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生産緑地の2022年問題とは?不動産マーケットには与える影響とは?

(写真=3D_creation/Shutterstock.com)

都市部で保全されている農地は生産緑地と呼ばれ、その多くは2022年まで農業を継続しなければいけないと定められています。そして、2022年以降には、各農家によって自由に扱われることになります。

これまでは都市部の農地の問題でしたが、現在の不動産事情と相まって2022年問題は、不動産マーケットに大きく影響を与える可能性が指摘されています。

生産緑地の2022年問題とは

1991年に生産緑地法が改正される前まで、国は都市に市街化区域を設けることで、農地まで宅地化するという方針で進めてきました。しかし、大都市で農業を行う方も数多く存在したことや、都市部における緑地保全の観点によって、生産緑地法が改正されてからは農地のまま保全される「生産緑地」と、原則通り宅地化が進められる「宅地化農地」に分類されることになりました。

生産緑地は税制優遇が受けられる一方で、少なくとも30年間は農業を続けなければならない義務を負うことになりました。つまり、生産緑地の2022年問題とは、改正された生産緑地法が1992年に適用されてから30年経った2022年を境に、生産緑地がどんどん宅地に転用されていくことが想定される問題のことです。

生産緑地の2022年問題に備え、国や自治体も対策に乗り出していますが、現状ではあまり周知されているとはいえません。また、基本的に生産緑地は都市部に設定された農地のため、地方に住んでいると生産緑地の問題というより、生産緑地そのものを見たことがないという方もいます。

2022年に何が起きるのか

生産緑地の2022年問題で最も危惧されていることは、農地が一気に減少して住宅を建築できるようになる土地が、大量に発生する可能性があることです。

生産緑地の農家では高齢化が進んでおり、後継ぎが見つからない場合や、農地の利用が困難となった場合は宅地に転用される可能性が高いとされています。

一方で、たとえ生産緑地の営農義務が一気に外れたとしても、少しずつ宅地に転用されていくという論調もあります。実際、1992年以降の宅地化農地は、一気に宅地に転用されたわけではなく、その数が半減するまでに15年ほどかかりました。そのため、2022年以降の生産緑地は、10年ベースで少しずつ減少していくことが予想されています。

また、都市農家の所得のうち平均して65%以上が不動産経営所得で、農業所得は約25%に止まっているそうです。生産緑地の農家はこれまで営農を義務づけられていましたが、所得の割合からみても2022年以降は営農をやめて、不動産経営を始める可能性も指摘されています。

いずれにせよ、生産農地は長い年月がかかるとしても徐々に宅地となっていくことになり、現状深刻となりつつある不動産の空き家問題を、少なからず加速させる要因となっていくでしょう。

2022年以降、さらに空き家問題が深刻となる

空き家問題とは、人が住んでいない住宅が全国的に増加しているという問題です。問題点としては空き家の劣化による倒壊の危険性や衛生面、犯罪の増加による治安の悪化、不動産マーケットの供給過多による不動産価値の下落があげられます。

生産緑地が宅地に転用されるだけであれば空き家が増えることはありませんが、不動産会社はあらかじめ、土地に住宅を建設してから売却するという手法をとることが少なくありません。結果として、住宅価値全体の下落につながる危険性があります。そして、目の前の利益を求めた結果、空き家問題が加速する可能性は十分に考えられます。

空き家問題は、国や自治体も問題視しており、2015年2月には所有者がいる特定の空き家に改善を促すために「空家等対策の推進に関する特別措置法」という法律を制定しました。また、空き家の解体費用の補助を行う自治体の取り組みや、民間の空き家管理サービスなども続々と登場してきています。

生産緑地の2022年問題は不動産マーケットに影響を与えることから、今では不動産投資家にとっても注目すべき問題となりました。不動産に関心がある方ならば、今後の動向に注意する必要があるでしょう。

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