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富裕層だけが持つ超FIRE的思考

FIREは、「経済的自立」と「早期リタイア」を組み合わせた言葉です。

アメリカで流行りはじめ、日本でも関連書籍が多く出版されるなど2021年頃にブームとなりました。

コロナショック以降の株価や暗号資産等の高騰、高配当、不動産の賃貸収入などにより、実際にFIREを達成した人も少なくないでしょう。

今は株価等が低迷していますが、いずれは回復すると思われます。

しかし現代は、「人生100年時代」とも言われる超長寿社会です。そんな時代に、FIREを目指す意味は本当にあるのでしょうか。

 

改めて知りたいFIREとは

FIREとは、「経済的自立」を意味するFinancial Independenceと、「早期リタイア」を意味するRetire Earlyを組み合わせた造語です。

自由を求める若年層や閉塞感を抱えている30代、40代を中心に、早期リタイアして経済的な自立を目指す新しい生き方として2020年頃からブームになっています。

FIREにおける基本ルールは、「25年分の生活費を用意して、それを年利4%で運用すること」です。

例えば、生活コストが年間400万円であれば、1億円の資産を築いて年利4%で運用益を得られることで、理論上は資産を維持したまま暮らしていけることになります。

年に300万円で良いなら7,500万円の資産で済みます。4%という数字の根拠は、アメリカのS&P500の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を差し引いたものです。

 

次々に生まれるFIREの種類

FIREブームの背景には、新型コロナウイルスの感染拡大による働き方の変化や価値の変化があったでしょう。

・ライトFIRE
・サイドFIRE
・プチFIRE
・20代30代のFIRE
・50代60代のFIRE

など、幅広い世代に向けたFIRE関連書籍やメディア記事、新たな言葉が量産されました。

ライトFIREやサイドFIREは、厚生年金を得ながら会社を辞めるパターンです。

パート・アルバイトで厚生年金に加入し、ある程度の自由を確保しながら生活します。

メリットには、一定程度の年収が見込めることや、老後資金がショートするリスクを軽減できることが挙げられます。

プチFIREとは、5年ほど早く会社を辞めて、老後前の自由を楽しむパターンです。

5年分の生活費を60歳までに貯めておき、60歳で会社を辞めることにします。

メリットは、年金や退職金ももらえるので老後を含めたマネープランの見通しが立てやすいことです。

50代や60代でFIREとなると、それはただの早期退職ではないかと思いますが、人生100年時代ではFIREなのかもしれません。

このように、FIRE関連の多くの書籍・記事は、会社員の方を対象に書かれているようです。

 

富裕層は仕事と趣味と生活を等式にする

仕事や人生の価値観や生活スタイルは人それぞれですから、正解はありません。

自分なりの正解を出していくしかないでしょう。

FIRE関連の情報を見ていて感じるのは、「仕事への気持ちのなさ」です。

仕事は、それほどまでに逃れたい対象なのでしょうか…と、疑問に思います。

本メディアをお読みになっている方の多くは、経営者や起業家の方でしょう。

経営者や起業家は、自分の定年やリタイア時期を自分で決めることができます。というよりも、自分で決めなければいけません。

筆者自身の過去を振り返ってみると、小学生の頃に経験した歌舞伎の世界、学生の頃に時間をともにした画家や小説家、映画監督、メディアアーティストなど、いずれも「定年制度」もなければ「リタイア」という概念もない人たちばかりでした。

彼ら彼女らにとって、仕事と趣味と生活に境界はなく、すべてが結びつき等式になっています。経営者や起業家の方々もそうでしょう。

「画家は60歳で志し、70歳で自らの道を定め、80歳で事を成し、90歳過ぎたら化け物だ」

という言葉があります。

この言葉を知ったのは十代の頃でしたから、「自分は、まだ生まれてもいないのだな」「何にでもなれるな」と感じたものでした。

人生100年時代と言われるようになり、70歳を超えても現役を続ける人たちが増えてきました。

高齢になればもちろん、後進のことを考え、終わりを意識して備える必要はあります。

ですが、FIREなんて考えずに日々平気に過ごす方が、人生をより豊かにするのではないでしょうか。

実際に、私の知る限り超富裕層、富裕層の方々は、日々忙しくも生き生きと過ごしています。

年齢に関わらず、FIREなど考えている人はまずいません。

※本コラムは、筆者の許可をとって掲載しております。
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