で退職金を計算してみましょう。
・ 役職:常務執行役員
・ 最終役員報酬:月額60万円
・ 在任期間:22年
・ 功績倍率:社長4倍、専務3倍、常務2倍、平取締役1.5倍

この場合は、「60万円×22年×2=2,640万円」となるため、2,640万円がこの方の退職金になります。仮に退職金額を上げるためには、最終役員報酬を上げることが必要となってきます。当然ながら、役員の在任期間をその場で変えることはできません。また、功績倍率も社内で決まっているものなので、即変更するのは難しいです。そのため、残された「最終役員報酬」を変えることが、退職金を増やす方法になるというわけです。

ただし、役員報酬を上げると累進課税の所得税が高くなる

「役員報酬」という名称にはなっていますが、所得税に関しては一般の従業員と変わりません。そのため、累進課税による税率が適用されます。累進課税は、所得が増えるほど税率が増えていく仕組みになります。


国税庁HPより

例えば、役員報酬の課税所得が年額720万円(月額60万円)だったとします。そのときは、上記計算式に当てはまると「720万円×23%-63.6万円」となり、102万円が所得税になります。仮に、この場合に退職金を上げるために、先ほどより年額で240万円アップさせるとします。つまり、年額960万円(月額80万円)になるので、その場合には税率も上がってしまいます。上記計算式に当てはめると、「960万円×33%-1,536,000円」となり、163.2万円の税金になるというわけです。

先ほどの年額720万円の報酬時は、税金を抜いた年収が618万円(720万円-102万円)でした。一方、今回は796.8万円(960万円-163.2万円)です。つまり、年収を240万円アップにしたのに、税金が上がったため実質178.8万円しか収入が上がっていないのです。

このように、退職金を上げるために役員報酬を上げると、累進課税の制度により所得税が高くなってしまうのです。もっというと、住民税は所得税額と連動するので、住民税額も上がってしまっています。

木造の不動産の購入

先ほどのように、役員報酬を高くすると所得税率が上がるので、対策としては「木造不動産の購入」がおすすめです。なぜなら、個人で、4年で償却可能な木造不動産を購入し、減価償却費用を計上すれば所得が下げられるからです。所得を下げることができれば、当然ながら所得税率も所得税額も下がります。

不動産を購入すると、「減価償却費」を毎年「経費」として計上することができます。減価償却できる期間などは耐用年数によりますが、法定耐用年数(木造は22年)を超えた木造アパートは、4年間で減価償却することができるのです。例えば、建物部分が3,500万円の築23年の木造アパートを購入したとします。その場合は4年間で償却できるため、「取得費用3,500万円÷4年=875万円」という計算で、年額875万円を減価償却費として計上できるというワケです。

仮に、このアパートから年間賃料が300万円あっても、「300万円-減価償却費875万円」になり、575万円が所得から引かれます。つまり、不動産所得は役員報酬の所得と合算できるので、役員報酬からこの575万円を差し引けるということです。

だた、木造不動産を選ぶときには、当然「運用面」も加味しなければいけません。当然ながら、賃料収入の利益があった方が、最終的には儲かるからです。そのため、木造不動産を購入するなら、海外不動産を視野に入れてもいいかもしれません。

退職金を上げるなら木造アパートを購入

このように、退職金を上げるとなると、どうしても所得が上がります。そのため、所得税を下げるために「木造建築物の購入」がおすすめです。4年で減価償却できる建築物であれば、1年で大きな額を経費計上できます。それにより所得を下げ、月額報酬を上げた分の所得をマイナスするというわけです。