海外不動産投資の魅力は、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の両方を得ることができる点です。さらには、外貨獲得による資産のリスク分散にも繋がります。
海外不動産と一括りにいっても幅は広く、新興国か先進国かで投資戦略は変わります。また、国が変われば法律や文化が違うため、投資を行う前に事前準備が必要です。
本記事では、特に新興国にフォーカスした不動産購入前の注意点についてまとめます。
日本国における高度経済成長時代には、国内の地価が跳ね上がったことを踏まえ、先進国への不動産投資が、将来の経済成長後に大きく儲かる可能性があることが魅力です。
さらに、国内や先進国の不動産投資より安い資金で参入できるという点もポイントです。
もし、新興国を中心に不動産投資を行おうと考えているならば、情報をしっかり集めて、少しでも成功確率を高めてください。
新興国の不動産購入前にチェックすべきポイント
新興国の不動産を購入する前に、どのマーケットを選択するかがベースになります。新興国といっても幅は広く、BRICsやNEXT11、ASEAN諸国、MENAなど地域やグループに分けてもたくさんあります。
不動産マーケットが開かれており、売買ができる国ならば、資産を増やす可能性は十分あるでしょう。
ただし、将来の展望を読み違え、情勢の悪化による損失、法律や文化、国柄、税金や海外送金などお金の面などたくさんのリスク要素が絡んできます。
それらチェックすべきポイントを以下にまとめました。
- 情勢の変化(政権交代、法律の規制)などのカントリーリスク
- 言語やコミュニケーション
- 人口ピラミッドや地域の開発計画
- 為替の変動
- 海外送金や税金面などお金に関すること
- 仲介会社や運営管理会社、現地の文化や風習
- 天候や自然災害など
細かく見ていくとキリがないかもしれません。日本の感覚で不動産投資を始めると痛い目をみます。慎重になるくらいが成功の鍵といえるでしょう。
それでは、各項目について深く理解していきましょう。
情勢の変化(政権交代、法律の規制)などのカントリーリスク
新興国の良いところは、急激な経済成長です。それに伴い、整備されていなかった法律が整備され始め、不動産取引に関する法律がかわることや外国人に対する規制がかかることもあります。
また、政権交代やクーデターによりマーケットが混乱することもあります。不動産投資は購入後、売却するまで期間が必要です。その間に大きく変化するリスクも考慮しておくと良いでしょう。
言語やコミュニケーション
新興国の不動産をどのように購入するかによって変わります。おそらくは現地パートナーや国内の仲介会社を経て、購入に至ると考えられます。
しかし、仲介を挟んでいたとしても実際に現地の方々とやり取りを行うこともあれば、入ってくる情報などは英語や現地の公用語が多いです。通訳を挟むことや翻訳ソフトを活用するなど、いくつかの対処法はありえますが、理解する力が乏しければマイナス要因になります。
不動産投資は、購入して終わりではなく、保有し続けている限り続きます。
少しでも多くのゲインを得たい場合は、言語やコミュニケーションの課題は解決しておくと良いでしょう。
人口ピラミッドや地域の開発計画
不動産投資において、十分なリターンが得られる場合の多くは、需要と供給のバランスが絶妙なことです。労働者人口が増え、経済成長によって彼らの使えるお金が増加すれば、賃貸住宅は必要になり、さらには賃料も値上がりします。
新興国の将来を占う指標のひとつに人口増加率があります。人口が増加すれば、受け皿となる住宅も必要となるため、開発が進みます。
その開発計画が需要と供給のバランスを崩すものなら、供給過多になり、不動産価格は下落する可能性も出てくるため、おすすめしません。
為替の変動
新興国に限らず為替の変動は、不動産価格の高騰によらずとも、レートの差でキャピタルゲインを得ることができます。しかし、良い方向に振れば儲けられますが、マイナス方向に振ってしまえば、損失も拡大していきます。
為替の変動もチェックポイントのひとつで、読みづらいところは、避けた方が良いかもしれません。
海外送金や税金面などお金に関すること
新興国への不動産投資を行うのは、価格の上昇によるキャピタルゲインを得るためです。多くは現地に居住地を構えず、日本に住みながら投資を行うでしょう。その場合、海外送金をする必要が出てきます。
不動産の売却益をきちんと日本に送れるかが重要です。
また、売却した際の税金面や管理維持コストをどうやって経費に盛り込んでいくか。海外で税金を支払った場合、国内での税金はどのように扱うかなども事前に調べておくと良いです。
仲介会社や運営管理会社、現地の文化や風習
新興国の不動産投資を行う場合、購入の際の仲介会社や購入後に依頼する管理会社選びが重要です。
国が変われば常識が変わります、現地の文化や風習なども知っておくと良いでしょう。日本の様に生真面目でしっかりと仕事をしてくれるかとどうかは、わかりません。
また、貸し出す相手も現地の方ということを再認識しておくことが重要です。どのように活用するかは、その人次第ですし、日本人の感覚で貸し出すと思った以上に劣化が激しいこともあります。
それらを踏まえると予想以上に維持・運営コストがかさんでしまい、十分な利益を残せない可能性も考えられます。
あらゆる可能性を考え、仲介会社に聞くことが大事です。そのため、細かいところを言い合える人間関係も大事です。信頼できるパートナー企業を探すことも重要なポイントです。
天候や自然災害など
100%安全な国というのは存在しません。人的要因で危険にさらされることもありますが、天候や天災・災害においてもチェックすることが重要です。台風やハリケーンが上陸しやすい地域は避けた方が良いのは当たり前。地震も地域によっては起こりやすいです。
日本は地震大国であるため、耐震・免震などの技術は発達しています。海外も同じような基準で作ることができるかというと、それは疑問です。
自然災害が起こりにくい地域を選ぶことが無難ですが、現地特有の環境はあるかもしれません。それらも踏まえて、選ぶと良いでしょう。
チェックしておくポイントでもあり、頼るべきパートナーを活用して情報を引き出しましょう。
これまでの注意点以外にも考えるべきポイント
新興国の不動産投資の性質上、利用できない制度もあります。
例えば、金融機関からの借り入れに制限がかかっている可能性もあります。また、国内の不動産の場合、手元資金が少なくてもローンによってレバレッジを利かせることができます。しかし、新興国の不動産の場合、金融機関も先行きが不透明な案件に対してリスクを負いたくありませんし、担保としての評価も厳しい可能性もあります。
そのため新興国の不動産投資の場合、レバレッジがかけにくいという点もあります。
このように新興国の不動産投資には、国内の不動産投資と違う特徴があるため、ローンをあてにして購入しようと考えるならば、避けるべきです。
まとめ
新興国の不動産投資において、チェックすべきポイントをまとめました。
経済成長が見込める地域の不動産は、インカムゲインだけでなく、値上がりによるキャピタルゲインが大きく見込めることが魅力です。
しかし、海外ということもあり情報が乏しく、文化や風土、慣習も違うため、一歩間違えると痛い目をみます。
投資しようとする国の情報を集め、しっかりと理解し、頼りになる仲介会社やパートナー企業を見つけることも重要です。
我々の常識で推し量るのではなく、気になることを細かく聞いていくことが、新興国の不動産投資で成功する鍵といえるでしょう。