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資金調達の為に知っておきたい「担保価値」と「借り換え」

不動産投資を行う上で、金融機関から融資を受けることが一般的です。言い換えるならば、資金調達でしょうか。手元にまとまったお金がなかったとしても、出資してもらえれば、投資に踏み切れます。さらに融資の金額が多ければ、有利な投資が可能になります。

融資金額の増減は、担保にする資産の価値によって変わってきます。複数の不動産を所有する場合、ひとつ目の不動産を購入し、それをさらに担保にすることで、ふたつ目とさらに広がります。

資金調達を行う際にひとつの金融機関からではなく、いくつかの融資先を検討します。審査の期間や状況によって、有利な融資が下りず、不利な条件でスタートすることも十分考えられます。その場合は、途中で、借り換えを行い、余力のある資金繰りをしていくことが重要です。

本記事では、資金調達にあたって基本的な用語である「担保価値」と「借り換え」に関して解説していきます。もし今、手元に現金がなくても、担保価値のある不動産を購入し、借り換えの戦略が理解できれば、不動産投資を有利に進められるかもしれません。

 

担保価値とは!?購入する不動産価値より下がる?

金融機関から融資を受ける場合、基本的には担保を必要とします。例えば、不動産を所有している場合、土地と建物が資産になり、それを評価してもらうことで、担保価値が決まり、融資の上限も変わります。

なぜ、担保が必要なのでしょうか。

貸し付けを行う金融機関が恐れているのは、債務者の返済ができなくなり、貸し倒れが生じてしまうことです。損害が起きたときに、債権者に対して、対価となる資産を差し出すことで、弁済できるようになります。そのため、担保が必要になるのです。

不動産投資用語における担保価値とは、融資を受けて購入する収益物件がそのまま担保となり、その該当する物件の金融機関における評価価値となります。

金融機関側もリスクを少なくするため、将来の不動産価格が減少することも想定しています。そのため、土地や建物相場より、低く評価します。掛け目(担保掛け目)という言葉が使われ、【担保価値=時価評価×掛け目】という計算式が用いられます。

土地を評価する際に、公示地価や路面価、固定資産税評価額が使われます。これらは、実際の地価より低く設定され、目安として以下の評価が一般的と思っておくと良いでしょう。

  • 公示地価・・・地価の90%程度
  • 路面価・・・地価の80%程度
  • 固定資産税評価額・・・地価の70%程度

これらの数字を踏まえて、購入しようとする不動産の担保価値を計算するなら、以下のようになります。

例)【実売価格:5,000万円、路面価:4,000万円】の土地

金融機関の評価が、路面価から掛け目を80%とするなら、

4,000万円×80%=3,200万円

ただし、不動産によっては公示地価をそのまま地価と見なすこともあります。その場合は、例の場合4,500万円(実売価格の90%)となります。

このように、担保価値は通常より低く設定されることが一般的ですが、担保になる資産によっては、優遇されることもあります。もちろん、金融機関によって評価方法は違うため、いくつかの金融機関に算定を依頼すると良いでしょう。

もし、不動産投資のために融資を考えるなら、知っておくことで有利な投資戦略が図れます。

 

担保価値を少しでも上げるために選ぶべき指標

融資を受ける場合、購入する物件の担保価値が少しでも高ければ、その先の投資も有利に進められます。担保価値は、金融機関独自の計算で上下するため、交渉の余地はありません。

しかし、事前に担保価値が高い不動産物件が判れば、最初から有利な融資が受けられるようになります。

どういったポイントが関わってくるのでしょうか。

収益を生み出す物件に対して、担保価値が設けられるのであれば、どれくらいの収益率なのか。いわゆる利回りが高ければ、担保価値は上がると考えられます。

また、入居率の高さや周辺の環境、駅へのアクセス、治安、物件の強度など様々な指標が考えられます。

中でも、ダイレクトに繋がるのは、家賃に対する入居率です。利回りも表面利回りではなく、実質利回りで見たほうがより現実的ですし、どれだけ長期的に借り続けられるかが重要なポイントです。

どの年代と層をターゲットに不動産を貸し出しているかも鍵になります。

その他、経済成長率やインフレ率も重要なファクターです。インフレによって、賃貸価格が上昇すれば、利回りも当然上がります。資産価値が上昇すれば、売却益も見込めます。

さらに、不動産物件購入当時より、時間が経過すれば、返済も進むため融資残債額が減ります。担保価値が上がるわけではありませんが、さらに融資を受けられる可能性は出てきます。

投資用不動産購入当初の担保価値だけで見るのではなく、中長期的な視点で見ることも大事ですね。

融資とはいえ、多額の負債を抱えることは間違いないので、綿密な計算と大胆な行動力が重要となります。チャンスがあれば、融資を受け、不動産投資にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

返済にあたっては定期的に借り換えを検討することも大事

晴れて融資(不動産ローン)がおり、念願の不動産を購入することができました。しかし、不動産ローンは通常の住宅ローンと違い、金利が高く返済額が大きいです。

不動産収入から充当していきますが、金利が高いということは、収益を逼迫します。そこからさらに、様々な積立金や保険、修繕費などがかかると考えると、手元に残る金額は本当に少ないということもありえます。

少しでも金利が低くなれば、キャッシュフローもが拡大します。そのために、不動産ローンの借り換えを行うことで、より有利な運用ができるようになるのです。

借り換えとは、今ローンを組んでいる金融機関とは別に融資を依頼し、金利などの条件を見直し、有利な返済を行うことです。

もちろん、すべてにおいて借り換えが良い方向に働くとは限りません。メリットとデメリットを十分に検討して、有利な不動産ビジネス運営を。

 

借り換えのメリット

借り換えのメリットは、実は金利を下げることだけではありません。どの金融機関とお付き合いしているかによって信用力が変わります。信用力向上は、さらなる大口融資を獲得できる可能性が生まれます。

大口の融資になれば、金利の交渉もしやすくなります。ご自身の不動産ビジネスを拡大していくためにも、借り換えは行なったほうがベターです。

 

借り換えのデメリット

借り換えはメリットだけではありません。デメリットも存在します。

借り換えを行う場合、元のローンを完済する必要があります。もちろん、新しい融資先から借りた資金で、返済していくことになりますが、当初の契約を破棄することになります。金融機関側としても損をする可能性が出てきます。そのため、「一括繰り上げ返済手数料」が設定されている可能性が高いです。

単純に返して終了ではなく、諸経費がかかるということを覚えておいてください。

さらには、トータルの返済額は減るものの毎月の返済額が増える可能性もあります。これは、ローンの設定期間によって変わってきます。

借り換えを行う頃には最初の頃より借入金が少なくなっているため、短い期間のローンを選択せざるを得ない可能性も。そうなると、毎月の支払いが多くなり、収支のバランスが崩れてしまいます。

借り換えを成功させることで、さらなる事業拡大に繋がる可能性も出てきます。専門家に相談しながら、恩恵を十分受けられるのか検討して、実行しましょう。

 

まとめ

不動産投資を行う上で、融資は必要不可欠です。有利な投資を行うためにも、担保価値の高い物件を選びましょう。お金を生み出す収益物件に対して、価値が設定され、それは金融機関によって変動します。基本的には利回りをベースに見ていくことが重要ですが、その他、空室リスクや周辺の環境、駅へのアクセスなど、たくさんの要素が関連してきます。

資金調達に成功し、不動産投資を実際に行い、返済が進んだ後は、借り換えも検討すると良いでしょう。

最初から有利な条件で融資が受けられるとは限りません。別の金融機関へ借り換えを行うことで、金利を下げ、キャッシュフローを増やすことが可能になります。

実際の投資にあたっては、綿密な分析や様々な想定が必要です。そのために専門家に意見を聞くというのも大事なことです。

不動産投資を始める前も、行っている最中も、改善するためにできることはたくさんあります。

少しでも有利な状況を作り、不動産投資を成功させてください。