美味しいだけでなく、それぞれに独自の歴史やそれにともなう醸造のコンセプトがあり、語ればよりいっそう楽しみが広がるワインの世界。
第二回目の今回も、またまた香り高いうんちくをご披露したいと思います。
前回はカリフォルニアのオーパスワンのお話をご紹介いたしました。面白かったですね。
さて、その次とくればフランスのボルドーやブルゴーニュ、と行きたいところです。
しかし、今回もまたまた少し横道にそれて、シャンパーニュと行きましょう。
おりしも年末はパーティやクリスマスの季節。乾杯はちょっとお洒落にシャンパーニュですよね。
でも解っているようであんまり知らないのが、このシャンパーニュ。ひとつ確かな知識を仕入れて、みんなにうんちくを披露してもっと場を盛り上げましょう。
他のスパークリングとは明らかに違う。祝宴には欠かせない伝統の技とテイスト
フランスが誇るワイン文化のシンボル、シャンパーニュ。
一般にはシャンパンとかシャンペンとか言いますが、正式にはあくまでシャンパーニュ。
本稿でもシャンパーニュと表記します。みなさんもちゃんと言ってくださいね。
発泡性のワイン、スパークリングは世界にたくさんの種類があります。
スペインのカヴァ、イタリアのスプマンテ、ドイツのゼクトなどいろいろありますが、その中でフランスのシャンパーニュ地方で作られるものがシャンパーニュ。
というところぐらいはみんな知ってますよね。
しかし、それだけではありません。
正式のシャンパーニュはフランスの厳格なワインの基準、AOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ、原産地統制名称ワイン)をクリアーしたものだけが、シャンパーニュを名乗れるのです。
AOCのシャンパーニュ製造法はシャンパーニュ方式と言われる、長年の伝統を厳格に守った手法です。
他の地方や国のスパークリングは密閉タンク法、トランスファー法、そして炭酸ガス注入法など、もっと簡単な機械化された方法で作られます。
モンターニュ・ド・ランス自然公園内のリュード村にあるカナール・デュシェーヌのブドウ畑。すべて自然農法で最高品質のピノ・ノワールが栽培されている。
丁寧な手仕事と、三年の歳月が至高の泡のワインを生む
シャンパーニュに使われるブドウはシャルドネやピノ・ノワールを主体にした7種類。
代表的なシャンパーニュは、シャルドネの白ブドウに黒ブドウのピノ・ノワールの皮をのぞいたものを加えて造られます。
この時、ピノ・ノワールの皮を少し残して造られるのが、ピンク色のロゼのシャンパーニュです。
すべて手摘みで収穫されたブドウはまず、一般的な手法で一次発酵されます。
この発泡していない辛口のベースワインに糖分と酵母を加え、瓶に詰めます。
瓶の中でワインは二次発酵を始め、炭酸ガスがワインに溶け込みます。
この時、澱が発生しますので、瓶は最初下を向けてあり、毎日1/8回転ずつ手で回されます。
これを動瓶といい、これにより澱が瓶の口に少しずつ集められるのです。
そして、瓶に詰めてから毎日、動瓶しながら徐々に立ち上げることなんと15か月以上、ヴィンテージものなら3年以上かけたワインはいよいよ、上を向けて澱を抜きます。
澱抜きで減った分にリキュールとシロップの混合液を加え、栓をしてやっと出来上がるのです。
この混合液を加えることをドサージュといい、この量でシャンパーニュの辛さ(甘さ)が決まります。
150年の歴史ある地下のカーブ(ワイン庫)。毎日手で動瓶されること、なんと3年以上。
シャンパーニュの最も甘口のモノはドゥー、辛くなるにつれドゥミ・セック、セック、エキストラ・セック、そして一番辛口がブリュットと言います。
ことほど左様にシャンパーニュは複雑で、手間のかかる行程で造られています。
他の地方や海外では機械化やもっと簡単な手法でスパークリングを作っていますが、シャンパーニュ方式は頑なに伝統の手法を守り、シャンパーニュの味と格式を保っているのです。
お高いのにはそんな理由があります。
マークはロシアのロマノフ王朝のマークを拝領したものに、ナポレオン軍のサーベルをあしらったもの。カナール・デュシェーヌの歴史の重厚さが偲ばれる。
知って欲しい、薫り高いシャンパーニュの歴史
発泡ワインは17世紀の末に生まれたとされていますが、もとはイギリスだなどと諸説あります。
しかしその製法を研究し確立させた人ははっきりしています。
シャンパーニュ地方の修道士、ドン・ぺリニヨン(1638~1715年)です。そう、あのドンペリに名を残す人ですね。
そもそもシャンパーニュ地方はフランスの北方にあり、気候が冷涼なので甘いブドウが出来ませんでした。
ボルドーの赤にかなわない。
そこでドン・ぺリニヨンは白ワインを基本に様々な手法を試します。
糖を足して当時普及しだしたガラス瓶に詰めたのです。
しかし、瓶で二次発酵が始まり泡が立ってしまいました。
失敗か、と思ったら、その爽やかな味わいが人気を博したのです。
怪我の功名ですね。
その後製造法は洗練されてゆき、新しいシャンパーニュの発泡ワインは、特にイギリスの貴族階級の人たちを魅了。世界にその名を轟かせることになりました。
キュヴェ・レオニー・ブリュット
創始者レオニー夫人の名を冠した、シンボルキュベ。高級なリザーブワインを25%ブレンドしてある。完熟のパイナップルのアロマ、上品な酸をしっかりしたミネラルが支える。ボディの厚みと清々しいさの両立は見事。
あなたのお気に入りのシャンパーニュを見つけよう
いかがですか、シャンパーニュの奥深さ。
他のスパークリングとは全然違うことがお分かり頂けたと思います。
とっておきのパーティやデートなら、やはりシャンパーニュを一本あけて、うんちくを語りながら楽しみたいものです。
さてそんな時、どのシャンパーニュを選びましょうか?
シャンパーニュのワイナリーもたくさんあり種類も味も様々。
お決まりの銘柄ならドンペリやモエが有名ですが、いつもそれでは芸がないし、ワインの通な感じはしません。
ぜひあなたのお好みの一本を覚えておきましょう。
オーセンティック・ブリュット
30か月の熟成と芸術的な配合で生まれた、カナール・デュシェーヌならではの一本。かんきつ類や白い花を思わせる香りに、緑がかったペールイエローの中にフレッシュさが光る正統のブリュット。
とっておきのメゾンをひとつご紹介しましょう。
マリッジ・シャンパーニュと呼ばれる、輝かしい歴史のカナール・デュシェーヌ、創立は明治維新と同じ1868年。
樽職人のヴィクトル・カナールとブドウ栽培農家の娘、レオニー・デュシェーヌの二人が結ばれたことからこのメゾンの歴史は始まりました。
なのでこのシャンパーニュは、2つを結ぶマリッジ・シャンパーニュと呼ばれています。
2つのワイン造りの名家こだわりが結実したカナール・デュシェーヌは、創業以来非常に上質なシャンパーニュをヨーロッパ各地に販売。
ついに1890年、ロシアの皇帝ニコライ2世のご用達となり、ロマノフ王朝の「双頭の鷲と冠」の紋章の使用が許可されます。
さらに、ナポレオンの騎兵隊がシャンパーニュのボトルを口ごとサーベルで開ける儀式のも使用されたので、紋章にはサーベルの文様も入っています。
カナール・デュシェーヌはシャンパーニュ地方のモンターニュ・ド・ランス自然公園内のリュード村にメゾンを構え、豊かな日照と白亜石灰質の土壌に恵まれた丘陵地に広々としたブドウ畑を保有しています。
このあたりはピノ・ノワールの銘醸地で、きめ細やかな酸と充分なミネラルのシャンパーニュを生み出しています。
さあ、素晴らしい歴史と伝統に彩られたカナール・デュシェーヌ。次回の祝宴ではぜひ手に入れてその素晴らしい味と香りを試してください。
もちろん、あなたの楽しいうんちく話をたっぷり添えて・・・
※上記のワイン情報は、日本有数のワイン販売店 株式会社徳岡のご協力で制作しました。
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