統合型リゾート(IR:Integrated Resort)整備推進法、いわゆる「カジノ法案」が通り、いよいよ日本にもカジノを有する統合型リゾートが誕生することになります。
日本に統合型リゾートができることによって、どのような経済効果が生まれるのでしょうか。逆に、ギャンブル依存症やマネーロンダリング、反社会的勢力の加入など、解決すべき課題はたくさんあります。
本記事ではカジノにまつわる現在の状況をまとめました。
統合型リゾート(IR)とは
統合型リゾート(IR:Integrated Resort)とは、宿泊施設のホテルにMICE施設やショッピングモールやレストラン、スポーツ&レジャー施設、劇場や映画館、カジノなどのエンターテイメント施設を一体化した観光やビジネス目的の施設です。
ちなみにMICEとは、会議(Meeting)、報奨旅行(Incentive Travel)、国際会議(Convention)、展示会/イベント(Exhibition/Event)の頭文字を取った造語で、その目的から多くの人が集まります。
つまり、統合型リゾート施設を作ることによって、主に観光やビジネス向けの流入が増え、新たな経済効果を生み出すことになるのです。
国外のIR施設を見ると、アメリカネバタ州のラスベガス・サンズやシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズやマカオのスタジオシティなどが有名です。
なお、マリーナ・ベイ・サンズにおいて、収益全体の80%近くがカジノ収益から得ているというデータもあり、IR施設を作る上で、カジノは欠かせない存在です。
日本の観光産業を活性化し、経済効果を生み出すようになれば、様々な財源の確保にも繋がるのです。
IRはインバウンド向けのもの!雇用創出と経済効果アップ
統合型リゾート整備推進法が成立されましたが、日本ではカジノについての盛り上がりが欠けている様に感じます。
カジノのイメージによる問題が山積みになっているだけでなく、国内利用者は高い入場料を支払う必要があり、現金でしかチップが購入できないなど、日本人が利用しにくい規制も合わせて盛り込まれています。
シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズを例に取るとわかりますが、シンガポール在住者がカジノを利用するためには、色々と制限がかかっています。
例えば、入場料に100シンガポールドルの支払いが必要で、時間制限も設けられており、24時間を超える場合は、さらに支払う必要があるなど、シンガポール国民が遊ぶのには冷遇されています。
つまり統合型リゾートの目的は、外国人観光客を増やし、巨大な経済効果を生み出そうというものです。その結果、税収も増えることになり、財源難の改善に至ると予測されています。
さらには、IR施設の雇用創出や産業の活性も見込めるため、メリットも大きいです。
カジノのオープンは2025年頃?!
法律が成立し、これからカジノのオープンまで、話が進展していきます。
将来的には、国内に三ヶ所までできると決まっていますが、一番初めのオープンはどれくらいの時期を見込んでいるのでしょうか。
当初の予定では、2020年の東京オリンピックと合わせて開業したいと考えていたそうですが、法案の成立が延びたため、オリンピックまでには間に合いません。次に有力なのは、大阪万博が開催される2025年頃です。
大阪万博の開催予定地は、大阪湾の人口島「夢洲」です。大阪万博と合わせて、カジノを含む統合リゾートのオープンを構想としているようです。
日本初のカジノはどこにできる?!候補地はどこ?
日本初のカジノは、どこにできるのでしょうか。また、統合リゾートを国内に三ヶ所まで作れるということから、将来的にできる場所も気になりますね。
カジノを誘致しようと立候補している都市は、北海道に三ヶ所(苫小牧、釧路、留寿都村)、東京、千葉、神奈川(横浜)、大阪、和歌山、長崎、沖縄です。
中でも一番有力なのは、大阪です。前述した、大阪万博と合わせて統合リゾートをオープンさせようと考えており、大阪万博で足を運んだ外国人観光客に満喫してもらい、継続的なインバウンドの増加を計画しています。
近畿エリアなら、和歌山も有力です。関西国際空港から車で45分程度のところにある和歌山マリーナシティを中心とする人工島も、誘致のために力を入れています。
その他、長崎や都内も有力な場所といわれています。長崎はハウステンボスを中心としたエリアに作ろうというものです。
九州には、世界遺産や自然遺産など観光資源がたくさんあります。アクセス面でも、新幹線の新路線が2022年に開通し、佐世保港が国債クルーズ拠点形成湾に指定されるなど、利便性は上がります。
逆に神奈川は、横浜の山下ふ頭に誘致しようと計画がありましたが、住民の7割近くの方が反対しており、統合リゾートができるのは難しいと予想できます。
国内に三ヶ所までと決まっていますが、いきなりすべての計画が通るとは限りません。まずひとつ作り、様々な課題が出てくるはずです。それらを解決しながら、第二、第三の統合リゾートの開発に着手していくことでしょう。
統合リゾートが成功するためには、一番初めの施設が鍵を握っています。
カジノ関連株にも期待感大!
統合リゾートが日本国内にできることが既定路線となりました。新たに産業が生み出され、関連企業の事業拡大も見込めると考えられます。
つまりカジノ関連銘柄は、期待感が高まり、株価も上昇すると推測できます。ただし、まだどこに作るかということが決まっていないため、運営会社も決まっていません。
事前予測をして、攻めるというのもひとつですし、様子を見守るという意味合いで、今からアンテナを立てておくことはやっておいたほうが良いでしょう。
カジノ用のゲーミングマシンの開発・販売を行っているピクセルカンパニーズや国内カジノ開発を見据えて、韓国企業と合弁会社を作ったセガサミーホールディングスも期待が持てます。
その他、カジノ施設向けの電子決済サービスを行っているテックファームなども追っていく必要があります。
まだ、決まっていないことが多いため、どの企業が上昇していくかはわかりませんが、今後成長する業界であるため、カジノ関連企業には関心を持っておくのも良いでしょう。
課題は山積み!どこまで受け入れられるか
カジノを始めとした統合リゾート関連の課題は山積みです。ポジティブな捉え方をするならば、経済の活性化や雇用創出、外国人観光客の増加などです。
逆に問題も抱えており、依存症や治安の悪化、マネーロンダリングなど考えていくことは多いです。
カジノ=ギャンブルということから、依存症を気にする方もいますが、カジノは富裕層向けの娯楽ということもあり、庶民が依存症になるということは考えにくいです。
カジノはパチンコやスロットとの層とも違っており、現在行われている公営ギャンブル等からお客が流れていくとは考えにくいです。もちろんゼロではありませんが、様々な規制があることから、回避できるという見方もあります。
それより、外国人観光客が増えることによる治安の悪化が気になります。また、犯罪組織との関わり合いやマネーロンダリングの問題は、海外でも抱えている問題でもあるため、日本でも起こりえます。
統合リゾートは、主に外国人観光客向けのサービスとなっていますが、提供するのは日本人でもあるため、どれだけ受け入れられるかが、成長の鍵となります。
まとめ
統合リゾート整備推進法が可決され、いよいよカジノを有したリゾート開発が加速していくと見込まれます。
オープンは大阪万博と同時期になると予想され、東京オリンピック後の大きな目玉となりそうです。
国内向けというより、外国人観光客を増やし、経済を促進するのが主な目的です。統合リゾートがオープンすることで、雇用の創出や関連産業の発展が見込めます。課題は山積みですが、規制を設けながらうまくコントロールしていくことで、安全な統合リゾートが完成することでしょう。