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アメリカ不動産投資で「減価償却メリット」を得る

資産構築や、資産を残していくことを考える時に、税金に関することも合わせて精査する必要があります。

不動産を活用した資産構築は、減価償却の考え方から、タックスメリットを享受する上で重要です。

資産を多く残す方法のひとつに、アメリカの不動産を取得し、減価償却の制度を活用した方法があります。減価償却のメリットは、国内不動産以上に大きく、適切な手段を取ればより多くの資産を残すことができます。

本記事では、不動産の減価償却についてわかりやすく解説していきます。

 

国内・アメリカの中古不動産事情の違い

減価償却は、日本国内の不動産を取得することによっても利用できる税制上の仕組みです。しかし、日本とアメリカでは制度が違うため、その差を利用することで、より多くのメリットが受けられます。

基本的にアメリカ国内では中古の不動産が多く取り引きされています。そのため、新築ではなく中古の減価償却を考える必要が出てきます。

木造や鉄筋コンクリート造など、建物の構造によって減価償却の耐用年数が変わってきますが、例えば新築の木造建築であれば22年です。中古物件の場合、耐用年数の22年から築年数を引いた年数で償却していきます。

22年を超えた物件に関しては、ゼロになってしまいますが、中古物件の場合、もともとの耐用年数に20%を掛けた年数で償却しても良いとも認められているため、築22年以上の物件に対しては、4年で償却していくことになります。

国内の不動産で木造建築の築年数が古い物件を想像すると、耐震なども含めて長く活用し続けられるのか気になりますし、資産価値が下がっていくイメージが強いです。あまりに古い木造建築の場合は、土地には資産価値があるものの建物にはほとんど値がつかないという事情もあり、高い金額で購入したものの減価償却できる大元の額が少ないため、減価償却できてもメリットは少ないです。

しかし、アメリカの中古不動産事情は違います。

 

なぜ、国内不動産よりアメリカの方がタックスメリットが大きいのか

アメリカにおける中古不動産の場合、流通しているものの多くが中古不動産ということもあり、築年数がかなり経過していても、管理が行き届いていれば評価は高くなります。

さらには、定期的にメンテナンスを行い、より長く住めるような工夫や配慮が喜ばれます。

また日本と違って、土地と建物の評価を比べると、建物の方が高いのです。

例えば、日本が、土地:建物=8:2ならば、アメリカでは2:8の評価です。建物への評価比率が高いため、節税効果が期待できます。

そのため、アメリカで築年数22年以上の木造建築不動産を購入した時の減価償却は4年になりますが、もともとの減価償却できる費用が高いため、2年目、3年目とより多くの経費を減価償却費として計上することができます。

その結果、タックスメリットが大きいのです。

取得したあとはどうでしょうか。

節税のメリットは得られるものの、節税のためにアメリカの不動産を取得するわけではありませんよね。

所有した不動産から末永く賃貸収入を得ていきたいところです。

取得した不動産の状況にもよりますが、数字上では長く維持ができると考えられます。

国土交通省の資料によると、新築物件が取り壊されるまでの平均年数は、日本では30年です。しかし、アメリカは55年と日本に比べると倍近く差があります。

築年数30年の不動産を取得した場合、日本ではあとどれくらい長く維持できるかを考えなくてはいけませんが、アメリカの場合は、あと25年は保てると認識できます。

ちなみに、税金面では日本国外のものであろうとも、日本国内の法律が適用されます。

55年で資産価値がゼロに近づく物件が、日本の法律では25年でゼロに近づくというのは驚きの制度です。

減価償却の税制上メリットだけでなく、取得をした不動産を売却する際も、所有年数によって課税率が変わります。

不動産所有時は、賃貸収入が所得税として課税されます。

減価償却期間過ぎたあとは、保有し続けることも、売却することも考えられます。

アメリカでは、売却時に納める税金は、所有期間によって制度が変わります。1年未満であれば、短期キャピタルゲイン課税、1年以上であれば、長期キャピタルゲイン課税になります。短期で売却した場合は、累進課税制度によって、総所得によって課税されます。

おそらく、最低4年間の減価償却メリットを活用したあとに、売却することを考えると、長期キャピタルゲイン課税になります。

累進課税システムで10%、15%にカテゴライズされる場合は、無課税になり、25%~35%までのカテゴリの方は、15%、最高税率(39.6%)だったとしても20%に下がります。

さらには不動産の売却益を別の不動産へ投資した場合、納税を先送りにできる制度もあるため、上手く活用したいところですね。

アメリカだけでなく日本でも売却の時に課せられた税金があります。それは、不動産売却(譲渡)における譲渡所得税です。5年以内を短期譲渡所得(39.63%)になり、5年を超えると、長期譲渡所得(20.315%)に変わります。

売却する場合は、アメリカでの売却における税金と、国内での税金の両方を意識する必要があります。

 

でも、アメリカと日本と二重で税金を払うことになる?!

減価償却の面では、国ごとの事情が違うため、タックスメリットは日本よりアメリカの方が大きいということがわかりました。

しかし、税金のことを考えるとアメリカと日本において、二重で支払っているように思えてきます。

課税される場合は、日本国内・国外問わず黒字の時のみです。つまり、赤字の場合は課税されません。

両方、黒字計上の時には二重課税になってしまう可能性があります。それを防ぐために、「外国税額控除」が活用できます。

アメリカで納めた税金があれば、その分、日本国内で確定申告を行う場合に、控除できるのです。証明として、海外の申告書の写しや源泉徴収票などが必要になります。

不動産物件の、建物と土地の評価証明は、別々に発表されます。取得した不動産所在地の政府が発行する評価額書類が、正式な文章として認められるため、覚えておくと良いですね。

 

まとめ

アメリカの不動産投資は資産を構築するだけでなく節税にも繋がります。

そのポイントは、減価償却の制度を上手く活用することが鍵です。

日本国内において、建物の法定耐用年数は、構造ごとに決まっています。

例えば、新築の木造建築であれば、約22年、鉄筋コンクリート造なら、約47年と定められており、その年数を減価償却として経費計上することができます。

中古物件の場合は、耐用年数から築年数を差し引くことで、導き出されます。

もし差し引いた結果、ゼロになった場合は、もともとの築年数の20%が耐用年数となるため、木造建築であれば、4年、鉄筋コンクリート造なら、9年となります。

これが、海外の不動産にも同じように適用されます。

日本の不動産に比べ、アメリカの方が、長く使い続けられるどころか、資産価値も下がりにくいです。さらに、物件の価値は、日本よりアメリカの方が高く設定されているため、減価償却できる額も日本より多いです。

このことが、アメリカの不動産を活用して節税を行う所以です。

しかしながら、税制上の事柄は、専門の弁護士さんに質問するのがベターです。自分の思い込みで、アメリカ不動産が節税に繋がるというアプローチは厳禁です。健全な形で、資産運用をしていきましょう。