1.「米国金利上昇」
日銀が日銀人事に注目している間に米長期金利は粛々と上昇。雇用統計前は3.33%まで下落していたのに、今や3.74%と8日間で0.41%も上昇した。一方、日本では誰が総裁になっても、せいぜい長期金利の0.1%程度の上昇で債務超過。短期金利は現状の0%から0.3%に上げれば、通貨発行”損”の垂れ流し。日米金利差は、ますます拡大していくだろう。
2.「女性副総裁も誕生せず」
今回、岸田総理としてはポイント獲得にもなっただろう日銀副総裁への女性登用もなかった。一番の候補は翁さんといわれていたようだが、彼女も日銀出身者。日銀がとんでもない状況であることは百も承知のはず。辞退は当然。賢明な判断。いかに日銀の財務がヒドイ状況にあるかもわかる。
3.「やはり黒田さんには出口があったが、日銀にはなかった」
参議院時代、「総裁には(退任という)出口があるが日銀には出口はないのでは?」と黒田氏を攻め続けてきたが、まさにそう通りになりつつある。もっとも4月8日まで日銀が持たない可能性もゼロではないが。
4.「終戦直前に陸軍大将に祭り上げられた様なもの」
植田次期日銀総裁は、「(終戦(1945年8月15日)直前の8月2日に、「陸軍大将にしてあげる」と言われて大将職を受けてしまったようなもの。無事に戦後復興の立役者になりえた(新日銀行入り)のに、戦後の極東国際軍事裁判でA級戦犯となり牢獄入りするのを選んだようなもの。
5.「祝い酒」か「水さかずき」か?
昨晩の植田さんは、お祝いのシャンペンを飲んだのだろうか?それとも、敗戦処理の地に向かう水杯(みずさかづき)と思いながら酒を飲んだのだろうか?マーケットの怖さを知らないから前者ではないか、と私は想像するのだが。
6.「米国にはデフレ要因の自国通貨高が起きていない」
何度も書くが、日本のバブル時は、資産効果が誘因で進行する強烈なインフレを強烈な円高と言うデフレ要因が相殺した。したがってCPIは狂乱経済のど真ん中だったのにも関わらず、今の日銀目標の2%より低い0.5%。現在、日本のバブル期と同様、資産効果により景気の良い米国は強烈なドル高が進展していない。私が米国CPIの上昇は止まらないと思っている理由の一つ。
7.「ボルカーショックの再来も」
もちろん世界中でインフレが止まらない最大の理由は過剰流動性だと思っているからお金の回収(QT)が終わらないことにはインフレは終息しない。したがってボルカーのサタデイナイトスペシャル(政策金利の代わりにマネーサプライの制御を政策目的とした。結果、長期金利20%、FFレート20%)の再現はあると思っている。
8.「国債残高82兆円を『国家財政、破産の危機』と呼んだ時代があった」
元日銀理事の山本謙三さんが先日、ホームページを更新された。今回のよりも、ご紹介し忘れた以前の論考をご紹介したい。タイトルは「国債残高82兆円を『国家財政、破産の危機』と呼んだ時代があった」(注・現在は1000兆円超え)私は新中央銀行の新総裁に彼を一押し。あくまでも”新“であり、今の日銀の総裁ではない。
(藤巻健史 公式ホームページから引用 ※ご本人の許可をいただいています) 藤巻健史 公式ホームページ https://www.fujimaki-japan.com/