最近、街中を歩いていると自転車のレンタルサービスのポートが増えてきたように感じます。レンタサイクルやシェアサイクル、コミュニティサイクルなど様々な呼ばれ方をしていますが、基本的には同じサービスだと思ってください。
当初は自治体が企業と一緒になり導入実験を行い、駅の周辺にサイクルポート(レンタサイクルの貸出発着場所)が設置されました。導入を決めた自治体もあれば、サービスをやめた自治体もあります。
それからしばらくして、2017年あたりから数々の企業がシェアサイクル事業に乗り出しました。
そのきっかけとなったのは2つあり、ひとつはドコモが2010年頃から実験的に導入したバイクシェアサービス。そして、2017年に上陸した中国のMobike(モバイク)です。
ドコモが基盤を作り、モバイクが数々の企業に火をつけ、DMMやソウゾウ(メルカリの子会社)、LINEなどが参入を表明し、話題になっています。
その他にもソフトバンク子会社のハローサイクリング、PiPPAなどシェアサイクル事業に参入しようという会社は広がっています。
本記事では、レンタサイクル(シェアサイクル)の今を読み解き、未来を推測していきます。
観光向けから生活へ!健康や違法駐輪の対策にも?!
レンタサイクルの歴史を見ていきましょう。
現在進行系のサービスではありますが、自転車を1日レンタルして4,000円、6時間で2,000円など、観光用に向けたサービスはこれまでも展開されていました。
都内をはじめ都心部ならば、自動車と電車を活用して移動するより、自転車の方が、小回りが利き、数々の観光スポットへ足を運びやすいためです。
しかし、ちょっとした移動のために数千円となると、気軽に借りることができなくなってしまいます。
もちろん返す時もレンタルをした場所に返却をすると決められており、往復を前提とした使用です。観光で利用するにはまだしも、通勤や通学、ちょっとした移動など、生活で使うには不向きな点もあります。
2010年頃から官民一体となって、自転車を共有して使うコミュニティサイクル事業が実験導入されてきました。自治体としては、放置自転車や違法駐輪を減らすことと健康増進目的があげられます。スマートフォンを利用する現在の形の先駆けとなったのは、ドコモのシェアサイクリング事業と言えるでしょう。
人を介さずにICカードやスマートフォンを利用することで、貸出・返却の管理や決済が無人でできるようになり、料金も30分単位で100円~200円、月額使い放題でも2000円程度と気軽に利用できるようになりました。
黒船襲来?!Mobike(モバイク)上陸が大手参入のきっかけ?
ベースを作ったドコモに対して、海外からも黒船と呼べるようなサービスが日本に上陸し、数々の企業が刺激を受けました。そして、DMMが「DMM sharebike」、ソウゾウが「merchari(メルチャリ)」、LINEはMobikeと協業(20%以下の出資)ということが発表されました。
DMMは、2017年11月に参入を取り下げることを表明しましたが、メルチャリは、福岡で実証実験が開始され、都内では東京都国立市でスタートをする予定です。
ソフトバンクのダイチャリは、東京23区、千葉、埼玉、名古屋、大阪の大都市を中心に徐々にサービスを拡大しています。
Mobikeも専用のサイクルポートで貸出・返却するようになります。ただ、アプリを使用して自転車を探すことになりますが、上手く見つけられません。Mobikeの問題点は、現在どのエリアで活用できるのか、事前に調べることができないことです。
アプリをダウンロードすると、地図上に表示されることを期待しますが、地図を動かしてもバイクの表示がされず、これはホストが見つからないということが原因かと思いますが、使えるのか使えないのか不明な点が致命的な問題です。
なぜDMMは参入を辞めたのか?潜在的に隠された課題
事業参入の発表をしておきながら、数ヶ月後には発表を取り下げると、ニュースでも取り上げられました。現在のシェアサイクルの形は、サイクルポート間の利用になり、ポート数の増加が利便性を高めていく鍵です。
しかしポートが存在しなく、どこでも自由に利用・返却できたとしたらどうでしょうか。そのような形でDMMはシェアサイクル事業を考えていたようですが、放置自転車が出てきてしまうことと、問題になった時にブランドのイメージダウンが目に見える為、撤退をしたそうです。
ちなみに、参入表明をしたことによって手を上げるような企業が増え、新しい繋がりができ、社会的にプラスのイメージを与えることができたなど、メリットはあったようです。
徐々に増えつつあるレンタサイクルの未来は?!
自転車にまつわる社会的な課題はたくさんあり(放置自転車や違法駐輪、盗難など)、課題解決が求められてきました。そして、健康的な社会を築くためには、運動する時間を増やすことが重要で、自転車に白羽の矢が立てられるのもわかります。そして、自動車の排ガスの抑制にも繋がっていくでしょう。
シェアサイクルが広がっていくには時間がかかるとは思いますが、より多くの方に浸透するサービスであることは間違いありません。
利便性を向上させていくためには、サイクルポートの数が増えることが必要ですし、ポート間の移動は自転車の台数のバランスが崩れる可能性も出てくること、また回収して、再配置するなどやることは増えるかもしれません。さらには、より良いサービスを求めすぎるユーザーの声をどのように反映させていくかが課題です。
様々な事業者が参入したことにより、別の会社のサイクルポートに対して、相互乗り入れ可能になれば格段と利便性は増します。専用のサイクルポートではなく、汎用のサイクルポートが誕生する未来が待っているかもしれません。
シェアサイクル事業は魅力的な投資?!
システムが出来上がってしまえば、後はサービスを拡大させていくことが結果的にシェア拡大に繋がります。ハローサイクリングやモバイクなどがそうですが、広く事業参画者を呼びかけることで、ビジネスに繋がります。
プラットフォームを提供する代わりに利用料という形で徴収し、事業参画者はレンタサイクル事業で儲けていく。人件費はかからず、自転車や機器のメンテナンス費用がランニングコストとしてかかってきます。どれくらいの収益が上がるかは、地域によって差が出ますが、一台の自転車の価格と設備投資費などを踏まえると1台あたりの費用対効果は高そうです。
また、サイクルポートのオーナー制度も可能性は広がります。空いている土地やスペースをレンタサイクル事業者に貸し出し、借地料をいただくという収益モデルです。
ベースの事業が広がっていくということは、それに付随してビジネスチャンスは広がっていくでしょう。
これから拡大していくシェアサイクリング業界に興味があれば、各社に問い合わせてみてください。
まとめ
2010年はじめから導入の実験が行われ、ようやく形になってきたシェアサイクリング事業は、大手企業の参入により、ますます過熱していくと思われます。
サイクルポートの確保や利便性の向上など、解決すべき課題はたくさんあります。しかし、多くの市民が望んでいたサービスでもあり、観光だけでなく普段の生活利用でも、手軽になるのはとてもありがたいことです。
歩くのにはちょっと遠いけれども、車や電車を使いたくない。
観光向けの長時間利用ではなく、短時間で利用したい。など、ニーズに応えられたサービスです。
市場規模が拡大していくということは、ビジネスチャンスが生まれ、収益のポイントが広がっていくことにも繋がります。もし、ちょっとした土地や空いているスペースを保有している場合は、シェアサイクリングへの有効利用を検討してみてはいかがでしょうか。
これからも見逃せないレンタサイクルは、気がついたら当たり前のように使っている日が来るかもしれませんね。