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<後編>お客様が集まるのは広告ではなく○○ 有限会社サンク・センス 代表取締役 松浦尚子

<中編>サンク・センスだけの特別感、ワインスクールという名の『大人の社交場』

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<後編>お客様が集まるのは広告ではなく○○

信頼関係を生む秘訣は「相手の線に立った行動をすること」

ーサンク・センスさんのワインショップは50社と契約されているとHPにありましたが、50社も契約関係を結ぶことは簡単なことではないですよね。
信頼関係を築かれるためにどんなことを行われているのでしょうか?

 

松浦:お蔭様で、港区白金にある当ワインショップはOPENから13年目を迎えます。ワインセレクションは自分たちが美味しいと心から思えるものだけを厳選、最終的にはお客さまに選ばれるワインだけを残していきます。もちろん、温度管理も万全です。ただ安売りはしません。定価で販売しています。

 

ー今いろいろなサイトもありますし、定価より安く売られていることもよくみかけますが、定価で販売することは難しいのではないですか?

 

松浦:もちろん難しいことではありますが、自信を持って選んだワインをオススメするときには、味や香りの説明、料理との相性などのアドバイスを付加価値として提供しています。お客さまのご要望をよく聞くことも、信頼につながっているのではないかと思います。

ーなるほど。

 

松浦:現在サンク・センスで扱っているワインはおよそ350種ですが、全てのワイン札は全てオリジナルな言葉で1つ1つ手書きをしています。

ーすごいですね!すべて手書きをするのは大変ではないですか?

 

松浦:大変ではありますが、手書きで私たちの気持ちがこもったオリジナルなメッセージにより、お客さまに私たちの気持ちが伝わると感じます。

 

ポイント

ワインを安売りはせず、定価で販売する

(アドバイスという付加価値をつける。お客さまとの信頼関係を大切にする)

 

全てのワイン札はオリジナルな言葉で手書きをしている

(手書きのメッセージはお客さまに気持ちを直接伝えられる手段)

 

富裕層の方は時間と信頼を大事にするスマートな方が多い

ー確かに手書きだと思わず足を止めて読んでしまいますね。
富裕層の方がワインを購入する上で、面白いといいますか、何か変わった理由でご購入に繋がったことなどはありますか?

 

松浦:お子さまが生まれた年のヴィンテージワインを買われる方は多いですね。
お客さまの好みを丁寧にヒアリングします。結果、何度も購入につながり、何百万円とワインを買ってくださったこともありました。さらに、友達の方にご紹介いただきました。

ーそれはすごく嬉しいことですね。

 

松浦:本当に有難いことだなと思いました。
1度信頼してくださると、『この人がすすめてくれるものは基本購入する。この人に任せたら安心』と信頼を寄せてくださいます。小さなことにこだわらない、スマートな方が多い印象ですね。

 

ー富裕層の方は無駄なことが嫌いという方も多いですよね。

 

松浦:ワインのことは、ワインのプロである私という人間に任せたのであれば、そこはもう信用して任せる。時間は皆平等に24時間しかありません。
つまり、時間の使い方が上手な方が多いなと思います。

 

ポイント

お客さまの信頼を得るには、時間をかけた丁寧なヒアリングが必要

1度信頼を得ることができれば、富裕層の方は任せてくれる(リピートにつながり、紹介して頂けることも)

 

ー確かにそうですね。
富裕層の方は自分のスタイルをしっかり持っていらっしゃいますよね。
サンク・センスさんでは、異なる分野とのコラボレーションやイベントをいろいろ行っていると拝見したのですが、今までで松浦さんが心に残ったイベントはどんなイベントだったのでしょうか?

 

松浦:心に残っているのはアートとのコラボイベントですね。
アートは日本が誇る葛飾北斎の北斎漫画、ファッションはカリフォルニア発のアパレルブランドで「フレッド・シーガル」という店が代官山にありました。「フレッド・シーガル」の店舗でワインを飲みながら北斎漫画を鑑賞し、さらに購入も可能というアニバーサリーイベントを行いました。
このイベントにはサンク・センスワインCLUBのメンバーもご招待したのですが、とても喜んでくださっていました。

 

ーワイン×アート×ファッションという組み合わせはすごく斬新で面白いですね!
イベントでサンク・センスワインCLUBのメンバーにも喜んでいただけたとありましたが、サンク・センスワインCLUBのメンバーは現在何名いらっしゃるのですか?

 

松浦:現在は1300名以上です。

 

ー集客と顧客化で悩まれる事業者が多い今、1300名もいらっしゃるなんてすごいですね!
どのようにしてメンバーをそこまで増やして、飽きさせない工夫などされたのでしょうか?

 

松浦:口コミですね。
実はワインショップは今までも広告を出したことはありません。
古いビルの2階、細い階段を上った先にあるお店で、「皆さんよく上がって来てくださって有難いな」と思うのですが、お聞きすると口コミが来店につながっていることが多いです。
3階にあるワインスクールには、遠方からも来て頂きたいので広告は出していますが、こちらもご紹介が多いです。
メールマガジンを定期的に発行し、HPの情報もこまめに更新しています。ずっと途切れずにコンタクトをすることで昔の方が再度参加してくれることもあります。

 

「〇〇業界のことは〇〇さんに聞こう」という価値を提供できるポジションが大事

ーそういった日々の積み重ねがお客さまを離さない秘訣なのですね。
では最後の質問となります!今までのお話からも富裕層の方は信頼関係を1番大事にされていますよね。
松浦さんはワインを通していろいろな富裕層の方とも接してこられたと思うのですが、他にどういった行動などが富裕層の方の心をつかめると考えられますか?

 

松浦:正直私から何かをするというよりも、運よく、色々な方によくご紹介いただくことができました。
「なぜ私に紹介してくださるのだろう」「私を覚えて下さっているのだろう」と考えたときに思ったのが『分かりやすさ』。例えば私でしたら『ワインの人』笑
しかも日本ではなく、フランスで勉強してきたワインの人ということで、印象に残りやすい、覚えやすい肩書きで、ふと思い出してもらえるのだと思います。

なにか違う差別化できる分かりやすい看板があれば、相手の方の記憶に残るので、向こうから必要な時に声をかけていただけます。
その人の頭の片隅に「そういえばこの人前にこんなこと言っていたな」と、印象に残る分かりやすさがあればどんどんつながりが広がっていくのではないかと思います。


ポイント

自分を覚えてもらうには、他と違う差別化できる分かりやすい自分の看板をつくることが大事(記憶に残る印象をつける)

 

松浦さん、本日はありがとうございました!

 

取材を終えて…

自分を覚えてもらうことって難しいようで、実はすごく簡単で単純なことですね。確かに私も、先日買い物に行ったときに、その商品に対して愛が溢れているスタッフさんが、その商品についてすごく丁寧に長い時間をかけて説明してくれたのです(笑)
ただ私、その時は特に必要ではなく買わなかったのですが、後々その商品が必要になったとき、そのスタッフさんの顔がふと思い浮かんで、わざわざそのスタッフさんがいるお店に買いに行きました。
(買いに行ったときすごく喜んで下さって、また絶対この人から買おう!となりました)

自然とその人の顔や名前が思い浮かぶというのは、まさに松浦さんが話されていた『明らかな差別化と印象に残る分かりやすさ』なのではないでしょうか。

お話を聞かせて頂いた松浦さんは、その部分を忘れず日々意識して行われているからこそ、より多くの富裕層の方との関係性を長く、そして深く築き上げることができているのでしょうね。