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富裕層が実施している不動産を活用した相続税対策とは?

(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)

日本にはさまざまな税金がありますが、その中でも高い税率を誇るのが相続税です。誰しもがいつかは相続の問題に直面する可能性があります。対策をしていないと、いざ相続を行うときに納税額が高くなる可能性もあります。今回は、富裕層が実施している相続税対策について解説します。

最高税率55%もかかる相続税

相続税は、遺言や相続によって遺産を受け継ぐ際に課される税金のことです。受け継ぐ財産が高額であればあるほど相続税の税率も高くなる仕組みとなっており、現在の相続税の最高税率は55%となっています。ただし「3,000万円+600万円×法定相続人」の金額が基礎控除として非課税になりますので、この金額を超えた部分について相続税が課されます。

実際の相続税は、基礎控除を差し引いて法廷相続人に按分した金額に課税されます。相続税の税率は1,000万円以下で10%、3,000万円以下で15%、5,000万円以下で20%、1億円以下で30%、2億円以下で40%、3億円以下で45%、6億円以下で50%、6億円超で55%となっています。

相続する金額が多くなればなるほど、相続税の税率も高くなります。さらに、2017年1月1日から相続税の税率が一部変更になったことで、最高税率がより高くなりました。

相続税対策とは

故人が残した大切な遺産を有効に活用するためにも、早い段階からの相続税対策をおすすめします。相続税対策にはさまざまな方法がありますが、今回は不動産を活用した相続税対策を紹介しましょう。

実は現金をそのまま相続するよりも、現金を不動産に変えることで相続税の課税対象額は圧縮できます。相続税は現金に対する評価は、当然のことながら額面通りの金額で行われます。しかし不動産の評価は少し違います。

例えば、1億円の資産を現金のまま相続した場合、相続税の計算においては1億円の資産として評価されます。しかし、仮に1億円で土地を取得して相続した場合、土地の評価は相続税路線価などの方法によって評価されます。

相続税路線価とは、土地に対する相続税の基準となる路線に面する土地の評価額です。この相続税路線価をもとに土地の評価が行われますが、一般的に公示価格の8割程度となることが多いとされています。

このため、1億円で取得した土地であっても8割程度の評価となる可能性が高くなり、相続税対策になるといわれています。

土地と同様に、現金を建物などの不動産に変えることによっても相続税対策が行えます。相続税の計算においては、建物は固定資産税評価額がもとになります。この固定資産税評価額も、新築の場合で建築費の5割前後といわれています。

現金を不動産に変えるだけで効果的な相続税対策が行えます。そして、不動産を賃貸に出すことでさらに課税対象額は圧縮できます。

自分の不動産を賃貸に出すということは、言い方を変えれば土地や建物を自分で自由に利用できない状況にあるということです。他人が使っているため自由に使えないということも考慮され、賃貸に出した土地や建物はさらに評価額が安くなります。

相続税は複雑な制度です。人によっては、突然相続の日がやってくることもあり、その際に苦労することもあるでしょう。そうならないためにも、現状でどの程度の資産があり、いくらの相続税が発生するかを可視化しておくことが大切です。そのうえで、相続税対策に取り組みましょう。