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10年後、20年後に大きな差がでるかも!?コンパクトシティ構想とは?

(写真=7maru/Shutterstock.com)

不動産投資をするなら、コンパクトシティ構想を知っておきましょう。今後の人口動態を考えると、日本全国の自治体で、コンパクトシティ構想が出てきてもおかしくはありません。街づくりによって不動産のニーズは変わってきます。そのため、どのような街づくりをするかという点は、不動産投資の物件選びにおいて重要となります。今回は、そんな「コンパクトシティ構想」について詳しく解説します。

コンパクトシティとは?

総務省の「平成24年版情報通信白書」によると、2010年に1億2,800万人以上いた日本の総人口は、今後どんどん減少していきます。2048年には1億人を切り約9,900万人にまで減り、2060年には8,600万人程度まで減少すると予測しています。また、生産年齢人口と言われる15歳~64歳の人口は、2010年の63.8%から減少をつづけ、2017年には60%台を割り、2060年には50.9%程度まで下がると予想されています。つまり、日本の総人口が減る上に、少子高齢化はますます加速するということです。

そんな状況の日本で進められている街づくりが、「コンパクトシティ構想」になります。少子高齢化が進むと、ますます生産年齢者の生産性を高める必要があるので、生産性が高まるような街づくりにしなければいけません。そのため、日々の生活空間や通勤・通学、そして通院など、さまざまな面で利便性の高い街づくりが必要です。

住んでいる場所と、通勤場所が遠ければ生産性は落ちますし、住んでいる場所と病院が遠ければ日々の生活が不便になります。ただでさえ、生産年齢者が減少していく中で、生産性が低くなる状況にはできませんし、生活利便性の低下も当然ながら生産性に影響してきます。そのため、コンパクトシティ化で、街の利便性が高まるように、さまざまな施設が一ヵ所に集まっているような街づくりが、急務になっているのです。

先進してコンパクトシティを導入している都市の事例

コンパクトシティに向けた事例としては、熊本市の事例が挙げられます。熊本市は、2014年時点で人口約74万人の政令指定都市です。高度経済成長期に人口は増加しましたが、その増加を上回って街自体が拡大していったので、人口密度は低下して低密度の街になりました。今後の人口減少を踏まえると、市街地の空洞化や税収の減少によって、熊本市の衰退が懸念されます。そのため、熊本市はコンパクトシティ構想を掲げ、以下の方針で街づくりをしています。

・ 交通利便性の高い地域へ居住者を誘導すること
・ 中心市街地や地域の拠点へ都市機能を集積させる
・ 交通ネットワークの充実

まず、駅やバス停などの徒歩圏内に居住地づくりを促進して、交通利便性を高める住まいづくりを推進しています。また、その周辺エリアでは歩行者や自転車利用者などが通行しやすいように、環境整備も併せて行います。そして、拠点となるエリアに都市機能を集積させることによって、職住近接環境をさらに向上させます。さらに、急行バスの整備や輸送力強化のための路面電車の充実などで、交通ネットワークの充実を図っています。

このように、熊本市は今後の人口減少を予測し、快適な居住空間と利便性の高いエリアを作成するという、コンパクトシティ化に向けて動いています。

不動産投資とコンパクトシティ構想

コンパクトシティ構想がどの程度まで広がるかは、不動産投資にも大きく関わってきます。全国でコンパクトシティ構想が進めば、職住近接の意識や、交通利便性や商業利便性を兼ね備えたエリアに人気が出てきます。

そのため、「駅まで遠い物件」や「商業施設・医療施設まで遠い物件」の価値は下がってきてしまう可能性があります。つまり、不動産投資で物件選びをするときには、今まで以上に「利便性」を重視する必要があるということです。

特に、自分が不動産を取得しようとしているエリアで、前項の熊本市のようなコンパクトシティ構想がある場合は更に注意が必要です。各自治体のホームページで、「街づくり」のマスタープランが見られるので、投資物件の取得時には必ず確認するようにしましょう。

投資はエリアを確認

このように、コンパクトシティ構想と、不動投資は密接な関係があります。「街づくり」は10年単位の長期スパンでの話なので、すぐに投資へ影響するわけではありません。

しかし、不動産投資自体も長期スパンで行う投資なので、コンパクトシティ構想のような「街づくり」も加味して、物件選びをする必要があります。

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