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不動産投資でも「高齢化」対応がキーポイントに

不動産投資においても「高齢化」がひとつのキーワードになっています。
年配の方々に住みやすい環境を提供し、入居者を獲得していくことが安定した賃貸収入を得ることに繋がります。

というのも2008年をピークに人口が減りはじめ、将来的には人口1億人を下回ってしまいます。賃貸不動産も供給過多になり、空室も目立っていくはずです。現在でも高齢者の割合が全体の27.3%程度と約3割が高齢者で、約3,500万人いる高齢者をターゲットから外すことはもったいないです。

高齢者の中には、持ち家を所有し、息子夫婦と一緒に暮らしている場合もあります。しかし、子供が独立して家を出ていくとなると、一軒家はどうしても広すぎます。そのため、老夫婦ふたり、もしくは一人で余生を過ごすために、住み替えを行っていくことも十分考えられます。

高齢者の住居ニーズを満たした投資用不動産の選定や、不動産経営を行っていくことが、今後の日本を生き抜くためのひとつの戦略となります。

本記事では、高齢者が生活をしやすい不動産への投資をテーマに考察していきます。

 

高齢者が住みやすい条件を考えよう!駅近ワンルームなど

 

高齢者が生活しやすい不動産の条件を考えてみましょう。

少人数で生活をするため、広いマンションは不要になります。間取りでいうと、1Kや1DKでも十分に生活することができ、ワンルームでも良いという方もいます。

それ以上に、駅からのアクセスは重要です。
特に都心であれば、病院などに通う際も、電車やバスがメインになります。バスの停留所が近くて、かかりつけの病院まで、直接行けるなら利便性が良いと言えます。ただ、外出の目的は病院だけではなく、家族や友人に会いに行くことも踏まえると駅近くの方が望ましいです。

また、子どもが足を運びやすいというのも条件になります。都心で働いている方にとっては、帰りに立ち寄りやすいとありがたいものです。また、何かあった時でもすぐに駆けつけられるため、仕事への影響も比較的抑えられ、喜ばれます。

立地条件だけで考えるならば、学生や単身者に近いです。あとは、部屋の作りなどバリアフリーを意識した内容であれば、評価は高まります。

 

高齢者向けの住宅設備リフォーム費用!補助金などを活用

 

高齢者向けの賃貸不動産を提供しようと考えると、どうしてもバリアフリー工事など追加で費用がかかってしまいます。

独身者や単身者、学生向けの小さめの部屋ならば、それほど大きな改修工事は不要ですが、高齢者に長く住んでもらうとなると、大幅なリフォームやリノベーションが必要になってきます。

範囲や規模にもよりますが、入居者が特に安全に使いたいと考えている浴槽や玄関先、生活の中心になるリビングや部屋など、全体的にリフォームを行うと数百万円単位でかかります。

快適に使ってもらうためには、必要な出費になりますが、年金など限られた収入をメインとする高齢者にとって、家賃を高くすると回収しにくくなってしまいます。

そこでリフォーム費用を少なくするために、助成金など市区町村で用意している制度を活用することで、トータルの出費を落とすことができます。

例えば、バリアフリー改修工事の補助金は、最大で50万円(1戸あたり)出ます。
他にも「新たな住宅セーフティネット制度」など、補助金が出るだけではなく、「セーフティネット住宅情報システム」に申請をあげれば、ホームページに掲載されるため、必要な人に知れ渡り、入居者を獲得しやすくなる可能性もあります。

高齢者をターゲットに不動産投資を行う場合、優遇されている制度などもあるため、担当の市区町村の窓口に問い合わせてみて、有効活用しましょう。

 

共用部分も高齢者が使いやすいか考慮に入れる

 

部屋のリフォームは、取得後に行えるため、高齢者が住みやすい状況を作ることができます。しかし、建物の共用部分が高齢者に優しくない場合は、それを懸念して入居しない選択をする方もいるでしょう。

そのため、投資用不動産を選定する上で高齢者が住みやすいような共有部分も条件に入れておくと後々有利になります。

例えば、エントランス部分では、外部と段差がないような作りになっているか、車椅子だったとしても通行しやすいくらい広いか、エレベーターの広さも見るべきポイントになります。

ワンルーム投資など部屋単位での投資になる場合は、どれだけ生活をする高齢者のことを考えられるかが、入居しやすさの鍵になります。

高齢者向けに新築マンションを作るならば、それらも考慮して設計する必要がありますね。

 

高齢者をターゲットにするメリット!空室率の低下

 

高齢者をターゲットにした住宅は、住みやすい環境を提供するなど、初期費用が高くなりがちです。必要なリフォームを加える点は、デメリットとも言えますが、住みやすさが利点となり、長期的に入居してもらえる可能性が高くなります。

もっと言えば、満足してもらえる住環境を提供できていれば、入居者が退去する場合は、長期入院か亡くなられた時です。
つまり、一度入居が決まれば、10年~20年もの間安定して家賃収入が発生するのです。それだけ、長期的に安定して住めることが分かれば、もし空室になったとしても、新しい方も入りやすく、トータルの稼働率はかなり高くなります。

高齢者をターゲットにした不動産投資を考える場合、整備された住環境を整えるのはもちろん、長期的に回収するというポイントを念頭に置いてください。

 

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への投資

 

高齢者が生活しやすい不動産への投資を考える上で、賃貸不動産ではなくサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を運営するという方法もあります。

サービス付き高齢者向け住宅は、老人ホームや介護施設とは違い、基準も緩く、健康的な高齢者が中心となって生活をします。

バリアフリーであることはもちろん、安否確認や生活相談など、通常のアパートやマンションとは違ったサービスを付随させていく必要があります。運用面を気にする方もいますが、基本的には介護事業者にサブリースをして運用していくことになるため、安心できます。もちろんどの事業者に委託していくか、しっかりと決めていく必要はあります。

さらには、サ高住を建設するにあたって、国の補助金制度も充実しており、新築ならば120万円を限度に工事費用の10分の1を負担してもらえることや、リフォームならば150万円を上限に工事費用の3分の1の補助が受けられます。

固定資産税や不動産取得税などの優遇処置もあるため、検討してみるのもひとつでしょう。

 

まとめ

 

不動産投資においても高齢化の波が来ていると言えます。広々とした一軒家を所有していた方も、夫婦ふたりで生活するには広く感じるため、ワンルームなどの比較的狭い部屋へ引っ越しを考える人もいます。

高齢者に入居してもらうためには、高齢者目線で入居しやすい部屋づくりをしているかが鍵になります。日常生活を行う部屋がバリアフリー化されているのはもちろん、部屋までの共用部分の動線も利便性を感じることができればもっと良いです。

高齢者をターゲットにした場合、長期的に入居してもらいやすい事がメリットとしてあげられ、改修工事などで出ていった出費も長期的に見れば問題なく回収でき、将来的にはプラスに転じます。

また、バリアフリー改修工事など補助金制度もあるため、うまく活用していくと出費も少なくできます。

また最近では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も増えてきており、需要のある地域ならば、選択肢に入れても良いでしょう。介護施設ほど縛りがきついわけではなく、健康的な高齢者を中心に入居することになるため、運営もしやすいです。また、介護事業者などに業務委託をすることがベースになっていくため、多くを任せられるのも利点のひとつです。

不動産投資も、高齢化にきっちり対応することが、ますます重要になりそうです。