不動産投資と生命保険。一見関係ないように思える両者ですが、実は似たような側面もたくさんあります。ライフプランを考えた上で比較検討し、どちらに投資するかを考えるのが賢い投資といえます。
本記事では、不動産投資と生命保険を比較し、生涯支出の観点から考察していきます。
どちらも営業マンがきっかけとなり情報を知りはじめます。メリットを中心に語られ、中身をよく知らずに契約し、自分のライフプランにそぐわない資産を持ってしまっている人もいます。
所有する不動産や生命保険を見直すきっかけや、自分にとってどういった資産を持っていくことが大事かをご理解ください。
不動産投資と生命保険の共通点!
不動産投資と生命保険の共通点を見ていきましょう。
【高額商品であること】
まず、どちらも高額商品であることを理解しましょう。不動産投資の場合は、購入する不動産の金額がダイレクトに目に入ってくるため、高額なのは理解できます。
生命保険の場合は、毎月数千円~数万円を支払うことになります。加入期間が長いほど高額になります。
生命保険にもいくつかあり、掛け捨てプランの場合は、保険料は安く済みますが、終身保険や養老保険など貯蓄型のプランは、高額商品といえます。
なお、掛け捨てプランの保険料が月額8,000円と仮定すると、35年間で336万円になります。貯蓄型プランの保険料が月額40,000円と仮定すると、同様に35年間で、1,680万円もの金額になります。不動産投資の金額とかなり近くなりますね。貯蓄型の生命保険の場合、満期を迎えると返ってくるため、失っているわけではありません。
【投資によるリターンが得られる可能性がある】
不動産投資の場合、インカムゲイン(賃貸収入)やキャピタルゲイン(売却益)を狙い、元本以上になることを期待します。
同様に、貯蓄型の生命保険の場合、運用プランも組み込まれているため、元本以上になって返ってくるでしょう。
リターンの率はともかくとして、投資して増やしていくという点では共通しています。
【死亡時に財産になる】
生命保険と不動産投資ともに、遺産として残すことができます。所有している不動産は、資産として遺族に継承できますし、生命保険も保険金が遺族に支払われます。
不動産の場合、現物資産として残るため、売却することで現金になります。とはいえ、賃貸物件として持ち続ければ、継続的に収入が得られるメリットは残ります。
【相続税の観点】
遺産相続の点から、不動産も生命保険も相続税がかかります。もちろん、どちらとも一定の非課税枠が設けられているため、負担を減らすことができます。しかし、不動産物件の場合、現金ではないため、資産を評価することになります。路面価で算出され、実際の時価より低い形で評価されます。つまり、こちらも税負担が軽くなります。
生命保険の役割。自分にとって何が大切かを考える
不動産投資と生命保険の共通点が理解できたところで、あらためて生命保険の役割を考えていきましょう。
大きく分けて「貯蓄型」と「掛け捨て型」のプランがあります。どちらの方が賢い選択なのでしょうか。
生命保険の機能として欲しい内容は、働けなくなった時(収入が途絶えた時)に必要なお金を補填してもらうことです。もしくは、多大なお金が必要になった時に用意してもらうことも考えられますね。
大きなお金が必要になるケースとしては、死亡した時や高額医療を受ける時です。いわゆる保険商品でいうと、がん保険や医療保険です。医療保険は入院が必要になった時に、医療費を保険で賄うというもので、健康に気を使っている方ならば、そうそう起こりません。さらに、健康保険の高額療養費制度があるため、一定額以上を支払った場合、後に払い戻しされます。
がん保険の場合は、早期発見ができたならば保険適用内ですし、超えたとしても高額療養費制度で賄えます。さらに今では、がんリスク検査のサービスも出てきているため、がんリスクが高いと評価されてから考えても良いです。
死亡保険に関しては、未成年や働けない配偶者がいる場合、収入を保障する必要があります。配偶者が経済的に自立している場合や子どもが成人している場合は不用です。
さらに加入している国民年金または厚生年金の遺族年金制度を活用すれば、18歳未満の方に一定額が支払われます。もちろん多いわけではありませんが、別の資産と組み合わせれば十分にサポートすることはできるでしょう。
保険の機能を理解し、保障に対して似たような制度があるかを理解しながら、保険のプランを考えなおすと自分の人生にとって必要な保険プランが見えてきます。
賢く生命保険を活用し、不動産投資と併用するのがベター
生命保険の役割が理解できたところで、資産を増やしていくという機能は別で補うと良いでしょう。
トータルで1,500万円~4,000万円を生命保険に支払うならば、投資用不動産を購入するのと変わりません。生命保険の貯蓄型プランと比較すると、不動産投資の方が数字上のリターンは大きいですし、ローンの支払いや修繕費の積み立てを差し引いても残る分は多いです。
もちろん賃貸用不動産の場合、どのような方が入居するかによって、劣化状況は変わりますが、ある程度良い物件で家賃も高い場合、丁寧に使ってくれる方が多いです。そういった物件は高いですが、生命保険に巨額な費用をかけるくらいなら手に入れられる可能性も高まります。
身体を壊して働けなくなっても、継続して収入に繋がることや財産として遺族に残せる資産として考えるならば、不動産投資の方がベターです。
保険も完全にゼロにするのではなく、自分にぴったりなプランに加入し、併用すると良いでしょう。
ローン契約時に必要な団体信用生命保険。生命保険の代わり
投資用不動産を購入する場合、通常は融資を受けて購入することになります。ローン契約時に団体信用生命保険に加入することになります。この保険は、ローンの借り主が死亡した場合、返還義務がなくなるという内容です。
融資を行う金融機関にとっても、返済に関するリスクヘッジをしておきたいと考えます。死亡した借り主は返済義務がなくなりますが、負債は残ります。その負債を保険で賄うといった制度です。
現物資産は保有したままになるため、相続することができ、遺族には賃貸収入を残すことができます。つまり、不動産投資が生命保険の代わりにもなるのはこの制度があるためです。
団体信用生命保険の保険料は、家賃収入の中から支払うことができれば、自己負担分は実質ゼロと考えられます。
自分自身が死亡した際に、遺族に対して資産を残してあげたいならば、生命保険でなく不動産投資で同様の機能が得られるというのは知っておくと良いですね。
まとめ
不動産投資と生命保険は、一見すると別物の様に感じます。しかし、機能や要素を見ていくと、共通点も多く、不動産投資でも生命保険の機能を果たせます。
双方の共通点は、高額商品であること、資産を増やせる可能性があること、資産として遺族に残せること、相続税のメリットがあることです。
生涯支出の観点で考えると生命保険の貯蓄型プランの場合、1,500万円~4,000万円程度とかなり高額です。生命保険は、自分のライフプランに沿って必要な保険商品を購入するのが賢く、別で置き換えられるプランは、よりリターンが得られる資産に置き換えた方がベターです。
さらに不動産投資を行う際に、融資を受けることになりますが、団体信用生命保険に加入すれば、生命保険と同様の結果が得られます。
不動産投資と生命保険の特徴をしっかりと理解し、自身にとって必要な投資を行ってください。もし、生命保険にかなりの金額を支払っているならば、内容を見直すことからはじめてみてはいかがでしょうか。