昭和の高度経済成長期では、とにかく頑張って仕事をしていれば給料が上がり、家が買え、家族を養うことが出来るという生活が保障されていました。
年功序列・終身雇用という仕組み自体が、まじめに仕事だけやっていれば報われるという価値観を生み出したといえます。
しかし、現在の日本社会において、仕事だけしていれば給料が上がるという仕組みは正直なくなってきており、給料が増えるどころか、現在年金の受給が遅くなり、社会保険料も年々上がっていますよね。
老後の生活不安などを抱えている人は増え続けています。
そのため、多くの人が、自分が持っているお金を増やしていく知識を持つ必要が出てきており、興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。
こうしたお金を増やす方法のひとつとしてインカムゲインがあります。
このインカムゲインとは何なのでしょうか。
そして、少ないお金の量でありながら、インカムゲインを着実に獲得していく方法はあるのでしょうか。
インカムゲインとは?キャピタルゲインとの違い
まずインカムゲインとは、簡単に言ってしまえば、何かを所有し、その所有しているものから継続して得られる利益・お金・収入のことを指します。
例えば、不動産投資などでアパートを借り、このアパートの家賃収入を得るというのはインカムゲインです。
一方で、キャピタルゲインという言葉もあります。
これは、何かを売買し、この差益で利益を上げるという手法です。
例えば、株式投資。
1株=1万円の時に買い、1株=1万2千円の時に売れば、差額が2千円手に入ります。この差額の2千円がキャピタルゲインとなります。
インカムゲインの特徴は大きく2つあります。
ひとつは、何かを所有するということ以外にアクションがいらないということです。
社会人として働いていれば、日々忙しくなってしまうため、なかなか積極的にアクションを起こすというのは難しいですよね。
こうした忙しい人たちにはインカムゲインがおすすめといえます。
また、得られる収入は少額ですが、その分リスクが低い投資となっています。
つまり、持ってさえすれば、少しずつお金が増えていくという投資法がインカムゲインということです。
インカムゲインの種類は5つ
持ってさえすればいいという投資手法である、インカムゲインですが、実は様々な手法があります。
昔ながらの手法もあれば、今話題の手法もあります。
今回はインカムゲインの種類を5つご紹介いたします。
不動産投資
持っていれば利益を生み出すといわれて、誰もが最初に思い浮かぶのは不動産投資ではないでしょうか。
不動産を購入する、あるいは、ある程度の安値で賃貸し第三者に転貸しをする、といった手法で、毎月家賃収入を得ることが出来ます。
インカムゲインの手法としてみた場合の特徴としては、やはりリターンがある程度大きいということと、空室の可能性があるという点でリスクも大きめであるということといえるでしょう。
また、不動産投資を始めてみると、空室を埋めるための広告費や設備自体の交換費用などのランニングコストもかかる上に、対応しなければならないトラブルなども発生しがちです。
意外と持っているだけで、後は何もしなくていいとはならない投資ともいえます。
投資信託
投資信託とは、多くの人からお金を集め、集めたお金で株式投資や債券などを取引することで利益を出し、この利益を投資した金額に応じて分配するというものです。
投資とは、多くの場合、ある程度の大きさにして分散して運用することでリスクをコントロールすることが出来ます。
投資信託の大きなメリットは、リスクが少ないということが出来るでしょう。
商品の中には、元本割れ保証というものが付いているものもあります。リターンも、1~5%、高いものとなると8~10%といったものも存在するため、高く設定されているといえます。
ただ当然ですがリスクもあります。
最もわかりやすいのは為替変動による元本割れですが、他にも信用リスクや金利変動リスクといったリスクも存在します。
元本割れの可能性は、他の投資に比べて低いですが、それでも可能性は0ではありません。
株式投資
株式投資といわれると「売った買ったで」で利益を上げるキャピタルゲインが一般的ですが、株式の中には、保有株式数に応じた配当を受け取れるものがあります。
大きい会社では特にこの配当金の割合が大きく、50万円程度の投資で、年1万5千円~2万円程度の配当金を受け取れる企業も少なくありません。
更にベンチャー企業などでは、会社の成長に合わせて配当を設定していることもあります。
上手くいけば、株価が上がったことに対する評価益だけでなく、インカムゲインで二度おいしいということもありえます。
株式投資における最大のリスクは、やはり倒産によってその会社の株式が完全に紙くずとなってしまうということでしょう。
特に新興企業の場合、業績がジェットコースターのように激しく動くことがあります。
ある時期まではとてもうまくいっていたのに、いきなり環境が変わって倒産してしまったというリスクは、どんな大きさの企業であってもあり得ることです。
FX
様々な通貨を取引していくことで、その売買益を見ていくというのがFXの基本ですが、実はFXにもインカムゲインを得られる仕組みがあります。
これを「スワップポイント」といい、通貨間の金利差によって生まれる金利といえるでしょう。
例えば、日本円の金利は非常に低く抑えられています。
一方で、外国の新興国の中には、自分たちのお金の価値を引き上げるために、金利を高く設定している国もあるのです。
この金利の低い日本円と金利の高い外国のお金を取引し、金利の高い外国のお金を保有することで、この金利差であるスワップポイントを受け取ることが出来ます。
FXのリスクは様々ありますが、ここでは流動性のリスクについて解説しましょう。
流動性のリスクとは、政治不安定や紛争、天災などで国土に大きな被害が出た場合、お金が海外に流出してしまうのを防ぐために、国がお金の取引量を制限するというものです。
つまり、買いたいのに買えない、売りたいのに売れないといった状況になってしまいます。
このお金の動きを流動性といい、止まっていることを流動性が低いと表現します。
流動性が低いと貨幣の価値は大きく欠損します。
思わぬ被害が起こることもあり得るのです。
定期預金
今までは投資術というような仕組みでしたが、最後に非常に一般的なインカムゲインを見ていきましょう。それは定期預金です。
定期預金は、一般的な預金よりも自由にお金を引き出せないなどの問題もありますが、何よりも元本割れというリスクが全くないという特徴があります。
だいたい10年もの定期預金であれば、ほとんどリスクがない(銀行が倒産してしまうというリスクはある)状態で、0.2%ほどのインカムゲインを生み出すことが出来るでしょう。
つまり確実性という意味では、他の投資に比べてはるかに評価の高い投資といえます。
定期預金のリスクは、元本割れといったお金にまつわるものというよりも、簡単にお金を引き出せないということといえます。
つまり、自分自身の健康リスクといえるかもしれません。
大病などを患い、すぐにある程度まとまったキャッシュが必要となるという場合でも、定期預金のお金をすぐに解約することは難しいでしょう。
ではインカムゲインに最も適した方法はどれなのか?
今回5つのインカムゲインの方法を見てきましたが、果たしてどれが最もいい方法といえるのでしょうか。
絶対にこれなら儲かる!お得!というのは言い切れないため、ここでは2つの目的に合わせて考えてみたいと思います。
ただし、基本的に1つの手法に、自分のお金をすべて投下することは、リスク性が高くなってしまうためおすすめできません。
老後資金(自分が持っているお金を減らさずに少しでも大きくしたい)
老後資金を生み出したいと考えている場合、稼げる・リターンが大きいというよりも、むしろリスクをできる限り低く抑えたいと考えていることが多いのではないでしょうか。
リスクをある程度コントロールするというのであれば、やはり、定期預金と投資信託のコンビネーションとなるでしょう。
定期預金のリスクは極小ですし、投資信託も商品の性格などを見てみると、元本保証がついていたりするため、リスクを極力抑えることが出来ます。
一方で、この投資方法では、大きなリターンは望めません。
まずは、最低限必要となる資金の目途が付いたら、株式投資などの少しリターンを目指せる投資を組み合わせてみてもいいでしょう。
資産形成(自分が持っているお金をできる限り大きくしたい)
自分が持っているお金をできる限り大きくしたい、というような場合、ある程度のリスクには目をつぶる必要が出てきます。
ここでのお勧めは、株式投資と不動産投資のコンビネーションです。
特に株式投資は、やり方次第でキャピタルゲインも狙えるため、大きな利益となる可能性もあります。
不動産投資も、同じく土地や建物の値段が上がった段階で売りに出すことで大きくキャッシュを仕入れることも出来るでしょう。
このようにキャピタルゲインも狙えるようなインカムゲインの投資先を選ぶことで、資産形成を狙っていくことは大いに可能です。
特に、現在、不動産投資として住宅ローンを組むという手法も注目されており、ある程度信用のある会社のサラリーマンをしていれば、元手が少なくとも不動産投資を進めていくことも出来るようになりました。
加えて、株式投資と不動産投資をうまく組み合わせることが出来れば、脱サラという手段もとれるようになるかもしれません。
まとめ
インカムゲインの特徴と、目的別の投資先についてみてきました。
基本的に、投資とはお金でお金を稼ぐという仕組みですが、どうしてもリスクを0にすることは出来ません。
自分にとってのリスクとは何なのか、どこまでのリスクなら自分は引き受けることが出来るのかといった視点を持ちながら、ぜひ自分の目的に合った投資スタイルを見つけてみてくださいね。