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今後も賃貸需要が見込めるエリアとは「2018年版」

人口の増加を見ることで、賃貸不動産の需要が見込めるエリアが推測できます。東京都が発表している人口統計資料を参考にすると、2018年7月は、1,383万人で今年入ってから、減ることなく増加し続けています。

東京都全体では増え続けているものの、区市町村ごとにはどうなのでしょうか。また、東京都の人口は2025年がピークと言われ、それ以降は人口が減り続けると予測されています。しかし、人口が減少し続ける中、増加するエリアも存在します。

今後も賃貸需要が増え続けるエリアを、人口統計の観点から考察していきます。

 

【2018年版】人口が増え続けるエリアと減少したエリア

 

都内で人口が増加しているエリアを見ていきましょう。東京都の発表によると、人口増加の多い区市町村は以下です。

1位:世田谷区…385人
2位:中央区……370人
3位:品川区……221人
4位:港区………200人
5位:江東区……195人
※引用:東京都の人口(推計)の概要(平成30年7月1日現在)
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/jsuikei/2018/js187f0000.pdf

上記のエリアを見るとわかりますが、世田谷区以外は東京の中心地です。その他、23区内で増えた区市町村は、墨田区、北区、文京区、千代田区、大田区、中野区、杉並区です。
都下でも、武蔵野市、西東京市や調布市など西東京エリアでも人口増加エリアはあり、遠く離れた檜原村や御蔵島村も人口増加をしています。

人口増加が見込めるエリアは多くとも、向こう20年で見た時にどこまで変動しているかが気になります。

2025年をピークに東京23区の人口は減り続けますが、その中でもいわゆる都心3区(千代田区、中央区、港区)は2040年まで人口増加が予想されています。

逆に減少したエリアはどこでしょうか。23区内で減少したエリアを見ていくと、足立区、葛飾区、江戸川区、荒川区、台東区、板橋区、豊島区、新宿区、渋谷区、目黒区、練馬区と約半数にのぼります。

23区でも都心より離れたエリアは、人口減少が予想されますが、新宿区や渋谷区、豊島区、台東区といったターミナル駅を抱えるエリアも減少しています。

とはいえ、人口が減少しているからといっても、賃貸需要が見込めるエリアもあります。ただ、選択肢が少なくなってしまうため、投資価値のある不動産を見つけられるかは不明です。

 

人口増加が目安だが安易に選ぶのは危険

 

人口増加が賃貸需要を見込めるエリアのひとつの指標です。
そこからさらに絞り込むことによって、長期的に収益を生み出す不動産を見つけることができます。

しかし行政の政策によって、人口増加が鈍化する可能性もありますし、逆に流出してしまう可能性もあります。

例えば、中央区を例にとって見ていきましょう。
中央区の人口が増加した理由は、勝どきに多く建つ高層マンション群です。足を運んでみるとわかりますが、高層マンションに囲まれ、かなり多くの方が生活しているというのがわかります。その多くは、子育て世代で、人口増加の内訳を見ると、0歳から15歳までが増えているのがわかります。

親子で住んでいる世帯が増えていることから、賃貸需要も見込めることが予想できます。しかし、急激な子どもの増加により、待機児童が増加し、小学校が足りないというような問題も起きています。

人口が増えているのは良いものの、子育て真っ只中の世帯が、十分な教育ができないことを理由に、引っ越しをする可能性も十分にありえます。

もちろん、区としても学校や公共施設における政策は行っています。単純な人口増加だけでなく、そこのエリアに住む層のことをイメージし、満足をしてもらえるような政策を行っているかが大事です。

不動産投資をする際に、どうしても自分の物差しで見てしまいがちです。利用する側の気持ちを考えて選ぶと、末永く借り続けてもらえる不動産を見つけることができます。

 

将来は100万人も突破?!世田谷区は今後も増え続ける?

 

世田谷区の人口は、2018年7月現在で約93万人と23区の中でも群を抜いて人口が多い都市です。世田谷区が発表している政策(2017年9月発表)によると、2028年には100万人を突破し、25年後の2042年まで人口増加を見込んでいます。

ここ近年は、20歳前後の若年層の転入が多く、さらには出生率も上昇しているようです。25年後には15歳までの人口が3万人以上増加し、65歳以上の高齢者も7万人以上増加すると見込まれています。

日本人だけでなく、外国人も同様に増えており、世田谷区の政策としても人口増加を加速させていくためにも、外国人の流入も積極的に検討しており、国際化の施策を進めていく方針を打ち出しています。

人口が増える一方、待機児童の問題や学校の不足など、課題も抱えています。
また、世田谷区は広いため、都心へアクセスしやすいエリアに人気が集中し、逆に不便なエリアは検討が必要で、今後の政策を追っていく必要があります。

 

住みたい街ランキングは参考になる?!

不動産情報サイトなどが発表する、住みたい街ランキングは参考になるのでしょうか。

スーモが発表している2018年の住みたい街ランキングを見てみましょう。

1位:恵比寿
2位:吉祥寺
3位:品川
4位:池袋
5位:新宿
目黒、渋谷、中目黒と続く。
※スーモ発表の住みたい街総合ランキングから東京都の都市だけ抜粋。

ちなみに、都外ならば、横浜が1位でトップ10位内に、武蔵小杉、大宮、浦和とランクインしています。都内近郊でも、大都市を好む傾向にありますね。アクセスの観点からの利便性や周辺の住環境も影響しているのでしょう。

住みたい街ランキングは、ある意味ブランドのようなものです。ターミナル駅が根強い人気を持っていますが、その近隣の駅も参考になります。

自分の好きな街に住みたいという願望は誰しもがあるはずです。
ランキングには上がっていませんが、麻布や青山あたりも人気が衰えないエリアと言えます。ただし家賃相場は高く手が出る投資用不動産が出回るとは限りません。

潤沢な資金がある方にとっては良い物件でも、それほど多くの資金を投じられない方からすると手が出ない投資案件になってしまいます。

 

需要と供給のバランスも考慮に入れる

 

賃貸需要が高まっても需要と供給のバランスが取れていないなら、空室リスクは高くなります。現段階では良いものの、将来に大きな開発計画が立てられている場合、一気に住宅用不動産が増えることになります。

例えば、2020年以降の計画になりますが、豊洲近辺の東京オリンピックの選手村跡地に、巨大なレジデンスの建設計画があります。

新しく高層マンションを建てて、売りに出せば、投資用でなくとも居住用として購入する人もいるはずです。近くに住んでいて、住み替えという形を取る場合もあるでしょう。

市場に多くの不動産が出回るのは、選択肢の広がりからするとポジティブに受け止められます。しかし、建設計画があるのに先に別の不動産を購入してしまった場合、供給過多による家賃相場の下落もありえます。

家賃を下げないと空室が埋まらないとなると、ローンを支払う側からするとかなりの痛手です。

購入しようとしているエリア周辺の住宅事情や建設計画も合わせて考慮に入れると良いでしょう。

 

まとめ

 

2020年の東京オリンピックから数年たち、人口増加のピークを迎え、そこから徐々に下がっていきます。しかし、東京都内でも人口が増加するエリアはあります。

どの街も人口減少に対する施策は考えているはずです。ただ、それがうまく実行できるかはわかりません。魅力ある都市に人口が増え、逆に利便性の悪いエリアは人口が減少していきます。

人口増加による賃貸需要だけでなく、その地域がどのような都市計画を立てているかも重要なポイントです。人口が増えたことによる課題が解決されていなければ、引っ越しを検討する世帯も増えてしまいます。

人口統計資料をベースに、人気のあるエリアを見つけ出しましょう。
将来のことを考えると、千代田区、中央区、港区の中心地は人口が増え続けると推測されています。ただ、不動産価格が高いため、購入できる方は限られます。

世田谷区や練馬区、板橋区など都心からは少し離れていますが、住みやすくて人気あるエリアも見つけられるでしょう。

細かいところまで把握し、10年先に笑っていられる不動産投資を行いましょう。