2023年01月25日
1.「日銀債務超過に陥ると何が起きるか」
昨日のSNSにも紹介したが、今、発売中週刊ダイヤモンドに私とのインタビュー記事が出ている。
「(問)債務超過が起きると何が起こりますか
(答え) 外資系の金融機関が日銀との取引を中止することです。私がモルガン銀行に勤務していたとき、G7(先進七カ国)の中央銀行に対しても 取引額の上限がありました、日銀が債務超過に転落し、その額が拡大していくと、どこかの段階で、外資系の金融機関が日銀との取引額の枠をゼロにしてしまうことになるでしょう。それは、その金融機関が円での決済から撤退することを意味します。米国の金融機関がすべて円での決済から撤退してしまうと、円とドルの交換、取引ができなくなります。円を誰も持ちたがりませんから。円の大暴落は避けられません。」
2.「いつクラッシュが起きるか?」
今、日銀財務は滅茶苦茶だから、そよ風でもおできは破裂する。しかし、私が今、一番懸念しているのは日銀の債務超過だ。米系メガ1行が日銀当座預金口座を
クローズすれば、雪崩を打って米銀は撤退するだろう。そうすると一晩で円は大暴落,ハイパーインフレだ。債務超過はこれだから怖い。日銀が純債務の時は、米銀も日銀信用問題での撤退はしないだろうから、一晩での大暴落までは心配する必要が無かった。しかし長期金利が0.5%を越し日銀が債務超過状態に陥れば、米銀が一晩で撤退の意思決定を刷る可能性が出てくる。だから怖い。日銀が純資産を確保しているときと、債務超過になっている時では私の恐怖感は段違いなのだ。今、日銀は長期金利0.5%の攻防戦を外資系ヘッジファンドとやっているが、その防衛戦を破れればそのリスクが急上昇だ。朝、目が覚めたら、円が紙くず化しているかも?との恐怖を覚えながら前日ベットに入るのはまっぴらだ。黒田日銀総裁はそれを熟知しているから、何があっても長期金利を引き上げないのだろう。だからこそドルを保険と思って買っておいた方がいい。
3.「インフレ4%が『新常態』」
本日の日経新聞に載った英ファイナンシャルタイムズ紙のコラムは必読。米国版エイターのGillian Tett氏いわく「ダボスに集まるエリートは(中略)『インフレ率は恒常的に5%前後で高止まりする』という」「世界が過去のような低インフレ時代に戻ることに今賭けている債券投資家らは、新たな政治経済の性質を無視しているのかもしれない。今は景気循環ではなく構造的な変化の節目にあるかどうかに目を向ける必要がある。」5%でインフレが高止まりするなら、今、3.46%の10年国債を買う人は、マイナスの金利を払うことになる(=国債を買って金利を払う)。このコラムで、より重要なことは、以前、私が書いたことと同じ。「津波警報が出ているときに、どっちの波がいいかと話しているサーファ――は溺死してしまうぞということ(=円が紙切れ化するか否かを懸念しているときに日米金利差で為替を予想するのは愚の骨頂)。もっともGillian Tett氏が書いているように、私は米国金利はさらに上昇し、日米金利差も開き、それもドル高円安要因になるとは思っているが。
(藤巻健史 公式ホームページから引用 ※ご本人の許可をいただいています) 藤巻健史 公式ホームページ https://www.fujimaki-japan.com/