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第三者への事業承継を考えるなら必ず確認!不動産を活用した企業価値向上施策とは?

(写真=Yuganov Konstantin/Shutterstock.com)

第三者への事業継承を考えているなら、不動産を活用した「企業価値の向上」を考えなければいけません。企業価値がそのまま事業継承時の売却価格となるので、少しでも価値を高める必要があるということです。今回は、そんな状況の時に「いかにして不動産を活用して企業価値を高めるか」という話です。そもそも企業価値を不動産以外でどのように判断するかも含めて解説していきます。

第三者への事業承継(M&A)を行う場合は如何に企業価値を高めるかが重要

第三者へ事業継承を行う時には、当然ながらその企業価値の高さと売却価格は比例します。一般的に企業価値を検証する際には、以下の要素を検証し企業価値を判断します。

・ 無形の実質的価値
・ 有形の実質的価値
・ 市場価値
・ 継続価値

無形の実質的価値とは、その会社の歴史や対外的な信用度合い、そして企業が抱える技能やノウハウを持った従業員のことです。例えば、「○○社といえば△△という商品を連想する」や「専門的な技能を持った従業員が多い」などです。

一方、有形の実質的価値とは、現金や預金、有価証券、そして土地・建物の不動産のことを指します。もちろん、この実質的な価値の中には、負債などのマイナス要素も含まれ算出されます。

そして、市場価値とは、現段階でその企業が持っている市場への影響力です。例えば、時価総額は投資家に対して影響力が強いですし、上場していないネット関連企業であれば、サイトの「PV数」や「CTR」などが指標になります。

継続価値とは、将来に渡ってその企業が生み出す利益のことです。先ほどの「有形資産」が生み出す具体的な利益もそうですし、事業内容やリソースから生み出される未来の利益のことも指しています。

会社の保有資産が多ければ会社価値が高くなり、第三者承継での売却価格が高くなる

さて、前項で解説した4つの要素により、企業価値が決まります。当然ながら、企業価値が高いと判断されれば第三者継承での売却価格は高くなりますし、企業価値が低ければ売却価格は安くなってしまいます。第三者継承をする立場の企業からすると、上述した4つの要素を高めて、企業価値が高いと判断されたいものです。そして、その4つの要素は、企業努力によって高くすることは可能です。

4つのなかで、「有形の実質的価値」である、不動産の価値を高く見せるという方法が、企業価値を高める上では最も効率的なやり方と言われています。もちろん、ここでいう「高く見せる」とは実質より高く見せるということではなく、その価値を相手(事業継承を受ける企業)に最大限伝え、適切に評価してもらうという意味での「高く見せる」ということです。

レバレッジを利用して不動産を活用することが第三者承継で有利になる

企業が所有している不動産は、企業不動産(CRE)と言われます。その企業不動産を、レバレッジを利用して価値を上げるとは、具体的には「不動産の含み益を担保にする」ということです。

例えば、企業不動産が商業ビルだったとします。1棟で保有していれば、そのビルの敷地である土地も資産であり、そのビルの賃料収入も資産です。そのビルを保有しているということは、当然ながら賃料収入も得られるということですが、ビルの「含み益」を担保に融資を受けられるというメリットもあります。

含み益とは、購入時価格よりも現在価格の方が高い場合に発生する利益のことを指します。つまり、その含み益のある不動産を所有すれば、賃料収入を得られるだけでなく、その不動産を担保に融資を受けることができます。

その融資で事業拡大をするなり、設備投資に充てるなり、会社によってプラスになることに活用できます。そのため、事業継承時には企業不動産のデューディリジェンス(適正評価診断)を行い、その不動産価値を精査することが大切なのです。

事業継承時には不動産価値の精査が必要

このように、第三者へ事業継承する時には、不動産をきちんと精査することが必要です。きちんと精査することで、その不動産の目に見える価値だけでなく、含み益からの担保価値も評価できます。その評価が上がることで企業価値は上がり、売却価格にも反映されるのです。