不動産投資を行う場合、新築と中古のどちらが有利なのでしょうか。新築物件と中古物件の特徴や違いから考察していきます。
なお、日本では新築物件の方が主流ですが、アメリカなどの海外不動産では中古物件の方が主流です。本記事では、様々な観点から導き出せればと思います。
留意事項として、不動産投資は長期保有することをベースに考えるため、細かな状況によって変わります。今は良かったものの周辺環境の変化によって資産価値が変動することも十分にあります。実際の投資にあたっては、未来を読むというポイントも必要になってくると思います。もちろんのこと、実際の投資にあたっては自己責任でお願いします。
新築VS中古!不動産への初期投資額やローンの観点
不動産投資を行う場合、所有するための資金が確保できるかが重要になります。ほとんどの場合、ローンを組み賃貸収入の一部を返済に回しながら運営していくことになります。
ローンがおりるかは、投資する物件や信用情報(融資を申請する本人の年収や勤め先)に基づきます。新築物件の場合は、ローンを活用できやすいため、手元にあるお金が少額でもスタートすることができます。状況によっては、フルローンでスタートすることもできます。
中古物件の場合は、融資を求める場合、審査が降りないこともあり、自己資金が頼りになります。さらには物件の管理状況や築年数によって、さらに厳しくなる場合もあります。条件が良くても借入金利が高く設定されることや融資額も上限70%程度となるため、購入したい不動産の3割以上は用意する必要があります。
中古物件の場合、老朽化の進行状況では修繕にかかる費用も増えるでしょう。
自己資金の状況にもよりますが、新築への投資の方が参入障壁が低いため、初期投資額やローンの観点から新築に軍配が上がります。
新築VS中古!利回りや利益率からの考察
不動産投資の目的は、継続的に発生する賃貸収入(インカムゲイン)を得ることです。その額を表すのに、利回りやROI、もしくは利益率で表すことができます。
利回りが良いから、良い物件なのかといったら、それはまた別の話ですが、毎月の家賃収入を考えると高いに越したことはありません。
新築の場合、ネックになるのはローンの支払いです。自己資金をどれくらい用意し、融資の金額によっても毎月の返済額は変わります。さらには、将来かかることが予測される修繕費などの積み立てを考えると、新築物件の場合は、利益が少なくなってしまいがちです。
中古物件の場合、新築物件より安くなることが多いため、初期時の自己資金が多くなってしまいがちですが、その分、ローンの支払いや返済までの期間が短くなり、キャッシュフローの厚み(家賃収入から返済や諸経費を差し引いた額)が増す可能性もあります。
もちろん、投資価値のある物件を見つけることができたらという条件付きですが、利回りなどは中古物件に軍配が上がります。ただし、利回りの良さは同等の空室率だった時を想定します。
新築VS中古!空室率の観点から考える
家賃収入の要となるのが空室率です。不動産投資を始める前は、理想を描きほとんど稼働している状況を望みます。もちろん、不動産投資に精通している方だったとしても、全室借り主がいるという状態は望みます。
一般的に最新設備の整った新築物件の方が空室率は低いと言われています。しかし、新築だろうとニーズの低い地域や周辺環境に難ある物件に投資してしまった場合は難しいです。
国内では人口減少が危惧されているため、需要と供給のバランスが崩れています。そのため、借り主のニーズが満たせていない中古物件の場合、空室率が高くなってしまう可能性もあります。
もちろん、中古物件だろうと人気のある立地や環境が整った場合もあります。そもそも、ほぼ満室に近い不動産が売りに出される可能性はかなり低く、オーナーチェンジ物件だろうとレアケースです。
もし、幸運にもそういった物件に巡り会えたとしたら投資を始めても良いかもしれませんが、何かしらのリスクはあるはずです。それらを踏まえながら投資を始めましょう。
新築VS中古!5年先の資産価値を考える
所有した不動産の資産価値を考慮することが投資を始めるにあたって重要です。新築物件でも5年後の資産価値が著しく下がることもありますし、最初から高く評価されていない中古物件ならば、あまり変わらずということもあります。
プロの視点でないと予測するのは難しいかもしれませんが、5年先の資産をみることは重要です。キャピタルゲインを得て、一定期間経過した後に不動産を売却してしまった方がトータル的に儲けられる可能性もあります。
5年というのが、売却時の税率が変わる年数です。税率が20.315%(所得税:15.315%、住民税:5%)で、5年未満の税率の約半分です(5年未満だと約40%が税金で持っていかれます)。
理想は、5年経っても評価が下がらない物件。下がったとしても、売却時に利益が十分出る不動産です。稀に周辺環境の変化により上昇している場合もあります。
資産価値を考える場合、基本的には立地と建物の状態、維持管理計画(中古物件の場合は修繕計画も考える)です。土地は劣化しないため、評価が下がる場合はその土地の地価が下がっている状態です。
建物は年月とともに劣化していきます。新築の場合は、今後の維持管理が重要になります。中古物件の場合は、劣化状況によって変わります。築年数の割にはダメージが少なく、評価が良い場合もあります。つまり、中古物件の場合は建物の管理状況をしっかりみることが重要になります。
新築の場合は、できる限り建物の資産価値を落とさないように、管理業者を選定することが重要です。
資産価値だけでみるならば、新築も中古も物件によって変わると言って良さそうです。
新築VS中古!流通量から見ると国内は中古が少ない
日本国内の場合新築物件の方が、価値が高く見られるため、比較的情報は入ってきます。
優良物件においては、早く買われてしまうため、情報が命となりますが、市場に出回ってはいます。逆に中古物件の場合、良い物件はすぐに売れてしまいます。残っているものの中で、良い物件があるかは難しいところですが、全体的に流通量が少ないため、巡り会える可能性は少ないです。
もちろん、新築物件でも優良物件に出会えるかは情報戦になるため、優秀な営業マンを確保することが鍵になります。
不動産の中古市場で投資を行う場合は、状況によっては国外に目を向けた方が良いかもしれません。例えばアメリカの不動産事情を見てみると中古不動産の方が流通量は多いし、良い物件に出会える可能性は高いです。
海外不動産の投資となると、クリアすべきポイントがいくつかあります。中古不動産で収益を上げたい場合は、海外に目を向けるのもひとつです。
まとめ
新築物件と中古物件を比べる場合、いくつかの指標があります。
初期費用が少なくて済むのはローンが最大限活用できる新築物件です。中古物件の場合は、ローンが活用できたとしても上限は低く、多くの自己資金が必要です。
どちらも選択肢として選べるならば、どれだけ不動産投資に対して理解力を深められるかです。物件の選定にしても、プロの目が必要です。特に中古物件の場合は、見るべきポイントも増えていきます。
5年以上先も資産価値があまり下がらないような不動産を見つけられたら、参入すべきかもしれません。
もし中古市場で不動産投資を行いたい場合は、日本国内だけでなく海外にも目を向ける方が良いでしょう。
新築か中古かの議論は中々尽きませんが、自身の状況によって、どちらの方が向いているかを判断して参入しましょう。