事業承継とは、会社経営を後継者へ引き継ぐことです。親族へ承継することもありますが、「M&A」をすることもあります。M&Aは「合併」と「買収」を表す英単語の頭文字で、複数の会社が一つになったり、他社が会社を買ったりすることです。M&Aを行うことで、後継者問題の解決や事業領域の拡大・経営基盤の強化などができます。つまり、M&Aは会社の存続や発展を実現させるために有効な手段なのです。
M&Aを成功させるためには、マッチングや条件交渉・アフターマネジメントが重要です。特に、適したマッチングができないと、M&Aの効果は低くなってしまいます。そのため、M&A仲介業者を利用し、会社の状況に合わせたマッチングをすることが望ましいです。適したマッチング条件として「シナジー効果を発現しやすい」「企業文化や理念が似ている」「相互補完的または戦略上で大切な役割を果たしてくれる」などがあります。M&A仲介やマッチングビジネスでは、最初に会社の状況を把握してから、経営者の希望を聞くでしょう。現状と希望にマッチしたM&A先を見つけだし、仲介までしてくれるのです。
M&Aを成功させるためには、条件の交渉も必要になります。もし、いい組み合わせの会社と巡り合えても、条件によっては本来の目的を達成できません。そこで、条件交渉をして、お互いの会社が譲れない点などを話し合うのが、M&A仲介業者やマッチングビジネスをしている業者です。M&Aをする時は、お互いの会社が持つリスクなどを全て明らかにします。解決すべき問題がある場合は、専門家に依頼して解決策や回避策を考えるでしょう。
M&Aをした後のアフターマネジメントができないと、マッチングが良くても成功したとは言えません。そのため、M&A仲介業者やマッチングビジネスをしている業者が、成立後の経営課題を把握し、サポートすることもあります。特に、買い手の会社から売り手の会社に派遣する人材選定は、重要視した方がいいでしょう。売り手の会社に残った従業員のモチベーションを上げるサポートもしてくれます。アフターマネジメントに関しては、M&Aの検討や交渉段階からプランを作成し、両方の会社が納得できるプランニングが大切です。
事業承継コンサルティングをしている会社もある!
事業承継コンサルティングとは、経営者とコンサルタントが話をして、希望の状況に近づけるプランを作成することです。経営権や財産権などを守り、経営者が納得できる事業承継プランを考えます。経営者の希望は、「継続して従業員を雇用したい」「事業を継続したい」などさまざまです。希望の優先順位も、経営者ごとに異なります。事業承継コンサルティングをしている業者は、現状を把握してから経営者の希望に沿ったプランを考え、事業承継をサポートしているのです。現状把握として、経営状態だけでなく親族や従業員との事実関係も調べます。
経営権を経営者の親族で維持する場合は、株主対策や親族株主との関係維持についてのプランを作成します。経営体制の整備も行い、経営理念の引継ぎやビジネスモデルの変更など、経営者と後継者どちらの立場からも納得できるプランを考えることが重要です。経営者が退任後の役割や報酬なども、コンサルタントがアドバイスしていきます。事業承継コンサルティングをしている業者には、自社株承継対策の依頼も可能です。経営権の確保や株価上昇のためには、自社株対策をします。会社の財産を増やすために、株価の引き下げをして配当対策をすることもあるでしょう。これらの現状を相談し、アドバイスやプランニングをするのが、事業承継コンサルティングなのです。
後継者の育成や紹介・派遣をすることも大切!
事業承継において、一番大切なのが後継者選びです。後継者が今後の会社を経営していくため、その人が重要な役割を担っているでしょう。中小企業庁の調べによると、約7割の中小企業で経営者の子供が承継しています。経営者の親族が承継するのは、会社の従業員や株主から理解を得やすいからです。従業員や株主から反対される人を選んでしまうと、反対運動や従業員の退職などのトラブルになる可能性もあります。つまり、後継者が親族であっても、従業員や株主から反対されない人材を選ばなければならないでしょう。そのためには、人材育成サービスなどを利用し、後継者候補が適した人材になれる支援を受けるのも一つの手段です。
後継者育成や紹介・派遣などをしている会社では、「サクセッションプラン」などを用いて、適した人材を育てています。まずは、会社の状況や後継者候補を把握し、プランを立てるのです。その後、プランに沿って人材育成をします。サクセッションプランを立てる時には、経営戦略を明確にして、会社のビジョンやミッションをはっきりさせることからです。その後、経営戦略に必要なポジションを選び、そのポジションに最適な人材を選んでいきます。適した人材は、知識や経験・スキルなどで候補を決め、性格や行動特性なども参考にして選出するといいでしょう。もし、適した人材がいない場合は、育成をしなければなりません。育成プランも考え、それを実行していくことが大切です。
育成プランでは、実践をさせながら育てていきます。育成途中にモニタリングをして、育成状況を確認することも必要です。後継者育成では、親族だけでなく従業員や第三者も一緒に育成します。万が一、後継者になる予定の親族が辞退する場合もあるので、従業員や第三者も育成しておいた方がいいでしょう。後継者は実務ができるだけでは、務まりません。会社をまとめる経営能力、従業員や株主・取引先から信用される人望も重要です。それらを総合して、育成をしていきます。
育成プランの具体例として、ジョブローテーションがあります。これは、後継者候補が組織内のさまざまな仕事を経験することです。全ての業務に対する経験と知識の習得をして、会社のことを理解します。経営者は従業員のことも考えられる人が望ましく、ジョブローテーションによってさまざまな視点から考えられる人へ育成するのです。また、経営自体に参加させることもあります。経営に積極的に参加させ、リーダーシップが発揮できる場面を作るのです。後継者候補は使命感や責任感が出て、会社経営へのモチベーションが高まります。経営参加は経営ノウハウなども学べるため、育成をする時には必須でしょう。外部セミナーや研修会・他社での勤務経験も、育成プランに含めると効果的です。
事業承継する時の後継者がいない時は、紹介や派遣を検討します。その場合、紹介や派遣をしている業者に依頼するといいでしょう。理念や考え方がマッチする人を見つけだし、紹介してくれます。その後、紹介された人と話し合い、後継者にするかを判断するのです。紹介や派遣をしている業者は、登録者や紹介などからマッチングする人を選んでくれます。
【まとめ】事業承継に悩んだら、マッチングや人材育成対策をしている業者も活用しよう!
事業承継は、会社の事業を残すためには重要なものです。後継者が不足している時には、親族だけでなく従業員などの第三者が後継者になることもあるでしょう。M&Aを利用して、他社に承継する場合もあります。これらのマッチングや交渉をするのは、経営者一人ではできません。マッチングやコンサルティング・育成・紹介などをしている業者に依頼すれば、専門的な立場から判断してアドバイスやプランニングをしてくれるのです。これを参考に、事業承継を検討してみてください。