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自主管理か管理会社委託か 不動産投資後の管理の方法

自主管理か管理会社委託か 不動産投資後の管理の方法

不動産投資を始める場合、決めておかなければならないことがあります。それは、管理の方法を自主管理と管理会社委託のどちらにするかです。ただ、初心者の場合、その選択によって何が変わってくるのかがよく分からないという人も多いでしょう。そこで、両者のメリットやデメリットを説明しつつ、実際にはどちらを選べば良いのかについて解説していきます。
 

自主管理と管理会社委託の違いとメリット・デメリット

不動産投資はマンションなどの物件を購入すればそれで終わりというわけではありません。仮に、マンション経営を行うとすれば、当然所有しているマンションを管理する必要が出てきます。そして、その管理の方法には大きく分けて自主管理と管理会社委託の2種類があります。自主管理とは物件の管理をオーナー自らが行う方法であり、それに対して管理会社に管理を委託するのが管理会社委託です。両者にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

まず、自主管理の場合、管理手数料を払わなくて済むというのが最大のメリットです。また、不動産物件の点検や工事などで業者に依頼する際にも自分で安いところを探すことができますし、依頼に伴うマージンを管理会社に支払う必要もないので経費節減につながります。さらに、管理を直接行っているとマンション経営のノウハウが自然と身についていくというのもメリットの一つです。その結果、エレベーターや消防設備などの点検ノウハウを身につけてコストダウンを図るなどさまざまな方法を実施することで、より多くの利益を追求することができます。他にも、複数の不動産仲介業者に直接客付けを依頼できるという点も見逃せません。管理会社に客付けを委託すると、入居者がどれだけ集まるかはその会社の力量に左右されることになります。もし、客付けに関して力量の低い会社なら、全然入居者が埋まらないということにもなりかねないのです。その点、自主管理ならば、入居率に応じて客付けを依頼する不動産仲介業者を増やしていくといったことも可能です。そうすれば、不動産投資における最大のリスクの一つである空室リスクを大幅に軽減することができるようになります。

しかし、これらのメリットはデメリットの裏返しでもあります。何故なら、自分で決めるということはそれだけ多くの手間がかかるということを意味しているからです。入居者が退去するたびに立ち会わなければなりませんし、敷金の清算なども自分で行わなければならなくなってきます。加えて「雨漏りがしている」「設備が故障した」などといった入居者からのクレームも自分で処理しなくてはなりません。しかも、こうしたクレームは時間を選ばないため、受ける側からするとかなりのストレスになります。特にそれが入居者同士のトラブルだったりすると一朝一夕には解決しないケースも多く、そうなるとオーナーのストレスは一層大きなものになってしまうでしょう。

一方、管理会社委託を選択すれば、管理の手間はほとんどかからなくなります。不動産管理に詳しいスタッフが自分に代わって24時間365日対応してくれるため、オーナーは非常に楽です。入居者のクレームに対する処理も管理会社が行ってくれますし、小さなクレーム程度ならオーナーの耳に届くことすらないでしょう。大きなトラブルの場合はオーナー自身が判断しなければならないケースもあるかもしれませんが、それも大まかな指示さえ出せば、あとは管理会社で処理をしてくれるはずです。

その代わり、管理を委託しているので当然手数料を払う必要が出てきます。具体的にどのぐらいになるかは会社やサービス内容によっても変わってきますが、大体賃料の2~7%程度が相場です。そして、気を付けたいのが選んだ管理会社や担当者によって、得られる結果が大きく異なるという点です。質の良い会社を選ぶことができれば良いのですが、その逆を選んでしまった場合、大きな損失が出てしまうことにもなりかねません。そうなれば、支払った手数料は丸損になってしまいます。

このように、不動産物件の管理方法にはそれぞれメリット・デメリットがありますから、選択する際には最初にしっかり把握しておくことが重要です。
 

どう選べばよいのかは投資スタイルによる

不動産投資にはいくつかのスタイルがあります。そして、自主管理と管理会社委託のどちらを選べば良いかという問題も、そのスタイルによって変わってきます。まず、自主管理に適しているのは築年数の古い建物を狙って投資する築古物件投資です。この投資スタイルを選択すると低価格で物件を購入し、セルフリフォームでリフォーム費用を抑えることで高利回りの物件として賃貸に出せるというメリットがあります。もし、賃貸経営に失敗しても元手があまりかかっていないため、土地を売却して損失を最小限に抑えることが可能です。ただし、物件が古いと管理会社が管理を引き受けたがらないというデメリットがあり、そのため、自主管理を前提に計画を立てる必要があります。

また、セルフリフォームとまではいかなくても、高利回りの物件に絞って投資するキャッシュフロー最優先のスタイルもあります。具体的には、地方を中心に比較的安いアパートや戸建て物件などを探し、10~15年程度での資金回収を目指します。同時に、常に物件の売却を視野に入れ、良い条件での買い手が現れれば転売をすることで利益を確保する方法です。短期での資金回収を目指すため、これも必然的にコストを抑えることができる自主管理が基本となります。

逆に、管理会社委託を前提に考えた方が良いのが長期的な資金回収を前提とした投資スタイルです。例えば、ローンを利用して立地の良いマンションを4~6部屋程度購入したとします。それを管理会社に委託して15~30年程度待ち、返済額が少なくなった時点で数部屋を売却してローンを完済します。そうすれば、あとは借金なしでマンション経営ができる方法です。管理が長期に渡るため、管理会社に委託した方がオーナーの負担を減らせるでしょう。さらに、海外の不動産に投資するスタイルの場合も自主管理は困難であるため、必然的に管理会社委託を選択することになります。
 

自主管理は本当の意味での不労所得にはならない

働かずにお金を儲けられる、つまり不労所得を得られるというのは不動産投資の大きな魅力の一つです。しかし、自主管理を選択すると本当の意味での不労所得ではなくなってしまいます。なぜなら、自分で管理することが多すぎるため、実質上労働をしているのと変わらなくなってしまうからです。例えば、入居者募集の手配は不動産仲介業者に依頼することも可能ですが、借り手が現れた場合は賃貸契約の締結を自分で行う必要があります。また、退去時には必ず立会いをしなければなりませんし、その上家賃の入金管理も毎月行わなければなりません。全員が家賃をきちんと払ってくれれば良いのですが、未払いが生じた場合は一つ一つ対処する必要が出てきます。その上、入居者や不動産業者などからの問い合わせがあればそのたびに対応し、他にも施設の修繕工事を行う業者の手配や解約の際の清算手続きといった具合にこまごまとした仕事が多々あります。

一つ一つはそれほど労力がかかるものではありませんが、これらを全部一人で行うとなれば「不労」とは程遠い状態になってしまうでしょう。自主管理を選択する場合はこういった手間についても覚悟する必要があると言えます。

 

【まとめ】目的に合った管理方法を選ぼう!

自主管理にも管理会社委託にもそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。しかし、少なくとも不労労働を目指すのであれば、管理会社への委託は必須となります。逆に、手間はかかっても良いのでなるべく利回りを良くしたいというのであれば、自主管理は有力な選択肢です。まずは不動産投資で何を目指したいのかをよく検討し、その上で最適な方法を選ぶようにしましょう。