ふるさと納税をやってみたことがある方は増えてきたと思いますが、ふるさと納税に伴ってポータブルサイトビジネスが大成功しているという話はご存知ですか?
ふるさと納税のポータブルサイトが台頭し始めたお陰で、私たちがふるさと納税を魅力的に、かつ分かりやすく利用できるようになったといっても過言ではないでしょう。
今回は、ふるさと納税とは何だろう?というところから、ポータブルビジネスについてまでを解説します。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、現在住んでいる自治体とは別の自治体に「寄付」ができる制度です。大人になった今、子供の頃に住んでいた「ふるさと」の自治体とは別の場所に住み、納税している人は多いでしょう。そんな以前お世話になった「ふるさと」に少しでも納税するという形で恩返し・貢献できるという考えから始まった制度です。
選べる自治体は必ずしも以前居住していたなどには限られず、個人的に思い入れのある自治体や応援したい自治体を選べるようになっています。
1-1.ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税=寄付です。寄付した金額はその年の所得税より還付され、翌年度の住民税より控除されます。結果的に自己負担額2,000円を除いた全額が控除されます。つまり、収入の中から住んでいる自治体に住民税・所得税を支払っていますよね?
その支払っている住民税・所得税の全額+2,000円で希望の自治体を応援できるのがふるさと納税の仕組みです。自治体は応援してくれたお礼に返礼品として地域の名産物などを送ってくるので、応援ができる上に返礼品も貰えるふるさと納税は人気です。しかし、収入や家族構成に応じて限度額(住民税・所得税の額)は変わってくるので注意が必要です。
1-2.ふるさと納税の流れ
好きな自治体を選んだら、その自治体に寄付をします。寄付をするとお礼品が届き、その後寄付を証明する「受領書(寄付金受領証明書)」が届きます。その書類をもとに寄付をした年度末に「確定申告」の手続きをすると、所得税は当年分からが還付され、住民税は翌年の6月以降分から控除が受けられます。結果、実質的には自己負担額を2,000円にすることができるのです。
1-3.ワンストップ特例制度
「確定申告」が面倒だと思う人は多いでしょう。そんな方の為にできたのが「ワンストップ特例制度」です。「確定申告」が不要な給与所得者で、選んだ自治体の数が5団体以内であればこの申請が行えます。寄付をした自治体が代わって手続きを行ってくれるのでとても簡単です。
ふるさと納税をポータルサイトの事業の仕組みと代表的サイト
ふるさと納税をより盛り上げたのが“ふるさと納税を扱うポータブルサイト”の存在です。ポータブルサイトが数多くできたことで納税者の目にも多く留まり、より魅力的に、かつ手軽に自治体選びをすることが可能となりました。
そんなふるさと納税のポータブルサイト事業について詳しく見てみましょう。
2-1.ふるさと納税ポータブルサイト事業とは
ポータブルサイトとは、ウェブページへアクセスするための検索エンジンや様々なコンテンツのリンク集が設置されたサイトのことです。ふるさと納税のポータブルサイト事業では、広告や有料コンテンツで収入を得る代わりに、自治体に代わってサイトを充実させ、納税に関わる手続きをワンストップ化して業務効率をアップさせます。また、自治体の寄付金増加と地域名産品の流通拡大にも成果を見せています。
2-2.代表的なサイトをご紹介
総務省が発表しているふるさと納税ポータブルサイトも存在します。しかし、ポイントを貯めることができ、特典もある一般企業が運営するポータブルサイトは魅力的です。どの自治体を選ぶのかと同じくらい、どのサイトを経由するかも納税者にとっては重要なポイントになってくるのです。では、どのサイトが人気なのかを見てみましょう。今回は特に人気なサイト5選をご紹介します。
① さとふる
返礼品の評価レビューを見ることができ、電話での問い合わせも出来るので初心者に人気。自治体の事務局の代行もしているので、返礼品が届くスピードも速い。
② 楽天ふるさと納税(楽天)
楽天が運営するポータブルサイト。寄付することで貯まるポイントの還元率が高いので人気。ポイントでの納税もできる。
③ ふるさとチョイス
ふるさと納税ブームの火付け役となったサイト。すべての自治体の情報を網羅している最大手のサイト。Tポイントでの納税もできる。
④ ふるなび
金券類の取り扱いが多いサイト。返礼品をもらうだけではなく独自のポイントを使ってレストランで食事などもできる。
⑤ わが街ふるさと納税
サイト上で納税の申し込み可能ではない自治体の情報も掲載していて、銀行口座振り込みや郵便振替などネットに不慣れな人にも丁寧な対応が人気。
各社が大成功しているので、その業績を紹介
上記で挙げた人気サイト5選の企業ごとの業績を見てみましょう。各社共に業績はさまざまですが、どの企業も2017年に1度ブームの落ち着きを感じますが、数年単位で数値を見てみると全体的に規模は拡大しています。
① さとふる(株式会社さとふる)
ソフトバンク系列の会社。2018年3月純利益526百万円、利益剰余金△1,034百万円。一見業績は思わしくないようだが、3年連続の赤字から脱却し、今後の業績が期待される。
② 楽天ふるさと納税(楽天)
大きな企業なので、ふるさと納税単独の業績は確認しづらいが、2018年度第三四半期のインターネットセグメントは64.3%を占める中で、売り上げ収益は193,660百万円と膨大な収益を上げている。
③ ふるさとチョイス(株式会社トラストバンク)
納税者利用率ナンバーワンと名高いサイト。平成30年11月28日にチェンジ社の子会社化することを公表。2012年設立だが、前期売上約60億円とベンチャー企業ながら他大企業の脅威になる存在。
④ ふるなび(株式会社アイモバイル)
2019年7月期 第1四半期決算資料によると、売上高及び営業利益ともに過去最高を更新。前期売上約24億円、営業利益約7億円。前年同期比で売上高約7倍、営業利益約23倍。着実に結果を打ち出している。
⑤ わが街ふるさと納税(サイネックス株式会社)
2018年3月売上高12,956(百万円)、営業利益513(百万円)となっており、前年比からは△2.6%、△36.8%と2017年度から比べると思わしくない業績だが、2016年度の売上高は11,909(百万円)となっており、数年単位で見ると業績が伸びていることが分かる。
5 おわりに
創立5年ほどしか経過していない“”ふるさと納税業界”は、この5年間で市場規模が35倍以上になった急成長市場です。現在は1,600億円程度の規模があるとさえ言われています。2015年には確定申告を簡素化した「ワンストップ特例制度」も取り入れられ、さらに利用者が急増しました。
しかしながら、総務省は返礼率が高すぎることを問題視し、一部の規制強化に乗り出しました。今後も制度改正の内容によっては利用者の変動が予想されますが、ふるさと納税を経験した利用者がリピートすることも考えられますし、新規の利用者もまだまだ沢山いるので、これからも可能性を秘めたビジネスであることは間違いなさそうです。