不動産投資家は、物件を取得するときに「どの程度利益を上げられるか?」という点を重視しなければいけません。当然ながら、想定していなかった支出があったり、空室があったりした場合には、思っていた利益を得ることができません。そのような事態にならないためには、「利回り」について知ることが重要です。また、利回りの中でも不動産投資をするなら、表面利回りとNOIは必ず知っておきましょう。
表面利回りとは?
表面利回りとは、「想定年間賃料÷物件取得価格」で計算される利回りのことです。要は、その物件を取得するときにかかった金額を、何年で回収できるかを計算するということになります。たとえば、以下の物件を取得したときの表面利回りを算出してみましょう。
・ 物件価格:2,800万円
・ 物件取得時諸費用:75万円
・ 想定年間賃料:162万円(月額賃料13.5万円)
上記の場合には、「想定年間賃料:162万円÷(物件価格2,800万円+物件取得時諸費用75万円)」という計算式になり、表面利回りは約5.63%になります。つまり、物件取得にかかった2,875万円は約17.8年(100%÷5.63%)で回収できるという計算になります。
不動産投資で物件を探すときは、ポータルサイトで調べたり、不動産会社から物件一覧を見せられたりすると思います。その際に表示されている利回りは、この「表面利回り」であることが多いので、「表面」という文字があるかどうかは必ずチェックしましょう。後述しますが、表面利回りはあくまで参考数値であり、実際に物件を選ぶときは次項の「NOI」を加味する必要があります。
NOIとは?
NOIとは「純営業収益」のことで、「想定年間賃料」から、「物件運営にかかる費用、空室の損失など」を差し引いた手取り収入を指します。たとえば、前項で例に出した物件が以下のような状況だったとしてNOIを計算してみます。
・ 固定資産税:年間8万円
・ 管理費、修繕積立金:年間14万円
・ 補修費用:年間6万円
・ 想定空室:1ヵ月
上記の場合、物件運営にかかった費用は「固定資産税8万円+管理費、修繕積立金14万円+補修費用6万円」なので、年間28万円です。また、空室の想定が1ヵ月ですので、年間想定賃料は148万5,000円(13.5万円×11ヵ月)になります。
つまり、NOIは「年間想定賃料148万5,000万円-年間物件運営費用28万円」という計算になるので、120.5万円ということです。この120万5,000円という金額が、実際に物件から得ることができる収益になります。
NOI利回り
前項でNOIを計算したら、NOI利回りを計算します。NOI利回りは、「実質利回り」と呼ばれる利回りで、「実際の収入を想定した利回り」になります。NOI利回りの計算式は、「NOI÷物件取得価格」になるので、前項の物件で当てはめると「NOI120万5,000円÷物件取得価格2,875万円」になります。
この物件のNOI利回りは約4.2%になります。NOI利回りで計算すると、物件取得金額の2,875万円を回収するまでに、約23.9年(100%÷4.19%)の月日がかかります。実際の収益を想定したNOI利回りは、表面利回りよりもパーセンテージが下がります。ただし、NOI利回りは「実際に物件運営したときの利回り」に近いものになるので、こちらを参考に物件選びをする必要があるのです。
物件選びのときには、単純に「いくら賃料をもらえるか」「物件取得時の金額はいくらか」という点の他に、「その物件の運営にかかる年間費用」「物件の空室リスク」を加味して考えましょう。物件運営費用の項目は、不動産会社にヒアリングすれば分かります。物件の空室リスクは自分自身で想定しつつ、不動産会社が管理している周辺の物件情報を得てから想定するといいでしょう。
きちんと収益シミュレーションを立てる
きちんとした収益シミュレーションを立ててから不動産投資物件選びをしなければ、失敗につながります。表面利回りだけを見て物件選びをすると、実際に発生する収益とのギャップで失敗してしまうかもしれません。物件運営費や空室リスクを綿密にシミュレーションして、投資する物件を選びましょう。
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