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現時点での経営者と後継者のすりあわせで事業継承のやり方を決める

事業を次世代へ託すときには、事業継承が有効です。後継者がしっかりと育っていると、スムーズに引き継ぎができるからです。ただし、そのためには現経営者と後継者が、共同で方針を決める必要があります。お互いに協力して引き継ぎができれば、事業継承が上手くいくでしょう。ここでは事業継承のやり方に関して、ポイントと秘訣を解説していきます。

既存の事業を必ずしも維持する必要はない


事業継承をするときには、既存の事業を全てそのまま受け継ぐ必要はありません。後継者の判断によっては、事業の統合や縮小することもあるでしょう。ポイントは既存の事業が上手くいっているかです。事業が上手くいっていないのであれば、何かを変える必要があります。利益を上げるために方向性を変えるなら、事業継承のタイミングはちょうどいいのです。そのことについて現経営者と後継者で意見を出し合うと、いいアイディアが生まれる可能性があります。現経営者の経験と後継者の新しい発想を組み合わせることで、新しいアイディアが生まれるからです。

そのアイディアを既存の事業に対して適用すると、利益が上向きになることがあるでしょう。そう考えると、既存の事業を変更することで、新しい収益の方法を見つけることができるかもしれません。事業が上手くいっている場合でも、新しいアイディアを加えることでより良くなる可能性があります。現経営者と後継者が意見を出し合うことで、事業の改善ができる確率は高いです。新しい分野を見つけたり、販売先が見つかったりする可能性があるからです。また、現経営者が変えられなかった事業も、後継者であれば変えることができます。

色々な理由があって変えられなかった事業であっても、事業継承のタイミングであれば変えることは、難しくないです。後継者が方針転換と宣言するだけで、既存の事業から撤退することができるからです。ただし、その前に現経営者から詳細な説明を受けることが大事になります。決断できなかった理由を知った上で行動すると、後継者は安易な決断をしなくなります。一方で、既存事業の中で後継者が売上を伸ばしたい分野には、注力することも大事です。成長が期待できる分野であれば、人材と設備投資の集中を行います。それに関するアドバイスを現経営者から受けていると、成功する確率が上がります。

現経営者の希望と後継者の方針のすり合わせが大切


事業継承のやり方で重要なことは、現経営者と後継者の考え方をすり合わせておくことです。現経営者は希望を持っていますし、後継者は方針を決めています。その二つがぶつかり合ってしまうと、事業継承が上手くできない可能性があるのです。お互いに意見を出しあって、希望が叶えられる方針を後継者が立てられるようにしましょう。そのために大事なこととしては、後継者が現経営者から希望を全て聞き出すことです。その全てを叶えることは難しいかもしれませんが、できる限り叶えるように努力します。その時点でできないことは断っておくと、後で禍根が残らないです。

希望を聞いたら、次は現経営者に優先順位をつけてもらいます。どうしても叶えて欲しい希望があれば、後継者はそれを考慮することが大事です。できる限り叶えるようにするだけでも、現経営者は満足することが多いでしょう。ただし、方針は後継者の判断で決めることが大切です。最終的に次の世代を担うのは後継者になります。そう考えると、後継者が考える方針の方がより重要です。その方針に希望が上手く乗れば、どちらの考えも反映させることができるのです。

また、すり合わせが上手くいかないときには、どちらも妥協することが重要になります。ポイントはどちらも譲ることです。どちらも譲らないままでは、意見が平行線になってしまいます。そんなときに両方が譲るのであれば、受け入れるのは難しくありません。片方だけが譲ると、協力して事業継承をするのが難しくなります。事業継承は対等な関係が築くことが大切です。対等な関係だからこそ、良い意見やアイディアが出るのです。

それができないのでは、事業継承を上手く終えることはできないでしょう。他に大事なこととしては、現経営者が主導権を握らないことです。一般的には、現経営者が後継者の上司だった過去がある場合が多いです。そのため、現経営者が主導的な立場になります。しかし、それでは後継者が萎縮してしまって、上手く次世代の方針を立てられません。萎縮しないように現経営者は、後継者を対等な立場として扱うことが重要なのです。後継者として認めたときから上下関係をなくしておくと、良好な関係を構築しやすいです。後継者から対等だと言うのは難しいので、現経営者から語りかける必要があります。それができれば、良好な関係を維持するのが容易になります。

もう一つ大事なことは、後継者が真摯に現経営者の希望と向き合うことです。現経営者は会社をそこまで引っ張ってきた先輩です。その先輩が持っている希望ですので、会社の発展に貢献する可能性が高いです。それを方針に乗せることは、有益なことが多いでしょう。そう考えると、現経営者の希望を聞いて納得できなかったとしても、検討する価値はあります。検討してみると意外な効果があるかもしれません。そのようにしっかり観察をしてから、希望を方針に乗せるかを決定するといいでしょう。

完全に任せきることが成功の秘訣


事業を継承したあとは後継者が運営していきます。そのときになったら、前経営者は口出しをしない方がいいです。口を出してしまうと、いつまでたっても継承が完了しない中途半端な状態になります。それでは後継者が会社を運営しにくくなるでしょう。完全に任せるタイミングは、事業継承を完了した時です。その瞬間から完全に経営権を移行して、後継者が会社を運営するようにします。このように完全移行した効果として、会社が一つになります。口出しをする前経営者がいたのでは、社員はどちらについていくべきかを迷ってしまいます。

社員が迷ってしまうと、会社がまとまらなくなるのです。会社が発展するためには、社員がまとまって仕事に取り組むことが必須です。完全に任せることで、社員のまとまりが生まれます。また、別の効果として、後継者が自分の責任で考え出します。頼れる前経営者が口を出さなくなると、自分で考えるしかなくなるからです。前経営者がいるときには、助けてくれるという甘えがあるかもしれません。その頼れる人がいなくなることで、本当の意味で自立するのです。

もう一つ効果があるとすれば、後継者が自分の体制を作れることです。完全に任せられると、自分の経営陣を作ることができます。経営がしやすいように、新しい人材を登用できるのです。この新しい人材は経営をサポートするだけではなく、会社の発展に貢献する人材になります。経営陣が変わると、新しい雰囲気が会社に生まれるのです。この雰囲気は新しいアイディアや事業が生む土壌になるでしょう。それまでの事業を継続しつつ、新規の分野で発展する可能性が広がるのです。優秀は経営陣を作ることができれば、そのような可能性は高くなるでしょう。完全に任せられたことで、新しいことがしやすくなるという効果もあります。

まとめ


事業継承のやり方として、既存の事業をそのまま維持しないという方法があります。また、現経営者と後継者がすり合わせを行うことで、現経営者の希望を後継者の方針に乗せることができます。他には後継者に全て任せることが成功の秘訣です。このように、事業継承では現経営者と後継者が協力して、次世代の会社について考えます。方針がまとまったら、後継者だけで運営することが重要になります。