世界景気の拡大が見込め、2017年に比べ2018年から数年間は都心のオフィス需要が高まってきています。そのため、不動産投資の中でもオフィスへの投資が注目されています。
今までは、ビルを一棟丸々所有するのが主流でしたが、価格の関係から手が出せないということもありました。しかし、オフィスを区分所有するというスタイルが増えてきたことから、予算的にも所有しやすくなり、ポートフォリオに組み込もうと考えている人も増えてきたと考えられます。
本記事では、ビルの新しい所有スタイルである「区分所有オフィス」のメリット・デメリットと今後の見通しについて考察していきます。もし、資金的に区分所有オフィスの投資へ参入できるようなら、検討してみてはいかがでしょうか。
区分所有オフィスとは?!
区分所有オフィスは、ビルをフロアごとや部屋ごとに分け、取引する物件のことを指します。例えば、9階建てのオフィスビルがあり、1フロアに1オフィスが入るようなら、9つに分割して別々のオーナーが所有することになります。
また、1フロアにいくつも部屋がある場合は、部屋単位で取引される場合もあります。
ちなみに、「区分所有オフィス」は株式会社ボルテックスの商標であるため、区分オフィスやフロアの区分所有など、いくつかの呼び方がされている場合もあります。
オフィスであるため入居層は異なる
区分所有と聞くとどうしてもタワーマンションや高級マンションをはじめ、マンションの区分所有をイメージします。基本的な考え方は同じですが、用途の目的が異なるため、入居する層は異なります。
マンションであれば、生活しやすい周辺環境や最寄り駅の距離、設備や築年数などが考慮されます。
オフィスの場合は、事業目的であるため、通勤の利便性が第一に考え、都心であればエリアごとに特定の業種が集中することが多く、それらを考慮して所有することで、集客力が変わります。
同じ不動産ではありますが、利用者が変わることで、考えることが変わってくるのです。
もし、区分所有オフィスを投資対象として考えるならば、住宅用マンションで培ってきた知識や経験に上乗せする必要が出てきます。
区分所有オフィスのメリット
区分所有オフィスのメリットに関して考えていきましょう。同じ不動産ではあるもののマンションとは違った要素が見えてきます。
魅力的なオフィスビルに投資できる
床面積の狭いビルを1棟丸々所有するより、床面積が広いビルの1フロアを所有した方が資産価値が上がる可能性があります。
10億円でオフィスビルを1棟購入する場合と、総額100億円のビルを区分所有で、1フロアを10億円で所有する場合を考えます。
1棟の場合は、空室率のリスク分散ができるものの、床面積は限られ、集客に苦労する場合もあれば、入るテナントの信頼性が低いことも考えられます。
逆に100億円のビルの場合は、1フロアになるものの、エントランスや駐車場などの共有スペースや免震・耐震構造や防災上必要な様々な施設の恩恵を受けることができ、トータルの価値が高くなる場合もあります。
不動産価値が下がりにくく、売却益が出ることも
東京23区や大阪などの都心のオフィスビルは需要が高く、好立地で人気がある物件は、値段が下がりにくいです。
エリアによっては、企業のステータスが上がるため、ずっと借り続けてもらえることも考えられます。また、空室になってもすぐに次が埋まりやすいです。
さらにはオフィスビルが全体的に少ないため、売却したい時に買い手を見つけやすく、好条件で売却できる可能性もあります。インカムゲインも得ながら、キャピタルゲインも狙える物件です。
もちろん、どのオフィスでも良いわけではなく、しっかりと精査することが重要です。
耐震性や安全性に優れる。災害に強い
ビルが大きくなればその分、耐震性や安全性も考慮した形で建てていく必要があるため、耐震性や安全性に優れます。地震大国日本では、災害に強い物件であることは、必須条件とも言えます。
中古のマンションも一定の耐震をクリアしている可能性もありますが、新築で建てられた最先端技術を取り入れたハイエンドのビルには勝てません。
管理は業者に任せることができる
大きなオフィスビルであれば、専門の管理業者が入っているはずです。区分所有でも管理は任せることができるようになります。区分所有マンションと同様に、管理費を支払って任せることになります。
区分所有オフィスのデメリット
次に、区分所有オフィスのデメリットについて考察していきましょう。
流通量が少ないため入手困難な場合も
都心のオフィス需要が上がってきていますが、区分所有オフィスは流通量が少ないため入手困難な場合もあります。というのも、今まではオフィスビル丸々取引される事が通例でした。分けられて販売されるようになったのはここ数年です。
そのため、まだ区分所有オフィスの魅力が理解されていないこともあり、購入に至らないケースもあります。
複数オーナーが足を引っ張ることも
ビルを複数人のオーナーで区分所有するという特性上、複数のフロアをまたがって借りたい方が出てきた時に、契約関係が複雑になります。片方は借りることができたけれど、もう片方は折り合いがつかなかったなど考えられます。
また、かなり先のことになりますが、老朽化による建て替えも難しくなってしまう可能性もあります。各オーナーの意向が合わずに、進展しないということも起こりえます。こちらは、区分所有マンションにおいても同様の事が言えます。
単一テナントになるため稼働率ゼロも
ビルの1フロアに1テナントと考えると、稼働率が100%か0%かになるため、リスクヘッジが難しいです。フロア面積が広い場合は、複数のテナントが入れるようにすることで回避できますが、床面積的に難しい場合もあります。
ポートフォリオを組み区分所有オフィスでリスク分散を
これまで、区分所有オフィスの特徴やメリット・デメリットについてまとめてきました。区分所有オフィスは、グレードの高いオフィスビルを所有することができるため、ハイリスク・ハイリターンの投資と言えるかもしれません。
入居が決まってしまえば、長くて巨大な収益物件になっていきます。しかし、単一のリスクは否めないはずです。
ポートフォリオを適正に組むことでリスクヘッジを図ることができます。リスク分散をベースにしたポートフォリオの組み方はいくつかあります。
株式投資に偏っているならば、投資するセクターを変えるのも良いですが、区分所有オフィスを組み込むというのも良いポイントです。オフィスの利用者は、企業がほとんどで、企業への株式投資の視点と親和性が高い場合もあります。
得意な業種が好むようなオフィスならば、知識が蓄積されているだけでなく、情報の収集も比較的容易です。
住宅用の不動産投資を中心に行っている方も、地域を変えるという分散投資も考えられますが、どうしても住宅用不動産は遠く離れると馴染みが薄れるし、予測が立てにくい場合もあります。区分オフィスを所有することを考えて、ポートフォリオを組むと、完成したあとは優秀なポートフォリオになります。
まとめ
区分所有オフィスの基礎的な事柄から、メリット・デメリット、そして、他の資産と合わせてどのようにポートフォリオに組み込むのがベターかを考察していきました。
都心(特に東京23区内)のオフィス需要が高まっており、今後も増えていくことが予想されます。東京や品川、新宿、渋谷といったハブステーションの近くは、1フロアでもかなり大きなオフィスが立ち並びます。そこまで大きくなくても、十分な広さを有するオフィスが1フロアでも所有できたら、資産価値は高まります。
床面積の広いオフィスビルは、エントランスや駐車場などの共有スペースの価値が高く、防災に対する基準や耐久性が優れています。中古ビル1棟所有するより、比較的新しい区分所有オフィスに投資した方が、資産価値が高くなる可能性もあります。
同時に空室になってしまうと、途端にテナント収入が途絶えてしまうため、ハイリスクを有していることもあります。しかし、ポートフォリオをうまく組むことで、リスク分散し、余裕がある形で運用できれば解決できそうです。
都内の区分所有オフィスへの投資も検討してはいかがでしょうか。