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日本郵政が野村不動産を買収する狙いとは

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(写真=PIXTA)

2017年5月、日本郵便やゆうちょ銀行などを運営する日本郵政が、野村不動産ホールディングスを買収する動きが出ていると報道されました。この買収の狙いはどこにあるのでしょうか。

日本郵政が野村不動産を買収

野村不動産ホールディングスの時価総額は約4,200億円であるため、買収額は数千億円という大規模なものになるといわれています。

日本郵政は、2015年に買収したオーストラリアの物流会社の業績悪化によって、多額の特別損失を計上したニュースが大きく報じられました。大きな損失を計上したにもかかわらず、新たに企業を買収しようとする日本郵政の狙いはどこにあるのでしょうか。

日本郵政のアセット/野村不動産のアセット

日本郵政は、多くの不動産を所有しています。例えば、直営郵便局は約2万局あるとされ、これだけでもかなりのものになるでしょう。また、郵便局は利用する人の利便性から駅に近い場所や住宅街にあることが多く、いわゆる一等地の不動産をかなり所有しています。

一方、野村不動産ホールディングスは、不動産経営のノウハウを多く有する日本において大手の不動産会社です。それとともに、同社はマンションを多く分譲しており、マンション事業においては最大手ともいえる企業になっています。

このように、土地を多く持つ日本郵政のアセットと、土地活用やマンション事業など、土地を有利に活用するノウハウを多く持つ野村不動産ホールディングスのアセットは、密接に関連しているといえるでしょう。

日本郵政にとって野村不動産を買収したメリットとは

上述の通り、日本郵政は駅の近くなどいわゆる一等地に土地を多く所有しており、これを活用することによって、さらなる収益を上げられる可能性を有しています。実際に日本郵政は、駅近の土地を利用してJR東京駅や大阪駅、名古屋駅などで駅ビルなど商業施設を経営しており、駅前の再開発事業に大きく貢献しているといわれています。

また、不動産事業においても、所有する土地を生かして、不動産会社各社と共同事業で分譲住宅事業も実施しています。このような有利な立地の土地を生かした経営を、日本郵政は行っているのです。

これに対して野村不動産は不動産会社の大手になりますので、土地の運用やディベロッパーとしてのノウハウも多く有しています。そして、マンション事業についても分譲を多く行っていること、日本郵政が行っている分譲住宅事業の共同事業においても、野村不動産とパートナーを結んだことがある関係にあります。

日本郵政が持つ膨大な土地を野村不動産のノウハウにより効率的に生かすことによって、より大きな利益を生み出そう、という狙いがあるのではないでしょうか。商業施設から分譲住宅まで幅広く行おうという日本郵政において、さまざまなノウハウを有する野村不動産に魅力を感じるのは当然のことかもしれません。

大型買収でどのような変化が考えられるか

大型買収では、多額の資金が必要となりますが、そのぶん経営ノウハウがしっかりしている会社が多いです。ノウハウを生かした経営戦略が可能となるため、新たに事業を行うよりも有利に経営を進められることができる、というメリットがあります。

野村不動産を買収すれば、土地を生かした経営など、日本郵政が所有する多くの不動産のリソースを生かした経営を行うことが可能になるでしょう。もっとも、2017年6月の報道においては、買収交渉が白紙に戻ったことが発表されました。今後の動向が注目されています。

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