防犯優良マンション認定制度についてご存知でしょうか。
しっかりとした防犯設備や、犯罪を行わせないエントランスのロケーションなど、一定基準を満たしたマンションが各都道府県の認定を受け、認証マークを掲げることや表記することができるようになります。
地域安全まちづくり条例に基づき、制定された防犯優良マンション認定制度は、入居する側から見ても防犯上安全な物件だとわかり、小さな子どもを抱えるファミリー層だけではなく、安全を気にする方々にとって人気です。
また、人気が落ちにくいということは評価も下がりにくいことに繋がります。つまり投資家からも評価が得られる物件に繋がると考えられます。
本記事では、防犯優良マンション認定制度について解説していきます。もし、不動産投資を行う上で新しい判断材料が欲しい方やこれからマンションを建設するという方にとって、知っておくと得する内容です。
防犯優良マンションとは!?制度施行の経緯は?
2005年6月に行われた犯罪対策閣僚会議の「安全・安心なまちづくり全国展開プラン」において、防犯性に優れたアパートやマンションの認定基準が策定され、日本全国に制度の展開が計画されました。
その後、2006年4月に警視庁と国土交通省の指導を元に、(財)ベターリビング、(財)全国防犯連合会、(社団)日本防犯設備協会の3公益法人が、全国統一制度の基盤を作り上げ、今の防犯優良マンション認定制度ができあがりました。
最初は、埼玉県や神奈川県、愛知県などの7つの県がスタートさせ、県内に認定機関として登録されました。
ちなみに、この防犯優良マンション認定制度が制定される前に自治体が独自に行っていたケースもあり、広島県の防犯モデルマンション制度は1990年からスタートしています。
審査するのはマンションが所在する都道府県の認定機関
防犯優良マンション認定制度は全国統一規格の制度であるものの、認定する機関は各都道府県の認定機関が行います。
県の防犯協会である場合もあれば、別の独自機関であるケースもあります。例えば、関東首都圏であれば、東京、神奈川、千葉は防犯協会連合会で、埼玉県は、(財)さいたま住宅検査センターが請け負っています。
もし、マンションを建てよう、もしくはリノベーションしようと考えており、防犯優良マンションの認定を取得しようとするならば、都道府県ごとに違うことを認識しておきましょう。
取得費用や年間更新料も各機関によって変化
認定する機関が都道府県ごとに違うため、取得費用や年間更新料も異なります。県をまたがって不動産を所有する方の場合、同じ金額だと思って見積もると実は高かったということもありえます。申請方法も微妙に違うため、その県に即した申請を正しく行いましょう。
また、防犯優良マンション認定を受けるとマンションやアパートに飾れる認定プレートが得られます。基本的に認定取得時には1枚得られます。複数枚欲しい場合は、追加料金を支払うことで申請することができ、1枚あたりの金額は下がります。
何かしらが原因で破損してしまった場合、認定プレートは再度申請することができます。その場合も費用がかかってしまうため、予備としてあらかじめ申請しておくのも良いもしれません。
防犯優良マンションの認定基準まとめ
防犯優良マンション認定をもらうためには、たくさんの基準があります。新築はもちろん、中古物件でも申請ができるというのはありがたいことですね。場合によっては、基準まで届いていないところもあるかもしれません。その部分的なところをクリアすれば、審査も通るかもしれません。
細かいところはマンションが所在する管轄に問い合わせください。また、申請物件の延べ床面積によっても基準や金額が変わることもあるため、直接確認するのが良いでしょう。
【標準的事項】
- 共用エントランス:見通しの確保。もしくは準ずる対策。オートロックシステムや防犯カメラなど。
- メールコーナー:エレベーターホールや管理人室から見通しが良い。照明の明るさ。各郵便受けは施錠が可能なことなど。
- エレベーターホール:エントランスや管理人室から見通しが良い。もしくは準ずる対策済み。照明設備の明るさなど。
- エレベーター:防犯カメラの設置、非常時にはインターホンで外部と繋げられる。かご内の明るさ。
- 廊下・階段:乗り越えなどが難しく侵入しにくい構造。バルコニーに接近している場合は、侵入しにくい構造など。廊下や階段の明るさなど。
- 駐輪場:エントランスや建物の外の道路、各部屋からの見通しが確保されているか。盗難防止の設備完備など。
- 駐車場:出入り口に防犯カメラの設置、道路やエントランス、窓から見渡しが良いこと。照明設備が整っていること。
- 児童遊園・緑地等:部屋やエントランスから見通しが良いこと。極端な明暗差が出ないように照明を一定に保つこと。
- 防犯カメラ:記録装置と一体化したシステム。有効な管理体制。カメラが映し出している個所が十分に明るいこと。
- 屋上:出入り口には扉の設置。施錠が可能であること(常時開放を除く)。
- ゴミ置き場:道路からの見通しが確保されている位置に設置されているか。
- 集会場などの共同施設:周りからの見通しがしっかり確保されていること。
【専用部分】
- 部屋の玄関扉:鍵や錠が設置されていること。玄関の外を見渡せるドアスコープの設置など。
- インターホン:エントランスでインターホンを鳴らされた時に、通話が可能であること。そして、解錠が可能であること。
- 部屋の窓:防犯性能が高いサッシやガラスに対策があること。
- バルコニー・ベランダ:外部からの侵入が困難である構造であること。
他にも細かいところは決められていますが、照明が明るいことと、外部からの侵入が困難なつくりになっていることが共通してあげられます。中古物件の場合で、基準を満たしていなかったら、準ずる状態になれば大丈夫みたいです。
詳しくは、以下の目録を参考にしてください。
認定を受けるまでの流れ!審査は2回ある
認定を受けるまでの流れも知っておきましょう。認定を発行する団体に申請書や方法、基準などは細かく書いてあるため、一度確認してください。
多くの場合、審査は「設計段階審査」と「竣工段階審査」の2段階あります。中古物件の場合は、竣工段階審査のみになります。
審査段階ごとに有識者による審査が開始されます。もし、設計段階で適合すると「設計段階適合証」が取得できます。さらに竣工段階で審査が通ると、防犯優良マンションとして認定され、認定証などが交付されます。
新築の場合は、審査が2回あることを覚えておくと良いでしょう。
更新時には再び適合しているか見られる
認定は、期限があります。更新時期になったら、費用を支払い、更新する必要があります。その際、再び適合しているかチェックされます。
というのも、年月の経過により設備などが劣化している可能性もあります。もちろん、基準をクリアしたら良いので、更新時期に修繕する場合もあります。普段からメンテナンスを心がけていれば、問題なく進む場合も多いでしょう。
まとめ
防犯優良マンション認定制度に関してまとめました。認定を出す団体は、都道府県ごとに変わりますが、ベースとなる基準は基本的に全国共通です。不動産投資を行っている方にとって、資産価値を高められる方法の一つであるため、不動産の取得前に知っておくと良いでしょう。
防犯対策がしっかりなされているということは、住民からも評価は高く、借り主が決定する要素の一つになるでしょう。
不動産は長期的に保有する方が多く、借り主も基本的に長く住むことになります。それらを理解し、予算と上手に合わせながら、防犯対策を行ってください。