自ら持つ資産を運用する方法の一つとしてまず「投資」が挙げられます。
しかし、『投資』には「難しそう」「リスクが大きい」などネガティブなイメージを持たれる方が多いのではないかと思います。
また、いざ投資を始めようと考えてもまず何から手をつけたらいいかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は資産運用や投資を始めるにあたり知っておきたい基本中の基本となる、
「アセットアロケーション」という考え方について解説していきます。
アセットアロケーションとは
皆さんは「アセットアロケーション」という言葉はご存知でしょうか、聞きなれないという感想を持たれる方も多いのではないかと思います。
アセットは「資産」アロケーションは「配分」、つまり「アセットアロケーション」とは日本語で
「資産配分」という意味を持ちます。
株・債権・不動産など投資の対象はたくさんありますが、それら各種資産をどれだけ、どのくらいの割合でどこに対して投資をするか決めて配分することを「アセットアロケーション」といいます。
投資に用いる資金を異なる分野の資産に配分して運用するという、投資における基本的な考え方の一つとなります。
一言で説明すると「自分の資産をどのような種類でどのくらい持つかの組み合わせ」のことです。
投資目標を達成するための、ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)の構築や運用における基本の考え方となります。
ポートフォリオとの違い
「アセットアロケーション」と混合しやすい言葉で、「ポートフォリオ」があります。
「ポートフォリオ」とは金融商品の組み合わせのことで、特に同じような特性をもつ商品のなかで、運用商品を組み合わせることをいいます。
つまり「アセットアロケーション」は「自分の資産をどのような種類でどのくらい持つかの組み合わせ」に対し、「ポートフォリオ」は「具体的な商品の詳細な組み合わせ」のことをさします。
アセットアロケーションの目的
なぜアセットアロケーションの考え方が投資において重要になってくるのでしょうか。
また、そもそもアセットアロケーションの目的、とは何なのでしょうか。
アセットアロケーションとして、投資に際して資産を株・債権・不動産などにどのように配分するかを決めて資産の配分を行う目的は、投資におけるリスクを可能な限り低くまたは回避し、高く安定した利益(リターン)を得ることにあります。
これは投資の成果を出すために非常に有効であり、投資家にとって大変重要です。
アセットアロケーション適正に行うと資産が分散されるためある特定の分野の価値が下がっても他のところでカバーがきます。
バランスよく配分してどんな状況によっても困らない状況にするのがアセットアロケーションの目的となります。
単純な例を考えてみましょう。
Xという人が株A・不動産Bのみを資産として持っているとします。
ある期間内で、株Aについて大きな利益を出ました。
しかし、不動産Bで大損をし、不動産Bについて得た損失がAの利益を上回ってしまっていたならば、その人の資産はその期間内で全体としてマイナスになったことになります。
つまり全体としては損をしてしまったことになるのです。
このように、一部に大きな利益が出ても全体を通して損失の方が大きければ上手な資産配置ができなかった、ということになってしまいます。
もちろん逆に、ある一部分で大きな損失を出しても他の利益でカバーすることができれば全体としてはプラスになります。
同じ資産の同じ分野の資産ばかり持っていると、その分野の状況によって、大きな利益を出す可能性も大きな損失を出す可能性もあります。これは資産運用にとって大変リスクを伴います。
つまり、投資はただどの部分が儲かった、損をしたではなく、全体を見て最大の利益が出るようにバランスを勘案しながら運用していくことが大事になります。
自分がもつ資産全体をみて利益を最大化させるためにどの資産をどれだけ持つのか、という考え方が『アセットアロケーション』なのです。
『投資』というと株のどの銘柄をえらぶかを決めるのか、いつ株が発展するかを予想する、などを想像してしまいがちではないでしょうか。
もちろん個別の銘柄選定もどのように利益を生み出すのかという点においては重要ですが、全体の資産配分をどうバランスよく保つかという、トータル・パフォーマンスへの寄与というのは非常に重要になってくるのです。
アセットアロケーションの実践
このように投資をしていく過程の中で、運用の成果への影響が大変大きく、自分がもつ資金の特性を勘案して許容できるリスクの範囲を反映させるプロセスとしても重要であるので、「アセットアロケーション」は投資の意思決定プロセスの根幹をなす作業といえます。
では、次にアセットアロケーションの実践を見ていきましょう。
まず結論として重要になるのは、個人投資家にとって、「アセットアロケーションに答えはない」ということです。
資産状況や投資目的、リスクをどれほど許容できるかによって変わるのはもちろん、年齢・家族構成・収入・資産規模・性格・ライフプランなどによっても変わります。
一人ひとりにあった『アセットアロケーション』をカスタマイズすることが大切となってくるのです。
例えば若い方であればまだ保有する資産も少なく、資産を大きくして長期的な運用を見込んでいる場合であれば、多少のリスクを背負ってでも高いリターンが見込める投資を行うでしょう。
反対に、高年齢の方で、自らが長い期間積み上げた大きな資産を減らさないために、資産を守る運用を行いたい場合であれば、リスクが低く安定が見込める資産の比率を高め、代わりにリスクの高い資産の比率を下げることが予想されます。
以上のように、適切なアセットアロケーションは一人一人の目的や資産状況、リスクをどれだけ許容できるかなどによって異なり、どのような資産の配置を行うかは一人一人の判断にゆだねられるのです。
では、実際適切なアセットアロケーションをするにはどうすればよいのでしょうか。
このためには自分のことを知る、すなわち自分の資産状況を知ることが大切になります。
自分の資産が今どのくらいありどのような割合で分配されているのかを把握するのはもちろんですが、例えば自分の資産が何割減ったらいやか、最低どれほどを手元に残したいか、などは一つの尺度となるでしょう。
自分の適切な資産状況を自分のライフスタイルや自分の考え方などと同時に把握し、自分にとってどのような資産運用が適切なのかを考えるそれに基づいて資産配置していくのがアセットアロケーションの実践となります。
この適切な資産配置を考えるにあたり、資産運用のシミュレーションや分析、資産分配ツール、提案のサービスなどもでています。
これらを適度に有効活用し自分にとってベストなアセットアロケーションを考え実行することでより投資が実りのあるものになるのではないでしょうか。
まとめ
投資の基本となる考え方、アセットアロケーションはご理解いただけましたでしょうか。
このアセットアロケーションを自分に合った形で適切に行うことで、自分の資産全体における利益の最大化や自らが理想とする資産運用の形態にぐっと近づくことができるでしょう。
どの株が、どの不動産が、というように資産の一部に注目するのではなく資産全体のバランスをみて利益を出そうとすることが重要になります。
その意味でアセットアロケーションは資産運用をする際に必要不可欠な考え方です。
これから投資を始めようかな、と考えている投資初心者の方、資産運用を今よりももっと効率的に利益を大きくして進めていきたい、と感じている方はぜひこのアセットアロケーションの考え方を参考にして投資運用を実行してみてください。