2017年の中で多く話題になった仮想通貨は2018年も世間を賑わせています。「億り人」という言葉が誕生したように、投機的な形で活用し、跳ね上がった時に大きなリターンを得るというイメージがついてしまったのではないでしょうか。
仮想通貨にも使われているブロックチェーン技術は、様々な分野で応用が期待され、徐々に浸透していくと考えられます。もちろん、それに合わせた法整備も必要なため、最新情報をキャッチしていくことが必要です。
仮想通貨にまつわる新しい動きとしては、国内の不動産業界が導入を始めました。不動産取引で仮想通貨を利用することは、懐疑的な見られ方もしていますが、実はメリットも大きいようです。
すでに参入している不動産関連企業を例に取りながら、今後、どのように動いていくかを考察していきます。
賃貸決済に仮想通貨を利用!不動産会社大手シノケングループ
国内大手不動産会社シノケングループが、不動産業界としてはじめて、『シノケンコイン』という独自の仮想通貨の発行を行いました。
管理をしている物件の入居者に向けて、シノケンコインで家賃や光熱費などの支払いを行えるようにし、振込手数料の削減や決済の簡略化などが主な目的のようです。
はじめはシノケングループ内のサービスに限りますが、将来的にはシノケングループが提供するサービス以外でも活用ができるようにするそうです。
ビットコインの取り扱いを表明しているため、将来的に交換できるようになることを期待しています。他の仮想通貨とも交換ができれば、活用方法は広がりそうです。
独自のアプリ(シノケンアプリ)を活用して利用者を広げていき、不動産のオーナーは、賃貸管理の情報を得ながら入居者への支払い方法を設定でき、入居者へは、生活に必要な情報の提供や家賃・光熱費などの支払いをシノケンコインで行う。
アプリの機能が充実すれば、利便性も高まるでしょう。
シノケンコインは、賃貸に関する取引からスタートしていきます。不動産の売買においても、将来的にできるようになると考えられます。
仮想通貨での不動産売買はベンチャー企業がスタート!
不動産売買は、ベンチャー企業の『イタンジ株式会社』が独自コインを使って取引が行えるような仕組みを提供しています。
ヘヤジンコイン(HEYAZINE COIN)という名称で、ビットコインをベースに作られた仮想通貨です。現在は大手仮想通貨交換所のビットフライヤーを通じて取引できます。
不動産投資家の反応は、仮想通貨を保有することに難色を示しており、今後も保有しない方針の方が73.9%にも上るそうです。これは、法整備がなされていないことも影響しています。
しかし、海外不動産投資を行っている方にとっては、手続きのスピードや手数料の節約、そして、不動産以外の資産を持つことができるのはメリットです。
また、不動産を売りたい側にとっても、取引で仮想通貨が使えることは魅力的に映るようです。
というのも、決済が仮想通貨になるということは、仮想通貨で財をなした方が、不動産などの別の資産を持ちたいと考え、仮想通貨での不動産購入を検討するからです。
逆に不動産投資家の考えでは、仮想通貨は変動リスクが高すぎるため、入手したらすぐにでも換金したいと考えるようです。
仮想通貨の変動はリスクであるため、上手く付き合っていく必要があります。しかし、変動幅が激しいということは、逆に安く手に入れることもできるため、新しく不動産投資に参入する方にとっては魅力に映る可能性もあります。
仮想通貨がもたらすメリットは、海外不動産投資においては大きいです。仮想通貨を利用することで、海外送金は単純かつ早く、そして手数料も安くなります。
通常の取引であれば、何枚も書類を書く必要が出てくること。処理上時間がかかってしまうこと。そして、手数料も海外送金手数料、外貨取扱手数料、両替手数料がかさむなど、仮想通貨により解決した問題は多いです。
手数料に関しては特に、額が大きければ膨れ上がるため、コストダウンにも繋がることが魅力です。
しっかりと法律が整備され、取引が増えれば、仮想通貨で行う不動産売買はメリットが大きいです。
今はまだ、活用する人が少ないですが、近い将来、当たり前のように使うようになっていくでしょう。
JITホールディングスの仮想通貨を活用した取引!使えるコインが広がる
『JITホールディングス株式会社』は、独自コインを発行するのではなく、既存の仮想通貨を活用して、不動産投資が行なえます。
仲介手数料や不動産取引の代金支払い、様々な諸経費も仮想通貨で決済ができます。利用可能な仮想通貨は、ビットコイン、イーサリアム、リップル、モナコイン、カルダノエイダと現在5つもあります。
取引できる不動産も、国内外ほとんどが対応可能らしく、仮想通貨を普通の通貨のように活用している会社と言えます。
選択肢が増えるということは、利便性が高まること、独自コインを発行しなくても今あるコインを上手く活用しようというのは、好感が持てます。
投資家からも利用の幅が広がるということは、メリットに繋がります。会社が独自に発行したコインを使わずに、今、広く流通している仮想通貨を利用したい方であれば、JITホールディングスのサービスを活用してみてはいかがでしょうか。
ブロックチェーン技術を使った不動産管理!積水ハウス
仮想通貨を使った取引ではありませんが、仮想通貨に利用されている次世代データベースと呼ばれるブロックチェーン技術を使い、不動産管理システムを開発しているのが大手不動産メーカーの『積水ハウス』です。
仮想通貨と聞くと、投機的な要素や通貨の代用のように思われがちですが、2018年夏ころからスタートさせる積水ハウスのサービスは、賃貸物件の情報収集から入居契約まで、手元のアプリで完了させることを目的としているようです。
入居状況やどのようにリフォームを行なったかなど、技術的には記録として残せる可能性があるため、より透明性がある取引と不動産市場の活性化が起きそうです。
今の賃貸契約において、入居者から見ると不便なことが多くあります。
実際に契約が決まっている物件が、インターネット上に掲載されている点。図面や数少ない写真を見て、現地見学を行うかどうか判断することを余儀なくされます。
それが、現在の入居・空室状況がわかれば、いつ頃まで借りられていたのか、リフォームの履歴や設備や耐久性に難があるのか、ないのか、それがオープンになればスムーズかつ入居後のトラブルが減ることでしょう。
このことは、不動産を購入したい方にとってもメリットで、購入希望の物件がどのような履歴を辿っているか、調べればわかるようになります。
不動産投資はどうしても高額な取引になるため、精査する上で慎重になり、無駄な情報のやり取りが発生する場合もあり、予想以上に時間がかかってしまいます。
そうならないためにも、ブロックチェーン技術を応用した不動産管理システムには期待できそうです。
まとめ
不動産業界にも仮想通貨の波が徐々にやってきています。とはいえ、現在の不動産オーナーは、仮想通貨に関して関心はあっても所有することを望まない方が多く、今後どれだけ浸透していくかは不透明です。
しかし、企業側は仮想通貨の導入に前向きで、手数料の削減や取引の手間の簡略化が期待されます。また、不動産投資に参入していなくとも、仮想通貨を所有している方へ、物件を売りたいと考えているからとも考えられます。
大手不動産会社のシノケングループは、賃貸住宅の家賃や光熱費の支払いを独自のコインで決済ができるようにし、JITホールディングス株式会社やイタンジ株式会社は、不動産売買において、仮想通貨を活用できるようにと新しい試みをしています。
イタンジ株式会社では、独自コインを発行し、変動リスクはありながらも、大きく儲ける可能性を残しています。
不動産取引だけでなく、管理においても、仮想通貨に使われているブロックチェーン技術を応用して、利便性と透明性を図ろうとする会社もあります(積水ハウス)。
今後発展していくことがますます楽しみな仮想通貨から、目が離せません。もし、新しい形の資産形成を検討の場合は、仮想通貨を活用した不動産取引を考えてみてはいかがでしょうか。