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人口が減少するから地価が下がるは嘘?人口と地価の本当の関係とは?

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(写真=Pla2na/Shutterstock.com)

地価はさまざまな要因によって変動しますが、一般に人口の変動が最も大きな影響要因であると考えられてきました。しかし、人口の変動と地価の推移を見てみると、別の要因によって地価が変動していると考えることができます。また、日本の人口は長年減少傾向にありますが、本当に地価も減少し続けるのでしょうか。地価が変動する理由について具体例を交えて確認していきましょう。

地価が下がる理由とは

これまで多くのメディアでは、地価が下がる原因として人口の減少が説明されてきました。特に、不動産業界では人口減少に関連して、少子高齢化によって資産価値が激減すると予測されている、2019年問題が大きな話題となっています。

2019年頃には住宅供給数が総世帯数を上回るため、住宅価格が自然と減少していくといわれています。また、東京の人口も2020年以降は右肩下がりとなり、不動産の需要も徐々に低下していくとされています。

しかし一方で、地価の変動は人口の減少というよりは、インフレやデフレの影響に大きく影響されると指摘する声もあります。また、一部では人口減少はむしろインフレの要因となり、金利や地価、物価の上昇に影響するという見方もあります。地価が下がる理由を単純に人口の減少と決めてしまうのは、いささか早計かもしれません。

例1 東京の場合

現実に、人口が増加したにもかかわらず、地価は下落したという代表的な例が東京です。2000~2012年までの東京23区の人口の増加は著しく、12年でおよそ93万人増加となりました。

ところが東京23区の地価の変動を見てみると、量的金融緩和や、りそな銀行の事実上の国有化などによって引き起こされた、2003年~2008年までのミニバブルを除くと、下落傾向となっています。

10年で人口が100万人増加するということは、いわば大都市が一つ増えたようなもので、決して無視できるような小さな変動ではありません。この事実から、不動産価格は人口によって増減するというよりは別の要因によって大きく変動するということができます。

また、別の要因として不動産価格の下落はデフレによるものとの見方が強まっています。デフレであれば物価が下落し消費が抑えられ、不動産価格が下落することも当然の成り行きといえます。実際に1990~2010年は「失われた20年」と呼ばれ、日本はマイナス成長に陥りました。地価の下落はデフレによるものと考えるべきだといえるでしょう。

例2 ニューヨークの場合

東京23区では人口が大きく増大したにもかかわらず、不動産価格は減少傾向にありました。東京23区とほぼ同じ面積をもつニューヨークにおいても、人口動態と不動産価格の関連性が疑問視されるデータがあります。ニューヨークの2000~2010年までの人口増加量を見てみると約17万人で、東京23区の100万人と比べると小さい変動です。

しかし、その期間に不動産価格は2倍以上増大しています。10年間で17万人程度の人口増加であればさほど大きい変化とはいえません。たとえば、札幌市の場合では2000~2010年の間に人口は約9万人増加しましたが、不動産価格の下落幅は小さく、その値は上下しながら推移しているため目立った変化とはいえません。

ニューヨークでの事例からみても、不動産価格の変動は人口では無く別の要因に左右されていると考えられます。また、2008年には、サブプライムローン問題などで世界的な金融危機が発生しましたが、2000~2008年まではニューヨークは景気拡大の状態にありました。やはり、不動産価格はインフレやデフレによって変動していると考えることができます。

今後の日本

日本の人口は減少傾向にありますが、東京やニューヨークの事例からわかるとおり、地価の変動は人口ではなくインフレやデフレによって大きく影響されると言えます。多くのメディアでは地価は下落傾向にあると言われていますが、現在日本が進めているアベノミクスによって、もしインフレ傾向となった場合は人口が減っているにもかかわらず、地価は上昇する可能性があります。

不動産に興味がある方は、今後の日本の景気動向に注目する必要があるといえるでしょう。

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