アメリカの不動産投資で資産構築や運用を行っていく時に、減価償却のメリットを知っておくとより多くのお金を残すことができます。このタックスメリットを享受したいがために、アメリカの不動産投資を考えるのも良いでしょう。
本記事では、アメリカ不動産投資における減価償却の考え方や税制面でのメリットについて解説していきます。
もし、毎年多くの税金を支払うことに悩んでおり、少しでも節税をしたいと考えるならば、選択肢のひとつとして考えてみてください。
中古不動産の異なるマーケット事情が減価償却メリットにつながる
不動産など、一度に出ていくお金が大きい場合、減価償却の制度に基づき一度に経費として落とすのではなく、数年にわたり計上していきます。減価償却は、定額法と定率法のどちらかの計算で計上していくことになります。国内不動産を購入しても、アメリカの不動産を購入しても、基本的な考え方は同じです。
なぜ、アメリカ不動産投資は、国内不動産投資より減価償却における税制上のメリットが得られるのでしょうか。
日本とアメリカの不動産事情は大きく異なります。日本は新築物件中心のマーケットで、アメリカは、中古物件です。もちろん、日本にも中古物件の取引はありますが、資産の評価基準は日本とアメリカで違います。
日本において、中古住宅はどうしても敬遠されがちで、築年数に応じて資産価値が大きく下がっていきます。新しい耐震基準で建てられた現代の建築ならば、数十年先の資産評価は下がらない可能性もありますが、現状を考えると中古物件のマーケットは、低く見られるでしょう。
アメリカの場合、中古不動産におけるマーケット事情は大きく違います。日本では敬遠されがちな築年数だったとしても、手入れがしっかりなされて、管理が行き届いている物件ならば、新築と同等の評価、もしくはそれ以上に評価される場合もあります。つまり、中古不動産だったとしても、新築並みの価値がつく可能性があり、取得した時にリフォームをすればさらに家賃が上がる可能性もあります。
なぜアメリカの不動産投資で節税でき、多くの資産を残せるのか
日本とアメリカの中古物件事情が大きく変わることから、その差を利用すると節税しながらも十分なインカムゲインが得られるのです。
日本における減価償却の制度は、日本の中古不動産における事情が強く出ています。しかし、アメリカの中古不動産を取得した時も、日本の減価償却の制度で経費計上することができるため、より良い買い物をしながらも、大きな経費として計上できるのです。
日本の中古不動産でも、同様に経費計上はできますが、家賃収入が見込みづらいため、より多くのお金を残すという目的からすると、理にかなっていないのです。もちろん、日本国内の中古不動産だったとしても、優良物件はあるでしょう。ただし巡り合える確率は低いですし、今後数十年を予測した場合、人口増が見込めるエリアも考慮すると、ごくわずかでしょう。
中古住宅比較!アメリカと日本ではこんなにも違う?!
ここまでは、アメリカの不動産事情から減価償却メリットを得て、より多くの資産を残せるのかについて見てきました。
実際に数字を交えながらシミュレーションをしてみると、どれくらいのお金が残るのか、より理解できるでしょう。
まず、日本の不動産における減価償却の計算方法について知っておきましょう。建物の耐用年数に応じて、減価償却の期間は変わります。建物の構造によって、耐久性が変わるため、耐用年数も同様に変わるのです。
例えば、新築の木造建築ならば、耐用年数は22年です。中古物件の場合、22年から築年数を引いた年数で償却していきます。ちなみに、築年数が22年を超えてしまった場合は、減価償却が0年になるのではなく、中古不動産の場合、もともとの耐用年数の20%で減価償却しても良いという制度になっています。つまり、4.4年です。
築18年以上の物件は、4.4年で減価償却することになります。
築20年程度の物件は、日本国内でもそれほど資産価値が落ちていないでしょうし、高いです。もっと古い築40年~50年の物件では、建物の評価はほとんどなく、不動産の取得金額も土地の割合が大部分を占めるでしょう。
【国内の中古物件の場合】
▼条件
- 住所:東京都新宿区
- アクセス:四ツ谷駅より徒歩10分
- 間取り:3DK(一戸建て)
- リノベーション済み
- 建物面積:52.92㎡
- 築年数:51年(1967年築)
- 不動産価格:3,180万円
- 減価償却費:約722万円(4.4年で償却)
▼家賃シミュレーション
※家賃のシミュレーションは、似たような条件から推測
- 家賃:18万円/月
(参考:四ツ谷駅徒歩7分、築51年マンション3LDK、専有面積73.12㎡が21.8万円) - 表面利回り:約6.7%(一括で購入した場合、かつ空室なし)
【築50年アメリカの中古物件の場合】
上記の国内不動産の取得金額を予算として、築50年以上のアメリカの中古物件を条件として、近い物件を探してみました。
▼条件
- 住所:カリフォルニア州
- 間取り:3寝室、2浴室
- 建物面積:114.731㎡
- 築年数:56年(1962年築)
- 不動産価格:$287,950 USD(約3,200万円)
- 減価償却費:約727万円(4.4年で償却)
▼家賃シミュレーション
※家賃のシミュレーションは、似たような条件から推測
- 家賃:1,995 USD(約22万円)
(参考:カリフォルニア州の築50年以上の賃貸住宅から推定74.784㎡が$1,995 USD) - 表面利回り:約8.25%(一括で購入した場合)
実際に、売りに出されているアメリカの不動産を見てみると、築年数の割に綺麗な物件が多く見つけられます。当たり前なことですが、何を基準に探していくかによって、手元に残るお金は変わります。条件を見てみると、アメリカの方が住みたいと思える物件はとても多いように感じます。
今回のシミュレーションは、築年数50年かつ3,000万円程度の中古不動産での見比べを行いましたが、築20年程度ならば、アメリカの不動産の方が、利回りが高くなります。
短期間で大幅な減価償却と長期保有も資産価値は落ちないアメリカの物件
実際にアメリカの不動産を見てみると、たとえ築年数が経過していたとしても、あと何十年も住めるのではないかと思わせてくれます。日本の場合は、どうしても頼りなさそうに思えます。その差が賃貸に出した時、空室率にどうしても影響が出てしまいます。
日本の不動産の場合、節税のために4.4年で減価償却を行った場合、すぐに売却をしようにも税金が約40%と高くついてしまいます。
投資不動産の場合、5年以上は保有し続ける必要があります。年々価値が下がり続ける不動産を保有するのは、リスクが高いですし、そもそも取得時点で建物の価値は限りなくゼロに近くなっている可能性もあります。
逆にアメリカの場合、築年数に関係なく、長期保有のメリットが大きい不動産が多く、減価償却で税制上のメリットを得ながらも、一番良いタイミングで売却すれば良いのです。
購入と売却を的確に繰り返し、減価償却のメリットを得ることでより多くの資産を残していくことが可能となります。
まとめ
不動産投資による減価償却メリットを得る場合、築年数が古い住宅でも資産価値が下がりにくいアメリカの不動産の方が、大きな恩恵に繋がります。アメリカの不動産を取得しても、日本国内に籍を置く場合、減価償却の制度は日本のルールが適用されるためです。
20年を超えた木造建築の場合、減価償却の年数は4.4年になります。日本の場合は、建物より土地を減価償却するイメージが強く、アメリカはしっかりと建物を減価償却します。
減価償却を終えても価値が高い水準で残り続けるアメリカの不動産だからこそ、制度を活用して、より多くの資産を残すことができます。
もちろん税金面のことは、専門家に確認しながら正しく処理をしてください。