1,「シリコンバレー銀行(SVB)問題」
破綻騒動で長期金利、為替、株が荒れたが、これは近じか収まるだろう。金融システム危機にまでは拡大しないだろうから数日で平静に戻るだろう。過剰反応。サマーズ氏の分析通りだと思う。マーケットを見る上では、14日のCPI の方がよほどに重要。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-10/RRBARFT0AFB401?srnd=cojp-v2
2,「米国と日本では金融機関の数が途方もなく違う」
米国のビジネススクールで学んだのは40数年前だからほとんど覚えていないが、いくつか印象に残っていることはある。一つが「日本では銀行は1行たりともつぶさない護送船団政策を取っているが、米国ではバタバタと潰れる。FRBは各行がつぶれることに興味はない」と教授が言ったこと。
3,「FRB の役目は連鎖倒産防止」
ビジネススクールの教授は、FTBは各行がつぶれることに興味はないが連鎖倒産(金融すステムリスク)を防ぐのはFRBの役目と言っていた。当時、銀行の数が全米で1万4000行といっていた。日本は数百行だったので桁が違うと驚いたのを覚えている。
4.「日米では金融機関倒産のニュースの意味が違う」
たしか米国の銀行は、今は5000行くらいまで激減したと思うが(確かではない)、1980年当時、1万数千行もあれば、FRBはいちいち監督など出来ない。100数十行の日本で銀行がつぶれるのとは社会的インパクトが異なる。(なお、数には全く確信が出来ない。ご自身でお調べください)
5「SVB が教えてくれた時価会計での評価が重要な理由」
国債は。満期まで保有すれば元本が戻ってくるから簿価評価でいいという人がいるがとんでもない、今回のSVBがいい例だ。国債を大量保有しているSVBに預金している人が時価評価していれば返済資金が枯渇することに気が付き(国債を時価でしか売れないから)事前に逃げられるが簿価評価の人はOUT。
6,「1年間で157行の倒産」
米国では2010年に157行の金融機関が経営破綻している。1年間でそんな数の金融機関が破たんしたら日本には金融機関が無くなってしまう。銀行破綻の社会に与えるインパクトが日本と米国では違うことに注意。
https://www.dic.go.jp/katsudo/page_002164_00012.html
7「預金保険機構は保険の安全を担保するか?」
1年間で157行がつぶれても、米国の預金保険は安泰だ。日本に比べれば、はるかに財政状況がましな米国では国費投入の道もある。日本の保険機構は地銀が2、3行でもつぶれれば、支払うべき保険金が枯渇する。これだけ財政が危なくなっているときから国費投入も以前の様に簡単ではない。
8「銀行や生保の保有の国債評価損は他人事ではない。日本の方が各段に危ない」
「米金利上昇、米銀株安に波及 保有債券の損失懸念」というタイトルの本日の日経新聞。冗談じゃない。日本の方がよほど危ない。米国は長期金利が0.5%割れから4%に上昇して、やっとこの問題が浮かびあがって来た。日本は長期金利が0.25%から0.5%%に上昇しただけで生保も地銀も巨大評価損が出始めた。0.75%」まで上昇したら巨額の評価損。もっともすごい最大の評価損は日銀。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN100AO0Q3A310C2000000/
9「異次元緩和10年、日銀依存に転機 超低金利の副作用強く」
異次元緩和の副作用は「国債市場の市場低下」と財政規律の弛緩」としか言わないし、書かないが、そんなのは、かわいいものだ。最大の副作用は日銀の崩壊(=とっかえ)とそれによる円の紙くず化だ。財政ファイナンスがハイパーインフレを起こすとの歴史やオーソドックスな金融論を無視したツケだ。
10「非伝統的金融政策に踏み込んだことが黒田日銀の間違い」
伝統的金融政策とは「景気が悪い時は金利を下げ、景気が過熱してきたら金利を上げる」というもの。効果があることも副作用がないことも実証済みの政策だ。
一方、非伝統的金融政策は金利のほかに量にも関与する政策で効果も副作用も予想不可だったのに、安易に踏み切った。それが大間違い。私は、ずっと「伝統的禁輸政策に固着せよ」と主張していた。ゼロ金利がだめならマイナス金利にすればいいとの主張だった。マイナス幅をどんどん大きくしていく。預金金利も貸出し金利もマイナスの世界だ(これは伝統的金融政策の延長)。最近ではハーバード大学のロゴフ金利が同じ主張を始めた。私が「The International Economy 」に書いてきたことを読んでくれているのだと思っている。
11.「『やってみなければわからない』で黒田日銀が試みたギャンブルの失敗」
朝日新聞・原編集委員の論考。 白川前総裁が最近、国際通貨基金の季刊誌に寄稿した論考に触れている。「中銀は『いつでも簡単に巻き戻すことができる』と安易に考え、非伝統的な金融政策にのめりこんでいった。そんな見方だ。」
今まで、私も何度も紹介したが、白川前総裁は「異次元緩和は出口をきちんと出ることができてこそ評価が定まる」と退任記者会見でのべられている。出口がないことは、白川さんも当時からわかっていたのだと私は思っている。オーソドックスな金融論を勉強していれば、誰もがそう思うはずだ。
https://www.asahi.com/articles/ASR3B3VWYR39ULZU005.html?iref=comtop_7_01
12.「日銀・植田新総裁への忠言」
私が、金融マン時代「この人はわかっている」といつも思っていた元日銀理事の山本謙三さんが文藝春秋デビュー。タイトルは「日銀・植田新総裁への忠言」
まだ読んでいないが、明日、買ってくる。
13、「伊藤順朗さん」
1,「シリコンバレー銀行(SVB)問題」
破綻騒動で長期金利、為替、株が荒れたが、これは近じか収まるだろう。金融システム危機にまでは拡大しないだろうから数日で平静に戻るだろう。過剰反応。サマーズ氏の分析通りだと思う。マーケットを見る上では、14日のCPI の方がよほどに重要。
(藤巻健史 公式ホームページから引用 ※ご本人の許可をいただいています) 藤巻健史 公式ホームページ https://www.fujimaki-japan.com/