ホーム > 資産運用 > 投資物件売却を検討すべきベターなタイミングとは

投資物件売却を検討すべきベターなタイミングとは

不動産投資が成功したか、失敗したか。何を基準にして判断したら良いのでしょうか。

おそらく、利益が確定した時が、成功の指標だと思います。

所有している不動産からの家賃収入のみ、つまりインカムゲインだけでも、利益を確定させることは理論上可能かもしれません。しかし、数十年という単位でかかることですし、経費など差っ引いてしまったら、十分な利益が出ない可能性もあります。

投資した金額を短期間で取り返すならば、投資用不動産を売却し、キャピタルゲインで利益を確定させることを考えなくてはいけません。では、どのタイミングで売却するのがベターなのでしょうか。

計算上、利益が確定しそうな条件でも、今、売却したほうが良いのか、それとも持ち続けて、数年経ってから売却したほうが良いのか悩みます。

不動産の売却時期に正解はありませんが、必要な考え方があります。

もし、ご自身の中で今だと思えるような時期が来たら、売却の手続きをして、利益を確定させてください。

 

基本は安く買い高く売る!しかし予測できない現実

不動産投資で成功する場合、購入時よりできるだけ高く売るということが基本です。つまり、安く買い、高く売るという考え方がベースになります。

しかし、購入を検討している物件が、5年先、10年先、上昇しているのだろうかと予測するのはプロでも難しいです。

多くの場合、【購入時の不動産価格>売却価格】になるでしょう。年月が経つほど、それが当たり前になります。とはいえ、不動産収入というインカムゲインも得ているため、トータルで考えたら売却時にはプラスになっていることもあります。

一時のバブルで、取得価格より売却価格のほうが上回った場合、利益が確定するかというと必ずしもそうなりません。各種手数料や税金などが発生するだけでなく、保有年月によって率が変わってくる譲渡所得税や住民税(5年未満は約40%)を計上すると、美味しくない状況も考えられます。

最初から売却を考えて、不動産投資をするならば、何年先に売却するかも考慮して購入すると良いでしょう。

購入する際に、不動産の底値を予想し、そして売却する際は、ピークを予想するのは、ほぼ不可能ですが、利益確定させるためのプロセスを考えて、戦略的に不動産投資を行うことが重要です。

 

売却する時期によって良し悪しはある?!

投資物件を売却するタイミングは、人それぞれ違います。年間における市場の動きを把握しておくことで、有利な売却戦略が取れるようになります。

まずは、それを理解しておきましょう。

不動産が動きやすい時期は、年度末と言われており、日本では1月~3月がそれにあたります。新学期、新年度が始まるのは4月で、それに向けて引っ越しや新生活を考える人も多いです。

売却するタイミングとしては、理にかなった時期と言えます。しかし、相場が下がってしまう可能性があることも留意しておきましょう。

というのも、新生活者に向けて、大型のマンションやアパートなどの引き渡し時期と重なると、住み替えを行う人が出てきます。

一斉にそのことが起こると、中古市場に出回る不動産は多くなり、結果的に供給過多になり、結果的に不動産価格が一時的に下がってしまう可能性もあります。売りやすいタイミングだからこそ、起こり得ることなので、周辺の動向は抑えておきましょう。

規模は小さくなりますが、秋の異動シーズン(9月、10月)も同じことが言えます。

 

キャッシュフローから見る売却のタイミング

所有する不動産物件の売却を検討するようになると、今売ったほうがいいのか、保有し続けたほうがいいのか、とても悩みます。利益が確定する今だから、すぐにでも売却してしまおうと考えるのもひとつですが、少し考える時間を作ってください。

今、所有する不動産を売却すれば、まとまったお金が入ってくるため、未来数年分のキャッシュフローが手元に残る。という考え方の人もいます。その考えは間違ってはいないのですが、もっと細かく計算することで、保有していたほうが多くのお金が手元に残る可能性も残されています。

今、売却すると失うものは、今後のキャッシュフローです。

5年先に売却するなら、5年分のキャッシュフローに上乗せして、キャピタルゲインが手に入ります。

【今の売却価格>5年先の売却価格】だったとしても、【今の売却価格<5年先の売却価格+5年間分のキャッシュフロー】ということはあり得ます。

単純に、【今の売却価格=5年先の売却価格+5年間分のキャッシュフロー】だったとしても、5年間経過すれば残債が減っています。もちろん、保有し続けることによって、諸経費や税金はかかってしまいます。それらを考慮して、売却のタイミングを図ってみると良いかもしれません。

特に、税金面では5年以上保有すると長期保有扱いになり、譲渡所得や住民税も下がります。短期譲渡税が約40%なのに対し、長期譲渡税約20%と半分まで下がります。

さらに、10年を超すと、現在では軽減税率の特例も受けられるため、6,000万円以下は、14.21%となります。支払う金額を抑えることがより多くのお金を残していくことに繋がります。

税制上の所有期間は、売却した年の1月1日時点と決められているため、翌年になってから売却しないと税制面で損をする可能性も出てきます。税制上のルールはしっかりと確認しておくことにしましょう。

 

実際にシミュレートしてみよう!なんとこんなにも差が出る!

数字に当てはめてみるとイメージしやすいため、仮の数字で計算をしました。

実際の数字はもっと細かくなりますが、イメージをつけるという観点で見ててください。。

 

▼今売却する場合(6年保有)

  • 売却価格・・・・・・・・・・・・2億円
  • 売却経費・・・・・・・・・・・・1,000万円
  • 残債・・・・・・・・・・・・・・1億6,000万円
  • キャピタルゲイン(譲渡所得)・・3,000万円
  • インカムゲイン・・・・・・・・・0円
  • 長期譲渡所得税+住民税・・・・・694.5万円

トータル:2,305.5万円

 

▼5年後売却する場合(11年保有)

  • 売却価格・・・・・・・・・・・・1.5億円
  • 売却経費・・・・・・・・・・・・1,000万円
  • 残債・・・・・・・・・・・・・・1億1,000万円
  • キャピタルゲイン(譲渡所得)・・1,500万円
  • インカムゲイン・・・・・・・・・2,000万円
  • 長期譲渡所得税+住民税・・・・・213.15万円
  • 不動産所得税・・・・・・・・・・600万円

トータル:2,686.85万円

仮の金額でシミュレートしたところ、売却金額が減っていたとしても、手元に残る金額は増えていることがわかります。

 

実際には時間も考慮することが重要。

今すぐ、売却するより数年先のほうが実際に手元に残るお金が増える可能性があるということは、理解できました。

単純に売却金額が増えたから成功かと言うとそうとも限りません。

お金の価値は時間によって変わってきます。差が1,000万円だったとしても、今の1,000万円と5年後の1,000万円は価値が異なります。さらに上がっている可能性もあれば、下がっている可能性もあります。

これを予測するのは不可能ですが、もし今、まとまった金額を得ることができたならば、さらに再投資をすることで、1,000万円どころか、2,000万円以上に増やせる可能性も出てきます。

売却したあと、その資金をどのように使うかを考慮するというのも成功するためには大事かもしれませんね。

 

まとめ

不動産投資を行う上で、成功の指標のひとつに利益を確定させることがあります。長く保有し続ければ、インカムゲインの積み重ねで、トータル利益が出る可能性もあります。

しかし、売却をすることで、利益確定までの時間は短縮できますし、より多くの利益が取得できます。

考えなくてはいけないのは売却のタイミングです。

今売ったほうがいいのか、数年先に売ったほうがいいのか、悩みどころはあります。どれくらい利益が多くなるのか、税金の支払いがどの程度なのかなど、いくつか考える要素は出てきます。

また、時間的要素も絡んできます。

価格推移の予想は無理にしても、今の数字から導き出せる予測もあるはずです。自分にとってベストなタイミングで利益を確定させてください。