会社をどういった形で次の世代につなげていくのか。
事業承継は、早めに動いていることがスムーズに完了させるためのコツになります。しかし、後継者がなかなか見つからず、時間だけが過ぎ、十分な承継ができずに現場が混乱してしまうこともありえます。
事業承継を考える前に、どのように後継者を探し、任せていくかを決めておくと良いでしょう。大きく分けて自社内承継と第三者承継の2パターンになります。
また自社内承継の中にも、親族間なのか、血縁者ではなく長年働いてきた方に任せるのかでも違ってきます。
誰に企業の未来を委ねていくかを決めるのは、重要な経営判断になります。
もし、第三者に対して事業承継を行っていく場合、M&Aという形になります。その際、専門家に相談して進めていくことが、双方にとって喜ばしい結果になります。
本記事では、事業承継のためのM&Aを行っていく上で大切なことをまとめました。
大切に育ててきた会社を長く存続させていくためにも、専門家の力を借りましょう。
事業の第三者承継とは!?身内への承継より大きなメリット
事業を従業員でもなく親族でもなく、第三者へ承継していく場合、大きなメリットがあります。
身近に後継者となり得る人がいなくても事業を存続させることができるため、社内で働いている人達の生活を守ることができます。もし後継者が見つからない場合は、廃業という選択肢も視野に入れていく必要があるため、長年頑張ってきた従業員を解雇することになります。
知らない人が経営者になることによって、変化を余儀なくされるため、一瞬不安を感じる人も出てくるかもしれません。しかし大事なのは、事業を存続させていくことです。
たとえ第三者だったとしてもビジョンがしっかりしており、情熱的な経営者ならば、残された従業員に対する扱いもフェアになり、会社が良くなる可能性があります。
異なる企業文化が混ざることによって企業も従業員も大きく成長し、さらなる高みへと向かうこともできます。
では、第三者承継を行うためには、どのようなことが大事になってくるのでしょうか。
第三者へ事業承継のポイント!株式の売却だけではない
第三者に事業を承継していく場合、実は簡単ではありません。事業を丸ごと売却するのが良いのか、部分的に譲渡していくのが良いのか判断がつきません。
経営権が移ることだけを考えるならば、発行されている株式の50%以上を事業承継者が保有すればよいのです。
しかしそれだけでは、事業の経営権が移るだけであり、会社が所有する資産などのオーナーは変わらなくなります。
どのような形で事業承継を行っていきたいかは、両者の思惑にもよりますが、知識がない中で進めてしまっても、思いもよらず損をするポイントが出てしまう可能性もあります。
事業承継で大事なのは、相手方のメリットを意識することです。
会社を買収する側のメリット
事業承継を考えていく上で、譲渡先(もしくは売却先)のメリットを考えていくことが重要になります。社長が創り上げた事業を多額のお金を出してでも買いたいと考える企業は、何を目的とし、どのような経営者なのでしょうか。
- 同業であり、業界のシェアを伸ばしたいため、買収する。
- 新しい業界への参入にあたってノウハウや技術、人が欲しい。
買収側のメリットは、基本的に上記の2パターンが多いでしょう。つまり「事業規模を早期に拡大させていくこと」が目的です。
事業を立ち上げていくにはどうしても時間と労力がかかります。創り上げる時間をショートカットできるのはかなりのメリットで、事業を買収してでも勝負したいと考える経営者です。
売却側としては、スムーズに上記のような売却先を見つけるために、M&Aの専門家に相談することで、あなたの会社を必要とする企業と出会える可能性が高まります。
M&Aの専門家には、企業買収や売却の情報が集まってくるため、会社を欲しがる企業が見つかるかもしれません。複数見つかれば、価値を高めるための交渉ができるため、さらに良い条件で会社を売却出来る可能性も高まります。
第三者承継(事業譲渡・売却)を行う場合は専門家の力を借りる
第三者に事業承継を行っていく場合、専門家の力を借りることが成功の鍵になります。
公的な支援機関「独立行政法人中小企業基盤整備機構」が運営する「事業引継ぎ支援センター」という専門機関もあり、まずは相談に乗ってもらうのが良いでしょう。全国に事業所があるため、一番近いところに足を運んでみてください。
また、企業のM&Aをメインに行っているコンサルティング会社もあります。数々の事業承継を手がけてきた専門の企業であるため、マッチングだけではなく、お互いが喜ぶポイントを熟知しています。
さらには、企業価値を高める方法や、売却側企業オーナーへの利益を高めていく方法も知っているでしょう。細かいところまで相談に乗ってくれるはずです。
さらには、会社を丸ごと譲渡するのではなく、相手の利益が増える資産や、採算の取れている事業のみを渡し、負債などは売却益などから上手に精算する方法、そして譲渡税などの対策まで、多岐に活躍してくれます。
何より、これまで頑張ってきた社長の想いをきっちり継承するために、尽力してくれるでしょう。
もし、事業承継を第三者に対して行いたいと考えるならば、まずは頼りになる専門家を見つけることから始めましょう。
事業承継を考えるタイミングはいつ頃から?!
事業継承はどのくらいのタイミングで考えるべきでしょうか。
早めに動いておくべきというのはわかっていても、具体的な時期や会社の状況なども含めて、考えていく必要があります。
時間があるならば、後継者を指名して教育を施すことも、子どもへの承継も考えられるかもしれませんね。
まず、社長が創り上げた会社をどのようにするか、そのビジョンが大事です。
自分が始めた仕事だから、なにも残さずに辞めるのならば「会社の綺麗なたたみ方」を考えるべきですし、事業体を何かしらの形で存続させたいならば、経営権を譲るなり、譲渡するなり、考えていく必要があります。
また、会社を譲り渡したあとの自分のポジションは、オーナーになって実質的な経営は任せていくのか、完全に売却してしまうのかでも違います。
ちなみに、事業承継は最低3年かかると思っておきましょう。場合によっては、3年では時間が足りません。5年~10年くらいかかるものと思っておいても良いでしょう。
事業を立ち上げ、最初はがむしゃらに発展させていきます。社長のマンパワーが事業発展に一番寄与している時期は時期尚早ですが、ある程度軌道に乗ってきて、組織体として動けるようになり、安定する頃には考えた方が良いです。
もちろんその時の年齢や健康状態にも左右されますし、自身が何歳まで働きたいかにもよります。
引退後の人生設計も踏まえて動き出すと良いでしょう。
まとめ
社長が努力をして創り上げた会社を未来へ紡いでいくには、第三者への事業承継もひとつの選択肢です。親類縁者への事業承継や従業員を後継者として育てる場合より、外部の方が大きな変化になります。変化に対応し、乗り越えていくことが、今まで頑張ってきた社員を守ることにも繋がります。
事業を譲渡するといってもすぐに完了することはなく、ある程度の時間はかかります。最低でも3年。5年から10年はかかると見越しておくとスマートな継承になっていきます。
事業承継は、社長の最後の業務かつ、かなりの大仕事になります。M&Aの専門家に少しずつでも相談しながら、喜ばれる事業承継をしていきましょう。