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不動産投資は一棟と区分とどちらがいいか?

不動産投資を行う際に、区分所有と一棟丸々所有するのはどちらの方が良いのでしょうか。
不動産投資をこれから行う人に向けて、区分所有と一棟買いのメリット・デメリットを考察していきます。様々な角度から見ていくことで、自分にぴったりな投資方法が見えてくるでしょう。

 

区分所有物件のメリット・デメリット

まず、物件の区分所有のメリットとデメリットについて知っていきましょう。

 

メリット

区分所有のメリットは、少額から投資することが可能なことです。新築のワンルームでも2~3千万円というものから、中古マンションやアパートの一室ならば数百万円から購入することもでき、自己資金が少ない方や頭金が用意できない方、フルローンを考えている方にとって、不動産投資をスタートさせることのできる物件でしょう。

また、小回りが利くという面もあるため、人気のあるエリアの一室ならば買い手がつきやすい場合もあります。

メンテナンスという点も、基本的に所有している一室がメインとなり、共有部分や大規模なリノベーションが行われる場合、費用負担が少なくて済みます。災害時のリスクが少ないというのもメリットですね。

 

デメリット

区分所有のデメリットは、一室のみの所有になると空室になった時の収入がゼロになり、ローンの支払分を自己資金で負担する必要が出てくることです。基本的に一度決まれば長期的に住んでくれることになりますが、入居者が退去したあとには、次の入居者が入るまで、支払う必要が出てくるため、普段の生活にも支障が出てくる可能性もあります。

老朽化がひどくなってきたマンションの価値を高めるべく、改修に踏み切りたくても他の区分所有オーナーの事情もあることから、中々話が進まないこともありえます。リフォームやリノベーションは所有している部屋のみで、共用部の設備に関しては決めることができません。

資産価値という点で、区分所有の場合、土地の所有権の問題も出てきます。契約にもよりますが、単純に戸数で土地の面積を割った広さが自分の所有権となると、地価が高くても、自分自身が持っている資産価値は低くなります。基本的に建物の価値は、築年数を重ねるごとに低くなり、理論上ゼロになる可能性があります。

建物の資産価値がゼロになったとしても、土地の値段より高くなると考えられますが、数千万円で購入した資産が、40年後、50年後には、10分の1以上の価値になっていることもありえます。

購入しやすいけれど、変なものを購入してしまったあとは、金融機関からの信用を失う可能性もあるため、慎重になることも重要です。

 

区分所有のメリット・デメリットまとめ

区分所有の基礎的な考え方が理解できました。低資金で参入できる分、将来のことを考えるとデメリットの方が大きい場合もあります。

もし、区分所有の不動産投資を行いたい場合、出口をしっかり決めること、そして自己資金をできる限り多く用意し、月々のローンの支払いを低く設定することで、利回りを高めていくことができます。

 

一棟経営のメリット・デメリット

次に一棟経営のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

メリット

一棟経営のメリットは、空室リスクが低くなり、家賃収入が安定しやすい点です。すべて満室になったらとても嬉しいですが、長い間にわたり賃貸経営をしていると空室がゼロというのは基本的にはありえません。

一棟のマンションに20部屋あったとします。4部屋空室になったとしても、損失は20%になります。それが一室のみなら、損失が100%になります。

大規模になればなるほど、利益を出しやすくなるのも一棟経営のメリットと言えます。

さらにオーナーの権限が大きくなります。入居者の理解を得ることは重要ですが、修繕や改修の際に、オーナー同士で揉めることはありません。自己裁量で実行し、不動産の価値を高めていくことも可能です。

改修だけではなく、ある程度の敷地面積を持っている不動産で、立地が良いならば、レジデンスではなく、オフィスへ変えていくことも考えられます。中古の木造アパートを購入し、一度更地にしてから、SRC構造のマンションにする。長く使い続けられるようにオフィスにするなど、選択肢も広がります。

長期的な視点で見て、価値が下がらない形に作り変えるのも一棟買いのメリットです。

 

デメリット

一棟経営のデメリットは、マンションなりビルなり、丸々所有するためにはそれなりの資金が必要になります。東京23区のマンションで、築年数が35年程度だったとしても、1億円以上の価格です。

基本的には、融資を受けて購入することになります。一棟買いは高額なため、ある程度の頭金を用意することで、はじめて融資を受けることができます。

また、一棟丸々購入することになるため、条件に見合った物件が市場に出回る確率は、区分所有より少ないです。

あとは災害で損傷した場合、修繕費の負担額が増えることがデメリットです。災害に関係なく、修繕などが必要になった際にはそれ相応の金額が必要になります。保険会社をうまく活用しながら、乗り切る必要があるでしょう。

 

区分所有物件を複数持つのと建物一棟はどちらの方が良い?!

 

区分所有の物件をひとつだけ持っていたら、空室のリスクがかなり高くなります。マンションやビルを丸々一棟所有する場合は、一部が空室になったとしても家賃収入がゼロになるわけではありませんので、リスク分散できることになります。

では、区分所有物件を複数持つのとどちらの方が良いのでしょうか。

確かにマンションの一室やオフィスを複数所有することで、ひとつが空室になったとしても家賃収入がゼロにならないため、リスク分散できている様に感じます。しかし、前述した通り、一室の区分所有の場合、所有し続け、経年劣化等で価値が下がった時に上げることが難しいです。よっぽど人気のある立地や角部屋ならば入りやすいですが、入らない場合、家賃を下げざるを得ないこともあります。

異なった地域に複数所有する場合のメリットは、災害などが発生した時に損害を分散させることができることです。これは、一棟経営においても同じことが言えます。そのため、リスク分散していくためには、一棟経営から始まり、さらに二棟目、三棟目と増やしていく必要があります。

大きな資金がかかることは重々承知ですが、十分な資産を保有している場合、融資の審査が通りやすくなり、担保価値も高くなるため、銀行側としても貸すメリットは高まります。

区分所有で融資を受けた場合、次を購入するのが大変な場合もあります。高額所得者であって、返済も早く終わる場合なら、さらなる融資も得られるでしょう。もし、区分所有から入っていく場合、所有した物件を担保にさらに融資が下りるかどうかも踏まえて、長期戦略を考えていくと失敗しないでしょう。

 

まとめ

 

不動産投資における、区分所有と一棟経営のどちらの方が良いかをテーマに、メリット・デメリットを考察していきました。

区分所有は、比較的少ない資金からでも購入することができます。言ってしまえば手元資金ゼロでも、フルローンで購入することができます。しかし、ローン返済が重くのしかかり、空室になってしまったら、さらに利回りが悪化し、自分自身の生活も逼迫させられる可能性もあります。

一棟経営の方が、空室リスクが低下します。さらには、ローンの返済が終わる頃には、二棟目、三棟目まで持っている可能性もあります。

一棟買いの場合、最初の頭金を用意する所がハードルになりますが、将来的なビジョンを考えるとメリットが大きいように思います。

もちろん、なぜ不動産投資を行うのかといった目的によって最終的なゴールは変わるでしょう。自身のロードマップに照らし合わせて、入り方を決めてみてはいかがでしょうか。