2018年1月より「つみたてNISA」がスタートしました。NISAの特徴である少額投資かつ、得られる利益は非課税とメリットを残しながら、年間40万円までの積立投資ができ、最大で20年間まで続けられます。
従来のNISAは、年間で120万円まで、最大5年と短かった為、今回の「つみたてNISA」はより長期的な運用を行いたいと考えるならば、20年もの間、非課税で投資ができるという点は魅力です。
とはいえ、20年というかなり長い期間になるため、良いときも悪いときも経験するはずです。投資を成功させるためにも、その時代に即した投資戦略を取りたいものですね。
様々な投資案件がある中、「つみたてNISA」が向いている人の傾向を考察していきます。また、「つみたてNISA」の特徴や、その他の似ている投資案件と比較することで、理解できることも増えます。合わせて見ていきましょう。
「つみたてNISA」とは?従来のNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)との比較
20年もの間、積立投資ができる「つみたてNISA」と似たような側面があるのは、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。
長期的な運用を行うことで、将来もらえる可能性のある年金に厚みを増していこうと考えている人は多いです。
しかしiDeCoの場合は、積み立てられる金額に上限(12,000円、23,000円、68,000円までと職業によって異なる)と年齢制限があり、状況によってはおすすめできません。もちろん、年金という扱いなので、60歳になるまで戻ってきません。ただ、iDeCoには所得控除という節税メリットがあるため「つみたてNISA」と合わせて使い分けると良いでしょう。
「NISA」と「つみたてNISA」の違いはいくつかあります。年間投資額の上限はもちろんのこと、非課税の期間も定められています。
NISAは、基本的に5年。ただし、満期時に保有している金融資産を翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)事ができます。ロールオーバーはさらに5年間もの間、非課税で投資することができるため、最大で10年と考えても良さそうです。
しかし、NISAが購入可能な期間は、2023年までと現時点で決まっているため、先送りすればするほど、非課税期間が短くなります。なお、2023年に購入した金融商品は、2027年まで非課税期間になります。
「つみたてNISA」は、年間で40万円までと金額の上限は少なく、期間は最大で20年間までとなっているため、トータルで800万円の非課税投資ができると考えられます。通常のNISAは、5年間トータルで600万円です。
NISAが始まった当初から、上限値まで購入している方は、最大で10年の投資ができるため、1,200万円の非課税投資ができると考えても良いでしょう。
ただ、これから投資を始めるなら、トータルで考えると非課税枠多い「つみたてNISA」の方が良いようにも感じます。
「NISA」も「つみたてNISA」も金融商品に対する投資になるため、絶対に増えるということはありません。ある程度、投資をする余力がある方向けのサービスになります。
このことから、どのような方が「つみたてNISA」に向いている人かを考えていきましょう。
「つみたてNISA」が向いている人と向いていない人
さて、「つみたてNISA」に向いている人と、そうでない人を考えていきましょう。
前提として、基本的に「つみたてNISA」に向いていない人はいません。
非課税投資額が最大で40万円とそれほど高額ではないため、月に約33,000円の貯蓄を残せる方であれば、上限に到達します。
逆に、月に3万円も貯蓄できない方は、投資どころではないので、まずは私生活の収支の見直しから行っていくと良いでしょう。
投資に回せるお金があり、資金的に余力があるという前提で、その中でも向いている方は、以下の方々です。
- ライフプランが未定な20代~30代の若年層
- 定年間近で老後資金をさらに積み立てたい方
- 将来の保障を厚くしたい自営業者
- 贈与に組み込みたい方
上記の方々について、詳しく見ていきましょう。
ライフプランが定まっていない20代~30代の若年層
資産形成を含め、将来のライフプランが定まっていない方にとって、「つみたてNISA」はメリットが高いといえます。
大学を卒業し、就職して数年間は目の前の仕事に集中するのがベストで、様々な事に目移りしない方が良いです。もちろん、明確に夢があってやりたい事がある方は、それに向かって集中すれば良いですが、どちらにせよ少しでもお金が増えていれば、何かをスタートさせるときにプラスになります。
リスクの少ない資産運用を行うことで、お金についての関心も高まっていくでしょう。投資に触れることで、「つみたてNISA」のメリット・デメリットも肌で感じる事ができます。若年層の人格形成も含めて、まず手始めに「つみたてNISA」を始めてみるというのは将来へ繋がる第一歩です。
定年間近で老後資金をさらに積み立てたい方
定年が近づいてくると、積立型の資産構築に対して選択肢が狭まります。個人年金の側面もあるiDeCoは、60歳までと年齢制限もあるため、十分な掛金を拠出することができません。所得控除もあるため、60歳まではiDeCoで、満期になったら「つみたてNISA」へ移行するという方法もありえます。
もちろんそれでもメリットはありますが、投資の経験を積んでおくために「つみたてNISA」を始めるというのも良いでしょう。資金的な余力があれば、両方とも併用するという方法も考えられます。
最大で20年間非課税投資枠が設定されているため、55歳からスタートし75歳で満期を迎え、それ以降の生活費の足しにするというライフプランも良いでしょう。
将来の保障を厚くしたい自営業者
いわゆる定年がなく高齢者になっても仕事を続けることができれば、収入は得られるため、安心と考えている人もいます。ただ身体の衰えは進み、いつまで働けるかわからないため、保障を厚くしたいと考える人もいるはずです。
自営業者の場合、ベースとなる国民年金が中心になります。厚生年金の代わりに、国民年金基金という制度がありますが、インフレリスクに弱い面もあります。国民年金基金の代わりにiDeCoを選択する人もいますが、iDeCoは有期年金になってしまうため、長く生きる事を考えると不利になります。
両方とも加入することはできますが、掛金の上限が決まっているため、他のものとうまく組み合わせる必要があります。
そこで国民年金基金と「つみたてNISA」を併用することで、様々な状況に対応しやすい状態を作ることができます。
贈与に組み込みたい方
資金に余力がある方で、相続の事を考えている方にとって、「つみたてNISA」はうまく活用できるのでしょうか。
NISAが誕生したとき、年間の積立金は100万円と決まっていたため、非課税贈与の100万円とNISAの100万円を合わせて相続税対策を考えた方がいます。
一見できるように思えますが、税務署が認めない可能性もあります。
同様に「つみたてNISA」も、非課税贈与100万円+「つみたてNISA」40万円として、配偶者や子どもの名義で運用するのはリスキーですが、合わせて100万円に収まるならば、相続税対策になる可能性もあります。
現金で非課税贈与として渡すのではなく、資産が増える可能性のある「つみたてNISA」を行うことで、さらに手厚くなる可能性もあります。
もちろん相続対策は、専門家に相談し確実な方法で行っていく事が大切です。
まとめ
2018年1月より新しくスタートした「つみたてNISA」は、保障を厚くしたい自営業者やライフプランが定まっていない20代~30代の若年層。そして定年間近の方で、70代後半や80歳以降の事を考えて資産構築をしたい方、贈与として新たな形を模索している方が中心となります。
「つみたてNISA」は、年間40万円まで非課税投資枠が存在し、20年にもわたって積み立てができます。つまり長期的な運用を前提に考えられています。
通常では、約20%の税金がかかってしまう投資益もNISAならば非課税で、より多くの資金を残すことができます。
長期的な資産形成を考えているならば、「つみたてNISA」もひとつの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。