住まいについては持ち家と賃貸のどちらがお得かで意見が分かれるものですが、オフィスについては「購入するもの」というよりは「借りるもの」というイメージが強いと思います。
「購入すると高額だから」「移転するかもしれないから」など、さまざまな理由がありますが、はたしてそれは正しい判断なのでしょうか。単なる思い込みなのではないでしょうか。購入と賃貸、それは企業の規模や成長度合いなどによって大きく変わってきます。メリットやデメリットを整理しつつ考えてみましょう。
毎月のオフィス賃料は大きな負担
オフィスを借りることのメリットとして初期投資コストが安くすむこと、オフィスの移転や拡張・縮小が比較的容易にできること、管理やセキュリティーを管理会社に任せることができることなどがあげられます。
しかし、このようなメリットと同じくらいのデメリットとして、毎月の家賃支払いが発生することがあげられます。
会社の価値を高めるには、オフィスの立地は極めて重要です。つまり、どこにオフィスを構えるかによって、取引先や従業員など、関係者の企業を見る目が変わってきます。そのため、オフィスを借りるにしてもそれなりの場所を選ぶ経営者が多いと思います。その結果、月額家賃が百万単位で変わってくることも稀ではありません。
また、現在の賃料も、将来のインフレによっては値上げされる可能性があり、移転するにしてもそのたびに引っ越し費用などの諸経費がかかってきます。
オフィス購入の場合、毎月の賃料分をローンの返済に充当できる
最近は不動産を投資目的の収益物件として考える企業が増えています。さすがに1棟まるごと自社ビルとして購入するのは高額すぎて無理だとしても、各フロアや各区画だけを分譲で購入する「区分所有」オフィスとして購入をする企業が増えているのです。
自社オフィスを持つと、金銭面では以下のようなメリットがあります。
まず、減価償却ができることです。オフィスが入るビルの建築様式によって決められた耐用年数だけ減価償却費が計上できるため、利益を上げている企業にとっては節税になります。
また、将来インフレになった場合や、都市の再開発などでオフィスを取り巻く環境が向上した場合、オフィスを売却することで売却益が発生する可能性があります。これはインフレで家賃が上昇する賃貸とは逆の現象です。
また、オフィスを購入しても自分たちは入居せずに他社に貸し出すと、家賃収入がローン返済に充当できます。
売却価格との差分が実質的な内部留保となる
不動産価格が値上がりした場合、これまでの家賃収入と想定売却価格がローン残債を超えているうちに売ってしまうことで、利益を確定させます。その利益はそのまま企業の内部留保となります。
たとえば、現在までの累計キャッシュフローが500万円あったとして、現在の想定売却価格が9,000万円、ローン残高が8,000万円だとすると、500万円+9,000万円>8000万円なので、売却しても利益がでます。
ところが、数年後に累計キャッシュフローが800万円、想定売却価格が6,000万円、ローン残高が7,000万円になったとすると、800万円+6,000万円<7,000万円となり、投資で得られるキャッシュがマイナスになりますので、そこまで所有していると利益がなくなってしまいます。
市況などのタイミングを見極める必要はありませすが、オフィス所有はお金を生み出すことにもなりますので、検討されることをおすすめします。