現在インフレが加速しており、金や原油など実物資産に投資を行う「コモディティ投資」への関心が高まっています。
そこで今回は、注目されている「コモディティ投資」とは何なのか?今更聞けないコモディティ投資の基本についてお話していきたいと思います。
コモディティとは?
経済学において、コモディティ(commodity)とは一般に商品のことを指す言葉です。
コモディティ投資とは投資の形態なのは間違いありませんが、石油などのエネルギー、金銀銅などの貴金属、トウモロコシや大豆などの農産物、つまり商品のことを「コモディティ」といいます。
もっと簡単に言うと、我々の社会や日常生活にとって必要な「生活必需品」や広い意味での「日用品」のことを指します。
コモディティ投資とは?
コモディティ投資は実物資産への投資を意味しますが、投資方法としては現物取引だけではありません。
実物資産を対象とした投資信託・ETFなどもあることから、流動性において投資しやすい環境にあるのです。
コモディティ投資の仕方は?
コモディティ投資の仕方には複数種類があります。
種類によって内容はかなり異なるため注意が必要です。
ここでは、その種類について見ていきましょう。
商品先物を取引する
商品先物とは、将来的に商品を受渡しする日を決めたうえでの約束をし、その価格を現時点で決める取引きのことを指します。
1、2ヵ月後に金や原油など商品の受渡しを約束しつつ、それまで売買を行うのです。
「先物取引」は必ずしも現物を受渡しする必要はなく、期日前であれば反対売買(買ったものは売る、売ったものは買い戻すこと)による差額の授受で決済する(差金決済)こともできますし、期日に現物(金地金等)を受け取ったり渡したりする事もできます。
商品先物取引は、国内だけでなく国外の市場でも取引が行われています。
アメリカではCME(シカゴ市場)が、日本ではTOCOM(東京商品取引所)が中心的な市場となっています。
商品先物取引は、少ない資金で取引できる特徴があります。
取引金額の数%程度の金額を証拠金として取引ができるのです。
証拠金の30~50倍もの取引ができる商品も存在しています。
この倍率のことを「レバレッジ」と呼びます。株の信用取引ではおおよそ3倍、FXでは25倍くらいなので、商品先物のレバレッジがいかに大きいものかが分かるかと思います。
商品市場自体の値動きも大きめです。
ですので、大きな利益のためにレバレッジをかけることができる一方、想定外の損失がでる可能性も存在しています。
リスクを管理することに注力しなければなりません。
例えば、リスク管理とはレバレッジを10倍以内に抑えておくこと、思惑と反対に行ったときには必ず損切りをすることなどルールを設定しておく必要があるでしょう。
近年では、日本における商品先物の市場は出来高の減少が続いてみられており、思い通りに売買できないリスクがある商品もありました。
しかし、新たに東京証券取引所と東京商品取引所が経営統合することで、金属や畜産物などの商品と、株式などを1ヶ所で取引きできるような総合市場の誕生が表明されたのです。
ですが、商品先物市場が活性化するかどうかは未だ注目されています
信託投資
商品先物はハイリスク・ハイリターンかつ、商品先物会社に口座を開かなければいけません。
一方、株式や投資信託など証券会社で取引している人は、コモディティーを組みこんだ投資信託であればすぐに取引きすることができます。
金融機関を通してでの投資信託であれば、資産をエネルギー、農業、金属などに配分し、比率を自分で変更する必要がないという利点があります。
しかし、証券会社によって取扱商品が異なるため気になるコモディティに手を出せなかったり、手数料に違いがあるなどといった点が見られます。
そこで、最近特に利便性が高いと有名なのが、ETFといわれる、株式市場に上場している投資信託です。
ETFでは、通常の株式のようにリアルタイムで取引でき、手数料も株式と変わらないので、ネット証券を使えばコストを抑えられます。
加えて、金先物、原油先物など、様々な指数に連動する商品があったり、円建てや米ドル建てで投資できるといった点も魅力的です。
コモディティ投資のメリット・デメリット
コモディティ投資をしていくうえでの、メリットやデメリットにはいったい何があるのでしょうか。
メリットとデメリットをお伝えいたします。
メリット
コモディティ投資のメリットは大きく2点あります。
1.コモディティ投資はインフレに強い
コモディティ投資は商品なので、現在インフレである日本ではインフレ(物価上昇)に合わせて投資対象である実物資産の価格も上昇する傾向にあるため、インフレ時には堅調に価格が上昇する資産としてメリットとなります。
一般的にインフレが起こると貨幣価格は下落しますが、商品であるコモディティ投資はインフレに強いとされています。
景気回復が進む際にはインフレ懸念が台頭しますが、そのような状態でもコモディティは堅調な価格推移が期待できますね。
2.コモディティ投資は分散投資ができる
コモディティの価格は商品ごとの需給バランスや天候、生産量や在庫、為替レートなど様々な要因に影響を受けます。
そのため、株式市場やその他の資産の変動要因と異なるので、コモディティへの分散投資はリスク低減効果があるといわれています。
他にもメリットとして、信用リスクが少ないことや、単純明快であることが挙げられます。
デメリット
1.インカムゲイン(配当金)が狙えない
コモディティ投資の場合、投資する対象が金属、原油、穀物などの実物資産であるので、保有し続けることによる利益発生はなく、配当金は発生しません。
そのため、他の資産運用と比較すると運用益の少ない運用方法になる可能性があるでしょう。
2.価格変動が予測しがたい
コモディティ投資は変動が大きい点も気を付けるべきポイントであります。
農産物などの商品は災害や天候などにより価格が影響されるため予測しづらく、値動きを予測するのが困難です。
商品ごとに価格の変動要因も異なるため、急な価格上昇または下落が起こることがあります。
例えば、原油に代表されるエネルギー・天然資源は、政治や世界情勢によっても価格が変動しやすいものです。
世界情勢に変化が起きると、エネルギー資源や工業用金属は急激に価格が変どうする恐れがあります。
穀物などであれば、災害や疫病などで生産性が大きく損なわれるという可能性もあります。
災害や疫病は予測が困難なうえに、予測ができたとしてもこのような大きな変動対策には限界があると言えます。
更に、コモディティ投資の対象となっている実物資産の価格は、外貨建てで決定されるため、為替による影響を受けることもデメリットとして挙げられます。
例えば、金の価格は、日本においては米ドル建てで提示された価格を円換算しているので、為替変動による影響を受けているのです。
また、外貨建ての場合には為替変動の影響は投資信託にも及ぶため、価格変動リスクだけでなく、為替変動リスクにも注意しておく必要があると言えるでしょう。
コモディティの主な種類
コモディティには複数種類があります。その中でも、中心となる各コモディティについて見ていきます。
畜産
畜産物関連には、飼育牛や生牛、赤身豚肉などがあります。畜産物関連は、需要と供給のバランスによって価格変動が生じるとされています。
畜産は生活必需品に分類されるため、安定した需要が期待される一方、牛や豚などの家畜を飼育するために用いられる飼料価格の動きや疫病などの影響を受ける可能性が高いとされています。
エネルギー
エネルギー関連には、原油、ガソリン、ヒーティングオイル、ディーゼル、天然ガスなどが存在します。
エネルギー関連は、需要と供給のバランスだけではなく、中東の状況や国際的な情勢によって価格変動が生じる可能性が高いため、国際社会への十分な知見が必要となるでしょう。
その他にも、原油を生産する国々の動向や合意、アメリカのシェールオイルやシェールガスの生産状況により影響を受ける可能性もあると言えます。
農産物
農産物関連には、小麦、トウモロコシ、大豆、コメ、コーヒー、砂糖などがあります。
農産物は、畜産物と同じように、需要と供給のバランスによって価格変動起きるとされています。
生産地における気象の変化、自然災害、収穫のタイミング、季節的な要因など、不確定的な事象から影響を受けやすいと言えるでしょう。
金属
金属は、金やプラチナなどの貴金属と亜鉛やアルミニウムなどがあります。
金属関連は、鉱山の生産動向や政府の輸出政策などによって価格変動が生じると言えます。
貴金属は安全資産であるために、株式市場が不安定になった場合などの資金の移動先として頻繁に選ばれるので、需要と供給に関係なく価格変動が生じる可能性があります。
コモディティ投資まとめ
いかがでしたでしょうか。株やFXなどとは異なり、実物資産を対象としていることが特徴的ですよね。
更に、投資の仕方によっても手数料が異なったり、明確なメリットやデメリットが存在することも忘れてはいけません。
これから、景気は今までにないような動きを見せるかもしれません。
そこで対策として、分散投資のためにコモディティ投資に目を付けて見るのもありかもしれませんね!