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不動産投資における一棟と区分とは?それぞれのメリット・デメリット

不動産投資における一棟と区分とは?それぞれのメリット・デメリット

不動産投資を始めるのであれば、まずは利益を生み出すことができる不動産を入手する必要があります。その不動産投資には一棟不動産投資と区分不動産投資の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。この記事では不動産投資とそれによって得られる利益について焦点を当て、生じるメリットやデメリットをご紹介します。
 

区分とは?そのメリット・デメリット

 
まずは「区分不動産投資」についてです。不動産投資における区分とは、マンションやアパートなどの一室のことを示しています。新築か中古かという点とどのような立地なのかによって分けることができ、新築で大都市に建てられたもの、中古で大都市に建てられたもの、新築で地方や郊外に建てられたもの、中古で地方や郊外に建てられたものの4つになります。そのそれぞれに特徴があります。

新築・大都市の区分不動産は、まず物件自体が高額になる傾向にあります。東京都内であれば3,000万円以上する物件も珍しくありません。一室の価格が高いため、利回りは他の条件に比べて劣りますが、賃貸としての需要が高く空き室になりにくいことから安定した収益を得ることができます。逆に、同じ大都市に建てられていても中古の物件は手ごろな価格で購入することが可能です。目安でいえば、同じ条件の新築物件の7割程度の金額です。また、大都市圏にあることから賃貸としての需要も高いため、こちらも長期にわたって安定した収入を得ることができます。ですが、経年劣化など避けられないリスクについて、購入前に確認しておく必要があるでしょう。

地方や郊外に建てられた新築物件は、大都市圏の新築物件に比べると安価に購入することができます。しかし、その周辺の立地などによっては賃貸としての需要が低く、空き室になるリスクを抱えています。同じ地方で中古の物件であれば、4つの中で最も安い価格で購入することができ、入居者がいた場合は最も利回りが良くなります。しかし、家賃収入として得られる額がそれほど高額ではないため、内装工事費などがかさんでしまうとせっかく利回りが良くても収益につながらない場合があります。また、立地的に需要が高くない場合は空き室が長期化するというリスクも抱えています。

区分不動産投資で成功するためには、様々なリスクを抑える必要があります。まずは中古物件であったとしても、昭和56年に定められた新耐震基準で建てられているか確認しましょう。新耐震基準は震度6強の地震でも建物が倒壊せず、中にいる人の安全を確保できるというのが基準として定められています。目安としては、昭和58年以降に分譲開始となった物件です。また、区分不動産投資ではその建物を管理する会社があります。建物は経年劣化を起こすため、管理会社はすべての部屋の分譲者に対して積立金を集金します。この積立金はマンションの戸数で割りますので、総戸数が多ければそれだけ1室あたりの負担は少なくなります。

区分不動産投資を選ぶメリットは、投資資金が少額でも始めることができる点です。不動産投資ローンを利用する場合、都内の中古ワンルームマンションでおよそ100万円程度から始められます。投資金額が安価であるため、融資を受けやすくなり始めやすい不動産投資です。また、一棟不動産投資であれば全室の立地条件が同じになるため、自然災害や賃貸需要を上げるための施設が移転した場合に大きな影響を受けてしまいます。これが区分であれば、影響を受けるのはその一室だけになるため、区分不動産をいくつか所持している方がリスクの分散ができます。

反対に、デメリットとしては投資金額が小さいため、利益もそれほど大きくなりにくいということが挙げられます。また、1室しか所持しておらず、入居者がいない場合でローンが残っていれば、自分の収入や貯蓄からそれを補填する必要があります。土地や共用部分は管理会社所有のため、建物の老朽化などにより改修を行いたくてもその部分は自由にすることができません。さらに部屋の価値を上げるためにリフォームやリノベーションなどを行いたい場合も、他の部屋を所有しているオーナーとの兼ね合いなどにより却下されることもあります。
 

一棟とは?そのメリット・デメリット

 
「一棟不動産投資」は一棟物件、つまり数戸以上の部屋数がある建物全体を購入し、その各部屋を賃貸として運用することを示しています。多くの場合はその土地も所有しているという扱いになります。区分不動産も同じ建物の数戸を購入することで見かけ上一棟投資のような運用はできますが、この土地を所有しているかどうかが大きな違いになってきます。

まずメリットとして、複数戸を所有していることが前提ですので、空き室になった際のリスクが少なくなります。区分所有により1室しか所有していなかった場合、空き室が出れば収益は0です。しかし、20戸ある一棟物件を所有していれば、4部屋が空き室になっても損失は20%です。もちろん満室になれば大きな利益が生まれますし、ある程度以上入居者がいればそこから得られる家賃収益で赤字になる可能性が低くなります。また、土地自体も所有している場合が多いですので、建物の老朽化に伴って建て替えを行うという権限も持ち合わせています。その他、部屋のリフォームやリノベーションを行う際に他のオーナーと揉めることもありません。その不動産を売却する際も建物自体は経年劣化があり、購入時よりも安値あるいはほとんど0に近い価値になっていることがあります。しかし土地は劣化しませんので、よほどのことがない限り購入時より大幅に低下することはないと言えるでしょう。

反対にデメリットとして、初期投資額が大きくなるという点があります。マンションやアパートを丸ごと購入することから、都心であれば中古物件であったとしても1億円以上の価格になります。よほどの手元資金がなければ不動産投資ローンを組んで購入することになりますが、ローンを組むことができる額は年収などにより上限が定められている場合や最低限必要な年収や自己資金があることを前提としている場合が多いです。そのため、一棟丸ごと物件を購入する資金を集めるのが難しいと言えるでしょう。また、災害や賃貸としての需要が変化した場合に一気に損益が出るリスクが高くなります。建物が被災した場合に修繕費がかさむことを予測し、保険への加入や修繕費用の積み立てが必要です。

需要の変化は予測が立てにくく、入居者数に大きな影響を与えます。例えば、入居者の需要を高める施設に大学や工場などがありますが、その大学や職場が移転してしまえば、それを目的に入居していた人を集めることが難しくなります。移転前にある程度情報を得ることはできますが、その頃には新規の入居者を確保しにくくなっているでしょう。特に少子高齢化と大学改革で私立大学が土地の安い郊外に移転しているというケースもありますので、それほど非現実的な出来事ではありません。
 

投資の方針によりどちらにすればよいかは変わる

どちらの不動産投資にもそれぞれメリット・デメリットがあります。どちらを購入する方が良いのかは、投資の方針により大きく変わります。手軽に始めてローリスクで将来に備えたいという場合は、区分不動産投資が良いでしょう。反対に、どんどん規模を拡大し、不動産投資による収益で暮らすことを考えているのであれば一棟不動産投資が向いています。もちろん、一棟を購入するために最初は手軽に区分不動産を購入して資金を調達し、その後に一棟不動産を購入してローンの返済をしながら資金を貯め、リスクの分散を考慮して複数の地域に一棟不動産を所持するというのも一つの方法です。
 

【まとめ】不動産の区分投資と一棟投資

 
区分不動産投資は、自己資金が少なくても手軽に始めることができます。ローンを組む場合も少額で済み、地価や需要の変化があっても影響を受けるのはその部屋だけですので、ローリスク・ローリターンの投資です。一棟不動産投資は、ある程度以上の自己資金が必要で購入自体も難しく、需要や災害による影響が大きいです。しかし、安定した家賃収入や大きな収益を得られるため、ハイリスク・ハイリターンの投資と言えます。どちらが自身に合うか、メリットとデメリットをしっかりと把握した上で検討するようにしましょう。