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リニア新幹線と不動産投資の関係性を考える

不動産投資を行う上で気になるのは、その不動産の価値です。この不動産の価値を決定するもののひとつとして「需要」という要素がありますが、この需要は人の動きや流れによって大きく変わってきます。

そのため、不動産価格は、大規模な開発・再開発によって変動しやすいという特徴があります。

今回は、2027年に東京~名古屋間に開通するリニア新幹線と不動産の関係についてみていきます。まだ10年近くあるじゃないかと思われるかもしれませんが、すでに不動産投資分野では戦いが始まっているようです。

 

リニア新幹線とは何か

 

リニア新幹線は、東京や大阪、名古屋といった日本の主要都市を一本で結びなおすという壮大な計画の元、開発がスタートしました。

現在は東海道新幹線が東京・大阪・名古屋間の3都市を結んでいますが、震災や台風などで新幹線が止まってしまうと、日本経済に大きな打撃を与えてしまいます。

事実、東日本大震災では、東北新幹線が止まってしまった関係で、地方経済に大きな打撃を与えてしまいました。新幹線を補完するものとしても、リニア新幹線は期待されています。

リニア新幹線は、想定では東京・名古屋間を40分で走行します。現在の新幹線「のぞみ」では90分かかることを考えると、その速度は驚きの一言です。

試験走行での最高時速は500kmという夢のような鉄道で、2027年に東京・名古屋間で、その後2037年に名古屋・大阪間での運行が予定されています。

停車駅として発表されているのは、「品川・相模原(神奈川県)・甲府(山梨県)・飯田(長野県)・中津川(岐阜県)・名古屋」の6駅です。

 

リニア新幹線開通に対する経済効果は?

 

1964年に東海道新幹線が開通した際に、大きな人の動きがあり、日本全体の経済構造が大きく変化しました。この時は、東京・大阪間を3時間10分で移動できたため、日帰り出張ということが可能となったのです。

リニア新幹線においては、東京・名古屋間を所要時間40分ということで、この東海道新幹線の時のような経済構造の変化が期待されています。

交通政策審議会の分析では、この時間短縮による経済効果だけで、東京・大阪間で年間7,100億円規模の経済効果があるとされています。また、開業してから50年間で、東京・名古屋間の経済効果は10兆円を超すと試算されており、経済界に大きな影響を与えるのは間違いなさそうです。

特に名古屋は、トヨタ自動車があることから分かるように、製造業などの生産関連の仕事が多く、ITや流通の本部やサービス業が豊富にある首都圏と結ばれることで、より強力に日本経済をけん引することが出来るでしょう。

こうした期待から、すでに名古屋の不動産マーケットは期待感に反応しているというデータが出てきました。

日本不動産研究所市街地価格指数によると、名古屋圏では2013年3月から2018年3月までの期間、6ヶ月変動率・年間変動率ともに上昇を続けています。また、国土交通省の地価LOOKレポート(2018年1月1日~4月1日)でも、名古屋圏は20期連続で、全てのエリアにおける地価が上昇し続けているのです。

こうした上昇すべてが、リニア新幹線による期待需要であると結論付けるのは危険ですが、それでも名古屋における地価の上昇は注目すべき現象でしょう。また、東京における六本木ヒルズを真似るように、名古屋でも富裕層向けのタワーマンションの建設が進んでいます。「栄タワーヒルズ」と呼ばれる、名古屋最大の高級賃貸マンションは、2019年2月下旬に竣工予定。建設計画を請け負う東建コーポレーションには、予約状況や内容を確認するための連絡が多く入っているようです。

 

注目すべきリニア新幹線の駅

 

リニア新幹線についての期待は、そのまま駅建設予定地の地価にも影響を与えることは間違いありません。東京・名古屋間を40分でつなぐということは、その周辺は新しいベッドタウンとして開発される可能性もあります。ただし、不動産投資という視点からは、ぜひ既存駅との接続が便利である駅に注目してみましょう。今回は、品川・名古屋・橋本(神奈川県)の3駅です。飯田(長野県)や中津川(岐阜県)については、少々見通しが難しい状況になっています。

① 品川

2027年のリニア新幹線の開業を目指して、すでに品川駅では工事が進められています。

東海道新幹線の駅にもなっている品川駅にとって、さらなる改良工事を進めることは地上では不可能なため、リニア新幹線の駅は地下になる予定です。全長1km、横幅60mもの巨大な空間が地下に設けられ、リニア新幹線のホームが2つ作られます。

更にこのリニア新幹線の駅を作る過程で、品川駅自体も大改造が予定されており、京急線との乗り入れをスムーズにしたり、東海道新幹線を使いやすくしたりと、海外と国内とを結ぶ主要な駅として更なる発展が期待されているのです。

2020年の東京オリンピック需要の関係で、現在でも高いニーズがありますが、今後さらに注目されていくのは間違いありません。

一方で、不動産投資という視点からすると、大型資本が多く参入している現在、個人で入り込んでいくことは難しいかもしれません。リニア新幹線の先行投資先としては、他の2駅に譲ることになりそうです。

 

② 名古屋

2018年現在、実は名古屋は、大阪よりも地域経済が好調といわれています。また、他の地域から人口が流入してきており、全体的な人口も右肩上がりを続けているのです。
こうした状況から、リニア新幹線の需要の利益を大きく受けるのは名古屋ではないかとの声が大きくなっています。

加えて、名古屋駅周辺のインフラは、東海道新幹線が開業した当初から利用されており、老朽化しているところも増えてきました。再開発のチャンスでもあります。

東京・名古屋間が40分ということは、交通費を度外視すれば、品川・戸塚間程度の時間なため、ベッドタウンとしても利用できるでしょう。週3日名古屋で働き、週2日東京で働くといったスタイルも確立できるかもしれません。

現在の第二の経済圏である大阪にリニア新幹線が開通するのは2037年。この10年の違いで、名古屋が大阪を抜き、日本第2位の経済圏となる可能性もあるのです。先述したタワーマンション以外にも、多くの住宅やオフィスが開発される予定です。不動産投資の観点からも、目が離せない都市となっています。

 

③ 橋本

東京と名古屋以外に、ある程度の人口規模と街の開発が進んでいる橋本(神奈川県相模原市)は、個人の不動産投資という視点からは、非常に注目すべき都市といえるでしょう。

現在の橋本駅は、JR横浜線が通っていますが、都心までの所要時間は1時間前後。便利なベッドタウンという意味では魅力が少ない地域です。しかし、リニア新幹線が開通すれば、なんと品川まで10分以内となります。これなら、ベッドタウンとしての注目度は高まるはずです。

また、橋本駅周辺が、このリニア新幹線の駅の開通に伴い再開発計画を進めています。住宅や商業施設、医療機関などからなる大型の複合施設の建設に加え、JR横浜線・京王電鉄相模原線の従来の駅とのつながりも見直す予定です。こうした動きに、ファミリー層が敏感になっています。不動産投資家としては、ぜひ賃貸マンションなどに注目してみてください。

 

まとめ

 

リニア新幹線の開通に伴う不動産の動きについて、特に主要な開発地域となるだろう3つの駅について注目しました。リニア新幹線の開通により、東京・名古屋間の「人・モノ・金・情報」の動きを大きく変化させるだろうという期待が膨らんでいます。この「人・モノ・金
情報」の動きが変わるときこそ、投資チャンスです。

ぜひ不動産価格には注目してみてください。また、3駅だけでなく、この周辺の駅にもチャンスがあるかもしれません。大掛かりな開発による投資チャンスは、仕込みが重要です。今のうちから、情報を仕入れておくことをお勧めします。