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不動産を売るときに知っておきたい3つの媒介契約

不動産を売るときに知っておきたい3つの媒介契約

不動産を売るならできるだけ高く買ってくれる買い手を探したいですよね。自力で買い手を見つけるのは容易ではないため、「不動産会社に依頼しよう」と考える人がほとんどではないでしょうか。不動産会社を利用して不動産を売るときは、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には3つの種類があり、それぞれメリットやデメリットが違います。こちらではその違いについて詳しく見ていきます。
 

ほかに売るあてがまったくなく、完全に1社に依頼したいときの専属専任媒介契約

まず、媒介契約には下記のような3つの種類があります。

  1. 専属専任媒介契約
  2. 専任媒介契約
  3. 一般媒介契約

この3つの契約の違いは、主に下記のような点です。

  1. 複数の不動産会社と同時に契約できるか
  2. 売り主が自分で見つけた買い主に不動産が売れるか
  3. 契約有効期限
  4. 不動産流通機構(レインズ)への登録義務
  5. 不動産会社から依頼主への販売状況報告義務

不動産の買い手をスピーディーかつ効率的に見つけるには、その不動産の情報を広く知ってもらう必要があります。そのために利用されているネットワークシステムが不動産流通機構(レインズ)です。会員の不動産会社であれば、ネットワークに登録された不動産の情報を自由に検索できます。不動産流通機構は国土交通大臣が指定した公益法人で、全国に4つある指定流通機構によって運営されています(2019年1月時点)。審査に通った不動産業者が会員になれる仕組みです。

3つの媒介契約のうち、「専属専任媒介契約」とは1社の不動産会社だけに仲介を依頼できる契約です。同時に複数の不動産会社と契約を結ぶことはできませんので注意が必要です。また、自分で買い手を見つけた場合でも、売買は不動産会社を介して行われます。契約期間は最長で3カ月と決められており、不動産会社は1週間に1回以上依頼主に販売状況を報告しなくてはなりません。また、契約した翌日から5日以内に不動産流通機構へ登録することが義務づけられています。

専属専任媒介契約は不動産会社にとってメリットの大きい契約です。というのも、依頼主が複数の不動産会社と契約している場合、他の会社で買い手が見つかると自社の活動がムダになってしまう可能性があるからです。専属専任媒介契約であればそういった心配はなく、心置きなく活動できます。1週間に1度以上販売状況の報告をしなくてはならないこともあって、不動産会社が最も積極的に活動しやすい契約と言えます。また、もし買い手を自社の顧客の中で見つけることができれば、不動産会社には買い手と依頼主の両方から仲介手数料が入ります。

依頼主にとっては、不動産会社から定期的に経過報告が聞けることに加えて、積極的な活動が期待できるために安心感が高いのが魅力です。とはいえ、契約期間中はすべて1社にまかせることになるため、その会社が活発に動いてくれないとなかなか買い手が見つからないという事態にもなりかねません。専属専任媒介契約では、不動産会社選びが重要なポイントになってきます。売るあてがまったくなく、信頼できる不動産会社にすべておまかせしたいというケースでは専属専任媒介契約を選ぶのも1つの方法でしょう。

1社の不動産屋だけに絞ってもよいときは専属媒介契約

「専任媒介契約」は先に紹介した専属専任媒介契約と同様に、1社の不動産会社にのみに仲介を依頼できる契約です。複数の不動産会社と契約できない点や契約有効期限が最長で3カ月だという点は専属専任媒介契約と同じです。専任媒介契約の最大の特徴は、自分で買い手を見つけたときには自分で売買契約を結べるという点にあります。不動産を探している人に心当たりがあるという場合は、より融通が利きやすい専属媒介契約を選ぶのも良い方法です。専任媒介契約の場合は、契約した翌日から7日以内に不動産流通機構へ登録しなくてはなりません。また、販売状況報告の義務は14日に1回以上です。

不動産会社にとって、専任媒介契約は他の会社に仕事を横取りされるリスクを減らせるのに加え、しばりが緩和されるという点がメリットです。不動産流通機構への登録は契約の翌日から7日以内ですから、専属専任媒介契約に比べて時間的な余裕が生まれます。また、販売状況報告も2週間に1度で済みます。

依頼主にとっては、2週間に1度しか販売状況がわからないという不安があるかもしれません。一方、自分で買い手を見つけられれば、余計な手数料を支払う必要はなくなります。「自分でも買い手を探せる可能性があるが、不動産会社は1社なら契約してもよい」というケースであれば、専属媒介契約が適しています。

選択肢を残しておきたい人は一般媒介契約

「一般媒介契約」は複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。自分で買い手を見つけた場合も自由に契約が結べます。また、販売状況の報告や不動産流通機構に登録するかどうかについては任意に選択可能です。契約有効期限についても制限はありません。とはいうものの、契約の有効期限については3カ月に設定されるのが一般的です。国土交通省が定めた標準媒介契約約款に契約有効期限は3カ月以内と記載されているからです。

標準媒介契約約款とは、媒介契約をめぐるトラブルを防止するために国土交通省が策定した媒介契約書の標準的な書式を指します。不動産会社が媒介契約書を作成するときは宅地建物取引業法施行規則により、標準媒介契約約款に基づく契約書かどうかを記載することが義務づけられています。したがって、標準媒介契約約款を使用しないという選択をすることも可能です。しかし、国土交通省のガイドラインでは、特殊な事情がない限りは標準媒介契約約款を使用するように指導しています。こうした背景により、一般媒介契約でも契約有効期限は通常3カ月以内になると考えておきましょう。

また、一般媒介契約には明示型と非明示型の2種類がある点にも注意が必要です。明示型とは、依頼主が仲介を依頼する不動産会社に複数の会社と契約をしている事実やその不動産会社名を知らせるタイプの契約です。一方、非明示型では複数の不動産会社と契約していたとしても、その事実を知らせる必要がありません。とはいえ、標準媒介契約約款では明示型を採用しているため、明示型の契約となるのが基本です。

自身の不動産が人気物件だという場合なら、一般媒介契約を結んだ複数の不動産会社が競い合って活動してくれることも期待できます。買い手がスムーズに見つかる可能性も高まるでしょう。しかし、需要が低い不動産の場合はどこの不動産会社も積極的に動いてくれないといった状況になりかねません。そのため、不動産の需要が高いときや多様な選択肢を残しておきたいという場合は、一般媒介契約を選ぶと良いでしょう。

不動産の売り主は媒介契約の3つの種類から好きな契約のタイプを選べます。しかし、下記のようなケースでは違約金や費用を請求される可能性もあるため、注意が必要です。

  1. 契約に違反して売買契約を締結した場合
  2. 専任媒介契約か専属専任媒介契約の契約有効期間中に、不動産会社側に責任がない理由で契約が解除された場合

このうち、1のようなケースでは不動産会社は仲介手数料に相当する違約金を請求できます。また、2の場合は仲介手数料の範囲内で交通費や通信費など実際に発生した費用を請求できることになっています。

【まとめ】不動産の媒介契約は慎重に選ぼう!

不動産の買い手を見つけるのは簡単なことではありません。不動産の条件や媒介契約の選び方によって、買い手が見つけるまでの期間が変わってくることもあります。媒介契約では「ほかにあてがあるかどうか」や「不動産会社が信頼できるかどうか」、「こまめに販売状況の報告が聞きたいかどうか」などといった点を検討した上で慎重に判断することが大切です。