資産運用を行う場合、どれだけ増やすことができるかを期待して、少しでも数字のいい投資先や安全で手堅い金融商品を購入します。
しかし、想定外なことはいつでも起こりえます。ひとつの投資先に資産が集中し、トラブルが起きてしまったら、ダメージも深刻になってしまいます。
分散投資を行い、長期的な視点で見ていくことで、一部は下がっても他が上がっていれば、トータル的に右肩上がりの資産を構築することができます。
分散投資は大きく分けると2つあり、株や不動産、国債など、金融商品をバラけさせることや、国や地域を変えることで想定外なリスクに備えることです。
金融商品をバラけさせるのか、国をバラけさせるのが良いか、いくつか意見があります。しかし、長期的な視点でリスクを回避する場合は、国や地域を変え複数の外貨を得られる国産分散投資がベターです。
本記事では、国産分散投資の基本概念から必然性を解説していきます。
国際分散投資とは。先読みやタイミングを計る必要なし
国際分散投資とは、株式や不動産、国債などに投資する際に、ひとつの国や先進国のみ、新興国のみと偏りを避け、バランス良く資産を保有していく投資法のことです。
また、値動きが連動していない異なる組み合わせに投資をすることで、一部が業績悪化してもそれに釣られずに資産価値を維持し続けるため、全体的に下るリスクを回避する事ができます。
金融商品のカテゴリーで分ける分散投資法より、国際分散投資の方が、リスクは分散されます。というのも、例えば日本国内の株式や不動産、債券、保険商品などをバランス良く保有しても、日本の経済状況が悪化してしまえば、全体的に下がってしまうこともあり、必ずしもリスク分散できているとはいえません。先進国や新興国、そして大陸間も分けることによって、全体的に下るリスクを回避できるのです。
そのため、投資先に対する先読みや、どのタイミングで資産を保有するかなど、難しいことは考えなくても良く、一部の資産が一時的に下がったとしても気にせず長期的な観点から見ていく必要があります。
国際分散投資のメリット・デメリット。どのような人向けの投資術?
次に国際分散投資のメリットやデメリットを見ていきましょう。国際分散投資の特徴を掴むことで、どのような人向けの投資手法なのか見えてきますし、状況によって取れる戦略も変わってきます。
メリット
国際分散投資のメリットは、カントリーリスクや資産トータルでの値下がりリスクなど、リスク回避です。
カントリーリスクは、投資先の国の事情や社会情勢によって、資産価値が暴落することがあります。
新興国であれば、クーデターや政権交代によってガラリと変わってしまうこともありえます。新興国のマイナスな面だけを見てしまうと投資先として除外してしまいがちになりますが、経済成長の観点からは先進国以上に期待ができます。そのため、ひとつの国が落ちても大丈夫なように分散させるのです。
そして、投資先を分散させることでトータルの値下がりを回避することに繋がります。投資する側の心情としては上がっていくところにだけ投資をしたいと考えます。しかし、そのためには数々の知識やリアルな情報、そして先見の明が必要になります。
資産価値などの情報に触れることで気持ち的に一喜一憂することが増えます。国際分散投資は、長期的な戦略として割り切って、一時的に一部が下がったとしても保有し続けることで、将来的には回復をし、購入した時と比べて上がっている状況ならば良しと考えます。
より安全に、気持ちの浮き沈みを回避したい人にとって、国際分散投資は有用です。
デメリット
国際分散投資のデメリットは、流動性の低さです。
長期的な視点で投資をすることが前提になるため、すぐに換金することや利益を生み出すことは難しいです。そのため、国際分散投資に回す資金は余裕がある程度にしておくと良いです。
またデメリットとは言い切れませんが、特徴として、短期的に大きく儲けることはできません。また、国外へ投資をいくため、為替変動リスクも負うことになります。とはいえ、為替変動リスクは、プラスにもマイナスにも働くため、人によってはメリットにもなるでしょう。
国際分散投資の運用指標!パッシブ運用とアクティブ運用どちらがいい?
国や地域によらず、分散投資をしていくことが、想定外のリスクを回避する上で重要なことが理解できました。
では、国際分散投資を実際に行っていく際に投資信託やETF(上場投資信託)、不動産や国債など、分けて投資を行っていくでしょう。
不動産や国債は、運用スタンスを決めなくても結果が大きく変わることはありませんが、投資信託やETFは、運用方針を決めておく必要があります。
基本的には、パッシブ運用とアクティブ運用の選択の違いで結果が変わってきます。
パッシブ運用は、ベンチマークしている運用目標と連動する成果を目指すタイプで、国内の場合は、東証株価指数や日経平均株価などの数字を指標とします。そのため、良い時は良い成果に、悪い時は連動して悪くなります。基本的に、一度銘柄を決めたら、頻繁な入れ替えは行いません。そのため、手数料は安く抑えられます。
アクティブ運用の場合は、ベンチマークしている数字を超えていくことを目標とします。そのため、活用する投資信託やETFによって異なり、担当ファンドマネージャーの裁量に基づきます。結果的に目標を超えることもあれば、下回ることもあります。銘柄の組み換えを頻繁に行うため、手数料は高くなりがちです。
どちらも一長一短あり、国際分散投資は、「放ったらかし」、「それほど深い知識が不要」という観点ならば、パッシブ運用の方が近い運用方針です。手数料が高いとはいえ、悪い銘柄は外していくような運用方針の方が、得られる成果は高い可能性があります。
国際分散投資を行う一番の理由を明確にして、さらにどういった結果を得たいのかによって変えると良いでしょう。
国際分散投資での効果的なポートフォリオの組み方はある?!
国際分散投資を実際に行っていく場合、どのようなポートフォリオを組めば良いのでしょうか。
まず分散投資を行う場合、ある程度の資金が必要になります。どれくらい分散させるかによって変わってきますが、投資先が多いほど手堅く資産を守っていく効果は高いです。
例えば、20銘柄に分散する場合、1つの銘柄に50万円の予算を割くとすると1,000万円必要になります。さらには、預貯金の30%を国際分散投資に回すのであれば、トータルの資金が3,000万円必要になります。
前提として、ある程度の資金がある人だからこそ、十分な効果が発揮されることを留意してください。
さて、国や地域別で分散させていく場合、米国、日本、南米、EU諸国、東南アジア、中東、アフリカなど大きく分けると思います。選択の基準としては、日本に情報が入ってきやすい地域がおすすめです。新興国は日本では情報が限られるため、判断が迷う点もありますが、もし、新興国について詳しい方がいれば、現在の状況を聞いておくと良いです。
分散させていく例として、米国へは30%、日本へは10%、東南アジア諸国へは10%、EUは25%、そのほかの地域に分散させて25%など、分けていくと良いでしょう。さらには、株式や投資信託、不動産、国債など、色々と考えながら行うと資産を守れる可能性は高くなります。しかし、株式と不動産では必要な知識が違うため、どちらかを絞るという選択もひとつです。
ご自身の戦略に即したポートフォリオを組むのがベターです。ITやAIの発達により、サポートしてくれるアドバイザーも増えています。機能を使いこなしながら、数字を見ることができるようになってくると、やっていることも理解できるようになり、効果的なポートフォリオの組み方ができるようになっていくでしょう。
まとめ
国際分散投資の概要から、メリット・デメリット、そして特徴などまとめました。
投資を行う理由は、資産を増やしていく面もありますが、守っていく側面もあります。伸びていく金融商品にのみ投資するような攻めた運用を行うと、想定外のリスクにみまわれたりします。
基本的には分散投資で解決していきますが、国を絞った分散投資より、国や地域を考慮した国際分散投資の方が資産を守っていくことができます。
分散投資する場合、流動性は低く、ある程度の資金が必要になります。それらも踏まえて、選択肢のひとつとして持っておくと良いでしょう。