ここ数年、「ラップ口座」・「SMA」・「ファンドラップ」という言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。今、テレビCMなどでも盛んに広告されていますが、どういうサービスが御存知ですか?
これは「資産運用商品・サービス」の1つですが、日々忙しい医師の方々には最適な運用商品・サービスの1つといえるでしょう。
まずは、この「ラップ口座」「SMA」「ファンドラップ」がどういうものなのか、またどんなメリットがありどんなデメリットがあるのかを正しく理解しておきましょう。
ラップ口座、SMA、ファンドラップとは
証券会社等の金融機関が、投資家の資産運用・管理、投資アドバイス、売買の執行、口座管理などなど、資産運用に関する様々なサービスを一括で提供し、手数料を株やファンドなどの売買ごとではなく、投資家から預かっている運用資産残高の何パーセントという形で徴収する口座のことをラップ口座と呼びます。
(ちなみにラップとは英語でwrapと表記し、「包む」と言う意味です。)
顧客と証券会社の間で「当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約」と定義されている『投資一任契約』を締結し、顧客の運用方針に従って、投資に係る判断や売買等を証券会社にすべて任せる…という口座なのです。
言ってしまえば、「〇〇〇〇の方針で運用してください。証券会社さん、あとはよろしく頼みます。」…というような‟投資の丸投げサービス口座“です。
またSMAはセパレートリー・マネージド・アカウント(Separately Managed Account)の略称で、証券会社が、投資家から預かった資金を、投資一任契約に基づいて、投資家の運用方針に従って一括して運用・管理するサービスのことを指します。日本ではラップ口座とほぼ同じ意味で使われています。
こうしたラップ口座の中でも、投資信託だけで資産運用を行なう口座を「ファンドラップ」と呼ぶのです。
これが「ラップ口座」と「SMA」そして「ファンドラップ」の概要です。
ファンドラップのサービス内容と投資信託との違い
ファンドラップ(Fund Wrap)は、投資一任運用サービスの一種です。
資産を預かる金融機関が、各顧客の運用方針に基づいて、顧客のリスク許容度や投資目的に合わせて、異なるタイプの複数の投資信託(ファンド)を選び、これらを組み合わせて運用してくれるサービスです。
具体的には、運用前のヒアリングから、投資方針の提案・アドバイス、実際の運用、報告や投資先の見直しまで、トータルでのサービスを行ってくれます。
ファンドラップと同じようなサービスとして「ラップ口座」がありますが、これは最低運用額(契約金額)が数千万円~数億円程度の設定が多く、所謂富裕層を対象として作られています。これに対して、ファンドラップは、契約金額が数百万円から利用できるものもあり、ラップ口座と比べて利用しやすくなっているのが特徴です。
では、一般的な投資信託での運用と何が違うのでしょうか?
まずファンドラップは、投資信託での運用にあたって、投資のプロのアドバイスを受けることができ、これが顧客にとっての付加価値と言えます。
また、利用にあたってのコストは、通常の投資信託と同様、運用期間中は信託報酬がかかりますが、購入時の販売手数料はかかりません。
その代わりに、契約資産の時価評価額に応じて、一定額のファンドラップフィー(投資顧問料、取引等管理手数料)が徴収されることになります。この点も大きな違いの1つです。
そして通常の投資信託の運用では、ファンドの選定から管理・見直しまで全て自分一人で行わなければならないのに対して、ファンドラップでは、投資のプロが組み入れるファンドの選定や市場環境の変化に応じたリバランス、ポートフォリオの組み換え、はたまた運用状況のモニタリングから運用報告まで幅広く行ってくれます。
一言で言うと、通常の投資信託の運用と比べた場合、ファンドラップは、機関投資家向けの運用サービスを個人でも気軽に受けられるサービスと言えるでしょう。
ファンドラップのメリットとデメリット
ファンドラップのメリットはと言えば…
「資産運用をプロに任せることができる」
「投資信託購入時に手数料がかからない」
「定期的に資産配分の見直し(リバランス)を行ってくれる」
「定期的に運用報告をしてくれる」
「資産運用のアドバイスが受けられる」などが挙げられます。
一方でファンドラップのデメリットは、
「元本割れする可能性がある」(←運用なので当然ですが)
そして…
「手数料が高額になりがち」な点でしょう。
そもそもファンドラップにはファンドラップフィーと呼ばれるサービスそのものの手数料が必要になります。このフィーの名目はまちまちで、「ファンドラップ手数料」、「投資一任報酬」、「投資顧問料+管理手数料」…などと各社がそれぞれ規定しています。そしてこのファンドラップフィーは、運用がうまく行こうと行くまいと必ず負担しないといけないコストです。
このファンドラップフィーには大きく2パターンあり、『固定報酬型』と『成功報酬型』に大別できます。
成功報酬型は固定報酬型よりも割安な設定となっていますが、運用がうまく行って利益が出た時には、その何パーセントかを報酬として金融機関に支払う形態となっています。金融機関によりその報酬形態はまちまちで、中にはこの両者からどちらかを選択させてくれるところも存在します。
そしてファンドラップでは、このファンドラップフィーに加えて、投資先である投資信託の信託報酬が加算されてくることになります。
先に記載の通り、ファンドラップを活用することで、投資信託の購入時の販売手数料は免除されますが、その運用期間中に掛かる信託報酬は通常通り必要となります。
ですので、これを利用する際には、通常のファンドラップフィーに加えて、投資信託の信託報酬も必要となる為、ザックリ計算すると年間合計で投資金額の2%程度のコストを見ておかなければなりません。
そのため、それだけのコストを毎年支払ってまで利用する価値があるかが判断するべきでしょう。ファンドラップを検討する場合には、ここが重要なポイントです。
まとめ
ファンドラップは、自分一人で運用するよりも、投資のプロのコンサルティングを受けながら、しっかりとした専門知識で長期・分散投資を行った方が良いと考える方に適しています。
また、ある程度まとまった資金があり、限られた時間を効率的に使うために、付加価値(プロの投資支援)の対価として手数料を支払い、サービスを利用したいという方にも適しているでしょう。
そういう意味では時間が限られる賢者の方々にはおススメできる商品・サービスの1ついだと考えています。
ただし、上述のようにメリットばかりではありません。このサービスの活用をお考えであれば、そのメリット・デメリットを十分に認識した上で採用することをお勧め致します。
※本コラムは、筆者の許可をとって掲載しております。
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