資産を残していくための対策は、たくさんあります。相続税控除を上手く使うことで、通常以上の資産を継承していくことも可能ですし、知らぬ間に特例措置などが設けられている場合もあります。
さらに、相続を考える時の多くは一次相続に焦点が行きがちで、二次相続対策を怠ると必要以上に税金を支払う必要が出てきます。
税に関することは、基本的には専門家に相談しながら進めていくことが重要ですが、予めどのような制度になっているのか知っておくことで、税理士さんに提案ができるようになります。
本記事では、二次相続後にもより多くの財産を残していくため、場合によっては増やすための方法をまとめました。
相続税のいろは。控除の種類と一次相続と二次相続の違いは?!
相続税を考える時に、片方の親が亡くなった時に受け取る財産のことを考えます。夫(もしくは妻)が亡くなった場合、配偶者と子供に分配されます。
さらに、両親ともに亡くなった後に行われる相続が二次相続です。
一次相続の場合、利用できる制度や特例があるため、相続税の節税は行いやすいです。
- 配偶者の税額軽減の特例が使える(1億6千万円の控除)
- 小規模宅地の特例が認められる(土地や建物の評価額が最大80%減額)
- 相続人が一人分多いため、相続税の対象額が減る(基礎控除にも反映)
これらの減税の制度や控除は、残された配偶者の生活を守るために設けられているものです。両親が亡くなり、親から子へ相続が行われる場合は、未成年などの特例を除いて、相続税が重くのしかかります。
その他、未成年控除や障害者控除、相次相続控除(10年以内に2回相続が行われる際の控除)があります。そして、誰もが活用できる基礎控除を合わせて、相続税が決まります。
受けられる控除をもとに、相続対策をしっかり考えることが大事ですし、一次相続より二次相続に主眼をおいた相続税対策を行っていくことが、結果的には多くの資産を残していける可能性があります。
子供により多くの資産を残す!二次相続後に資産を増やす戦略とは
頑張って築いた資産なのだから、子供や孫にもできる限り多くの資産を残してあげたいですよね。
相続税に関する各種控除や特例を活用するのは当然にしても、保険や贈与などを活用し、さらに多くを残すことはできないのでしょうか。
- 生前贈与・教育資金贈与
- 生命保険を活用した相続税対策
- 不動産購入や移住による対策
- その他
一般的には、上記の方法が考えられます。
・生前贈与や教育資金贈与での相続税対策
生前贈与として、毎年110万円までなら非課税ですし、それを超えて税金がかかったとしても、贈与税と相続税を比べた時にトータルで支払う金額は少なくなります。教育資金贈与は、学費、塾、習い事など教育に関することにのみと制限はありますが、1,500万円まで一括で贈与できるため、メリットは大きいです。
・生命保険を活用した相続税対策
生命保険を活用した方法は、500万円×法定相続人数の金額まで非課税になります。例えば、法定相続人数が4人であれば、2,000万円まで非課税になります。生命保険と聞くと、年齢や健康状態によって制限されると思われがちですが、相続税対策の保険商品は健康診断がなくても入れるものもあります。
また、国内の生命保険でも可能ですが、海外の生命保険の方がより多くの資産を残せる商品もあります。
生命保険を活用した相続対策はお手軽にできることです。
・不動産投資や移住による相続税対策
不動産投資や移住による相続税対策もあります。収益不動産を購入し、それを子や孫へ贈与することで、相続資産を減らしつつも2,500万円の非課税枠を活用して節税するという方法もあります(相続時精算課税制度)。ただし、60歳以上の方が20歳以上の子や孫へ贈与する場合と、一部制限があります。
ワンルームマンション投資やタワーマンションの高層階を活用した節税対策は、購入時の時価と相続税評価額の差を活用したもので、より効果の高い相続対策と言えます。
移住による相続税対策もあります。郊外から都心の地価が高い立地に引っ越し、小規模宅地の特例を活用して80%減の評価額を活用するという方法です。しかし、こちらは一次相続には有効ですが、二次相続にはデメリットに働く可能性があります。
相続税がかからないタックスヘイブンと呼ばれる国に移住するという方法もあります。しかし、国籍が海外にある、相続財産が海外にある、相続人と被相続人が5年以上海外に住んでいるなど、いくつかの制限があります。
不動産投資や移住による相続税対策は効果が高くともハードルも高い場合も多いです。
・その他の相続税対策
生前にお墓や仏壇を購入して相続税を節税する方法もあります。墓地や墓石、仏壇や仏具などは、相続税の対象から除外されます。中には、純金の仏像・仏具(御本尊やおりん)などを購入する方もいらっしゃいます。
しかし、基本的には相続税が非課税でも相続後に売却してしまうと、認められなくなってしまう場合もあるため注意が必要です。
二次相続を踏まえて相続を考えるならば海外生命保険で大きく残す
生命保険を活用した二次相続税対策は、国内の商品でも可能ですが、より大きな金額を残したい場合、海外生命保険を活用するのがおすすめです。
しかし、海外生命保険に加入する場合、いくつかのハードルがあります。日本国内の生命保険は海外のものに比べると高額で、並べて比較すると無駄なお金を払い続けていたと残念な気持ちになるくらいです。
国内の終身保険に入っている方なら誰しもが海外の終身保険に入りたいと思えるくらいのプランですが、加入できないように法律で定められています。日本国内で保険契約を結ぶと罰せられる海外の生命保険も現地に赴き、必要な手続きをクリアすれば問題なく入ることができます。
海外の終身保険の場合、商品にもよりますが最短5年で払い終わります。支払いが終わった後も、一生涯にわたって保障が続くどころか、死亡保障額や解約返戻金も増えていく特徴があります。
つまり、長生きすればするほど資産になる可能性が高く、生前に子供や孫に海外生命保険をかけ、500万円×人数分が非課税になるどころか、増え続ける外貨資産を持つことになるのです。
相続税の受け取りや保険料支払いによる控除は、海外の生命保険であっても国内の生命保険と同じように処理します。手厚い海外生命保険の商品を購入し、日本国内と同じような金額の税申告を行います。
結果的には多くの資産が残ることになります。
国外の生命保険は数多く存在しますが、日本人が利用しやすい保険商品の中でも有名なのは、「香港終身保険」や「米国終身保険」です。
海外の保険エージェントを探し、自分にとっての最適なプランを組んでもらう必要が出てきます。そして、加入後の税金面に関しては、専門の税理士に相談すると良いでしょう。
まとめ
頑張って構築してきた資産をどのように子孫に承継し、多くの資産を残していくかがポイントになります。
配偶者への一次相続より、両親ともに亡くなった後の二次相続の方が、鍵になります。控除が減り、特例措置も無くなるため、より大きな税金を支払う可能性が出てきます。
ですので、生前から相続に関する対策を考えていく必要があります。
非課税贈与や生命保険を活用した相続対策をすることで、より多くの資産を子や孫に残すことができます。課税される贈与の方法でも、トータルでは相続税が安くなる可能性もあるため、計算上どのように贈与していくか、考えると良いです。
生命保険を活用した方法では、一定の節税効果は見込めます。しかし、保険商品として手厚い海外生命保険を活用することで、単純な税金面の節税だけでなく、資産が増えていく終身保険を子や孫に贈ることができます。
数ある節税方法を活用し、より多くの資産を残していく場合、専門家の意見をもらいながら合法に処理してください。