ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨に関するニュースが年々増えています。法整備も少しずつされ、より健全な取引が行われるようになっていくでしょう。
仮想通貨が支払い方法として活用されるようになり、数年前に比べ身近になったとも言えます。とはいえ、多くの人に浸透されるまでにはまだ時間もかかるでしょう。
現在で仮想通貨を所有している人はまだ少ないですが、将来の値上がりを期待して、仮想通貨に投機している人もいます。
ちなみに、サイバーエージェントの子会社「新R25総研」のアンケートでは、20代ビジネスマンは約14%が保有しているとデータが発表されており、インターネット世代の若者が14%ということは、上の世代はもっと少ないと推測できます。
しかし割合は少ないとはいえ、仮想通貨の相続を考えなくてはいけない人もいます。相続の観点からはどのように捉えるのが良いのでしょうか。相続税や贈与税などは、いくらくらいかかるのでしょうか。値動きが激しい資産の場合、どのタイミングでの金額で資産が計算されるのかわからないことも多いです。
本記事では、仮想通貨の相続に関する課税面でのポイントをまとめました。
実は、仮想通貨を所有している本人だけではなく、被相続人に対してもきちんと伝えておかなければ大変なことが起こるかもしれません。
仮想通貨は相続税がかかる?資産価値は時価計算
仮想通貨における相続税や贈与税に関しては、まだ明確に決められていません。しかし、仮想通貨で得た利益が「雑所得」として扱われ、一部では通貨の代わりとして決済もできるようになっています。
細かいところはこれから決まっていくと思われますが、相続税や贈与税は発生すると考えて良いでしょう。
相続に対する税が課せられるならば、あらかじめ対策をしておいた方が良いでしょう。仮想通貨を所有している人だけでなく、相続権のある人にもしっかりと理解してもらうことが重要です。
仮想通貨の資産価値は、常に変動しているため、相続税計算時には円に換算する必要があります。つまり、相続時の時価で計算することが予想されます。
仮想通貨と似ている資産として、株式や外貨などがあり、これらを例に取ってみると、仮想通貨の相続時の資産評価も推測できます。ただし、税金面に関しては専門家のアドバイスに従って進めていってください。
株式の評価方法
株式を評価する場合、それが上場株式か非上場株式かによって変わります。上場株式の場合は、相続日の終値。もしくは、相続日から3ヶ月前までの株価の平均値です。このふたつを算出し、低い方で税金が計算されます。
非上場株式の場合は、会社の保有している総資産から割り出します。そこから、1株あたりの資産が計算され、評価されます。
為替の評価方法
毎日、値動きがある資産の中に為替もあります。為替の場合は、相続開始日の為替レートで使うのが一般的です
そして、金融機関が公表する「対顧客直物電信買相場(TTB)」を活用して円に直します。
仮想通貨の相続税における資産換算予想
株式や為替は、変動相場性になっているため、仮想通貨の相続税計算も、これらが参考になると考えられます。しかし、細かいところはまだ決められていないため、相続が発生した場合は、専門家に確認すると良いでしょう。
少なくとも、相続する仮想通貨を時価計算し、資産評価をしてからの課税となります。
仮想通貨を相続する際の注意点!
いざ、仮想通貨を相続するとなった時に注意しなければならないことがあります。それは、仮想通貨のウォレットに入るためのURLやID、パスワードです。仮想通貨を保有していることが知らされずに、相続することになった場合、被相続人が探し出すことになります。その際、ウォレットのアドレスやID、パスワードが不明な場合、確認できません。
仮想通貨を相続することになっても、中身を知ることができなければ使えませんし、換金もできません。しかし、国税庁の見解では、仮想通貨を相続した場合は、パスワードが伝えられていなくても、課税対象となると発表しています。
というのも、パスワードがわかっていたとしても嘘をつかれて、知らないとなった時に、脱税に活用されてしまうためだそうです。
そのため仮想通貨を所持している人は、遺言とともにパスワードやウォレットのアドレスなどをしっかりと伝えておくようにしましょう。
贈与税の場合は?!生前贈与をうまく活用すれば節税に?!
仮想通貨の相続税がかかる可能性があるとわかったら、考えておきたいのは相続対策です。制度をうまく活用すれば、節税にも繋がります。
生前贈与などをうまく活用することで、相続税の節税に繋がります。
【暦年課税制度】年間110万円以下の場合は贈与税はなし
暦年課税制度を利用して、贈与金額を年間110万円以下にすることで、非課税で贈与することができます。そして、贈与税の場合は、贈与した時の資産で計算されます。
仮想通貨を中心に資産構築をしている人は、暦年課税制度を使うことで相続対策を行うことができます。もちろん、仮想通貨の場合は、円に換算することが重要です。そして、評価は贈与時のレートで算出されることを念頭に置いておきましょう。
【相続時精算課税制度】仮想通貨が値上がりするなら価値あり
贈与税の場合、年間110万円の非課税枠に焦点があたりがちです。ビットコインが高騰したように、所有している仮想通貨もどのようなことが起こるかはわかりません。
相続時精算課税制度を活用すれば、仮想通貨の価値が上がった場合に節税に繋がります。この制度は、生前に贈与された財産には税金を支払わずに、後の財産相続時に相続税をかける制度です。
しかし、状況によっては、税金の支払いを先延ばしにしているだけで、節税には繋がらないこともあるので、留意しておきましょう。節税になる場合は、資産が上昇した時です。相続時精算課税制度を利用したとしても、贈与した時点で贈与税の評価が算定されます。
その後、仮想通貨が値上がりした場合は、状況が変わってきます。贈与した際の仮想通貨の評価額が、1,000万円だったとします。本来であれば、1,000万円に対する課税がこの時点でかかりますが、先送りにするため、たとえ10倍(1億円)に跳ね上がったとしても、1,000万円分の税金となります。
このように、将来の値上がりを期待して、先に贈与し、相続時精算課税制度を活用するのも一つの方法です。
贈与税を申告する場合は、どの制度を利用したのかをしっかり届け出る必要があります。自分たちで自己完結するのではなく、専門家のアドバイスを参考に正しく制度を利用しましょう。
まとめ
仮想通貨における相続税や贈与税に関してまとめました。現在は、法律が整備されていないため、他の金融資産の相続や贈与を参考にして、資産評価をする必要があります。
仮想通貨で得た利益は、雑所得扱いになり、一部では法定通貨の代わりとして支払うこともできます。そのため、資産としてみなされる可能性が高く、相続税や贈与税に関しても課税されると考えておくと良いでしょう。
税金を支払う可能性があるなら、事前に行っておきたいのは節税の対応です。事前に対策をすることで、少しでも減らしておきたいところです。
生前贈与や相続時精算課税制度を活用することで、実際に支払う税金額を減らすことができるでしょう。
仮想通貨の場合は、資産の有無を伝えていくだけでなく、管理しているウォレットのURLやID、パスワードが必要になります。もし、これらがわからなくて、仮想通貨の保持が判明したら、課税対象となります。税務署からすると、パスワードに関して、簡単に嘘をつくことができ、脱税の温床にもなってしまいます。そのため、仮想通貨を保持している人は、遺言書と共に、IDやパスワードを保管していくと良いでしょう。
仮想通貨の相続に関しては、まだ不明点も多いです。しかし「不明だから税金を払わなくても良い」というのは非常に危険です。しっかり情報を得て、仮想通貨における税金面を理解しておきましょう。