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金融機関は融資額をどうやって決めている?不動産投資をする前に知っておきたい評価方法

(写真=Gustavo Frazao/Shutterstock.com)

不動産投資をするときには、金融機関から融資を受ける場合が多いです。そのとき、金融機関がどのように判断して融資額を決めているかは、融資を相談する前に知っておきましょう。その点を知っておけば、自分がどの程度借り入れができ、借入額を増やすためにどのような物件を選べばいいのかが分かってくるからです。

金融機関の評価基準

不動産投資で金融機関に融資相談した時、金融機関はどのような項目を重視して融資額を決めているのでしょうか。以下の要素を重視して融資額を決めている言われています。

● 借入者本人
● 資産背景
● 物件そのものの評価

上記のように、いわゆる「人」「物」「金」の3つの要素を重視して、金融機関は融資額を決めています。

● 借入者本人(人)
まず、「人」のカテゴリーである、「借入者本人」は以下の要素を審査します。
・ 職業
・ 企業の安定性や収益性
・ 勤続年数
・ 転職歴

職業は公務員、サラリーマン、経営者などの一般的な職業のことです。金融機関は、より安定した収入がある人に融資をしたいという傾向にありますので、職業は大事になってきます。その観点から言うと、公務員は「人員削減」や「収入減」などのリスクが比較的低いので、「安定している」と見なされ融資額も多い傾向にあります。

また、企業業績によっては、もちろんサラリーマンや経営者もきちんと評価します。勤続年数や転職歴も「安定性」を確かめる上では欠かせません。仮に、業績が安定している企業にいても「転職1ヵ月」であれば、今後継続的に会社に勤めるか分かりません。そのため、融資が厳しくなる可能性もあります。経営者の場合は、経営している企業の業績によって、今後「安定的に収入があるか」が評価の対象となるでしょう。

● 資産背景(金)
「金」のカテゴリである「資産背景」は、以下の要素を審査します。
・ 自己資金率
・ 他の借り入れ

まず、自己資金率は、借入者がいくらの自己資金を物件に投下するかということです。もちろん、自己資金率が高い方が融資額は大きくなり、融資承認のハードルも下がります。なぜなら、自己資金が多いということは、それだけ「自己資金を貯められる」と判断されるからです。資産を所有しているという観点から、「今後も継続して返済できる」と見なされるというわけです。

また、資産の中には「負債」もあります。負債とは、他の不動産だけでなく、車やカードローンなどの借り入れも該当します。借り入れが多いほど審査には不利に働き、融資額は減少するということです。

● 物件そのものの評価(物)
「物」のカテゴリである「物件そのものの評価」は、「その物件から生み出される収益性」です。不動産投資の場合には、融資する不動産がどの程度の収益性があるかを、金融機関が独自に審査します。その物件から生み出される収益が、融資の返済に充てられることが多いからです。そのため、「エリア」や「築年数」「地価」などの不動産価値が高いと判断されれば、融資額は増えていきます。

収益性以外の「物件」の評価方法

では、前項の最後に解説した「物件そのものの評価」の具体的な評価方法を解説します。前項で解説したのは、「その物件から生み出される収益」という観点でした。

実は、その収益性の観点以外に、「その物件が担保として価値があるか」という要素も評価されます。その評価方法は、「積算価格」という価格を算出して、その価格がそのまま物件の評価につながります。積算価格とは、土地と建物を現在の価値で算出する方法です。計算式にすると、単純に「土地の現在価値 + 建物の現在価値」です。

◆ 土地の現在価値
土地の現在価値は、主に以下4つの指標で算出されます。
・ 路線価
・ 固定資産税評価額
・ 公示価格
・ 基準地価

路線価は相続税のときの評価額であり、固定資産税評価額とは固定資産税評価額を算出するときの評価額です。この2つの価額は、公示地価と言われる、国の依頼を受けた不動産鑑定士が算出価格に連動します。ただし、これらは土地の形状によって評価が変わります。たとえば、「角地」「接道が狭い」などの要素は土地の価値を左右するので、その点を加味して算出するということです。

◆ 建物の積算価格
建物の積算価格は「再調達価格 × 延床面積 × (残耐用年数 ÷ 耐用年数)」という計算式です。「現在同じ建物を建築して、経過年数を加味したときの価値」です。この「土地」「建物」それぞれの観点から算出した価格を合算したものを積算価格といい、その積算価格が「物」の評価になります。

不動産投資の融資評価3つの観点

このように、不動産投資の融資を受けるときには、「人」「物」「金」の3つの観点があります。この3つは、具体的にどんな項目が評価されるかを理解しておく必要があります。それが、融資額の増加につながり、不動産投資で効率的に収益を上げる方法につながるでしょう。